宗教や信仰についての雑記 #40
◯過去について
以前の投稿(#32)で、未来も過去も実体としては存在しないと書きましたが、オーストリアの精神科医ヴィクトール・フランクルは、過去は存在すると言っています。
過去は過去となったことで、誰も手出しができないような形で「永遠」に加わるのだというのです。未来は変えることができるが、過去は誰にも変えられず、永遠に保存されると言っています。
過去はあるのかないのか、どちらが真でどちらが偽なのでしょう。
私はどちらも真だと思います。
未来も過去もないという考え方は、未来への不安とか、過去の怒りや悔恨とかにとらわれている人にとっては救いとなります。
一方、何か大きな喪失体験をして生きる意味を見失った人には、過去はあり、それは確固たる「実績」として永遠に保存されている、という考え方が救いとなります。
ですから、遍在する「実在」の視点から言えば、どちらも真です。なぜなら「実在」は、人々の苦しみを取り除いてあげたいという「願い」を持っている(あるいは「願い」そのものである?)からです。
たとえ論理的に見て矛盾していても、人の苦しみを和らげるのに役立つならば、言葉を超えた「実在」にとっては真なのです。
そしてそのことが、世界に様々な宗教が存在していることの理由でもあると、私はそう思うのです。