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宗教や信仰についての雑記 #202

◯「簡単」

商品やサービスなどの宣伝文句に「簡単便利」といったものをよく見聞きします。
「簡単」とはどういうことでしょうか。

「簡単」とは、皆さんご存知の通り、ある作業や課題の難易度や複雑さが低く、それを行うのにさほど大きな労力や知識や技術を要しないということです。
そして一般的に、物事が「簡単」に達成されると、人は幸福感を感じやすいと考えられています。
しかしその一方で、「簡単」という言葉には、物事を軽んじたり過小評価したりする意味合いも含まれています。「簡単」と言うことで、その行動の価値や重要性を軽視してしまうことがあります。
ある物事が簡単に行えるようになって幸福感を感じても、それが続くうちに徐々にその幸福感は減少してしまいます。
簡単になるということは、そのような意味で諸刃の剣なのかもしれません。

「簡単」ということを宗教的な観点で考えると、「易行」ということがあります。
この易行とは、仏教において、特に浄土教系で重要な概念で、主に阿弥陀如来の名を唱える称名念仏を指します。
これは、仏教の教義について詳しい知識がなかったり、日々の厳しい労働で瞑想や禅定のための精神集中をする余力がなかったりする庶民でも行えるものです。

易行は、宗教をより多くの人々に開かれたものにするという点で、非常に重要な役割を果たしています。しかし、その一方で、教義の浅薄化や形式的な実践といった問題も存在します。

「簡単」と言うことで、その行動の価値や重要性を軽視してしまったり、それが続くことにより、その幸福感が減少したりすることと同様のことが起きているようです。
昔はありがたかった教えが、今ではそのありがたみも薄れて、ほとんど形式的になっているような気もします。「易行」もまた、諸刃の剣なのかもしれません。

今、現代に合った教えが必要になってきている、そんなふうにも思います。

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