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宗教や信仰についての雑記 #232
◯システムの慈悲
前回の投稿で、我々は皆誰もが、時間的・空間的な広がりを持った宇宙を、心の内に持っている、ということを書きました。
なぜそのような性質を持つものが生まれたのでしょう。おそらくそれは、我々は自らの人生観や世界観に従って、自律的に活動することによって、超越者の延長された自己として、この宇宙というシステムの進化に寄与する役割を託されているからなのでしょう。
しかし、我々の中にある宇宙は、常に現実とは異なる「ズレ」があります。ときにその「ズレ」が大きくなり、相克や対立と化して我々に苦悩をもたらします。その苦悩は超越者の延長された自己という役割故の苦悩です。
そのため、我々とフラクタルな関係にある超越者は、その苦悩に対して共感と慈悲を持つのではないかと思います。
また、超越者が自己を維持し発展させるために、ある種の「自己保存本能」を持っていると考えるならば、システム全体の保護のため、その不安定要因ともなり得る、サブシステムである人間の苦悩に対して、何らかの慈悲や保護をもたらす可能性もあります。
意識におけるフラクタルな構造と、自らの延長された自己の苦悩の発生により、超越者の中にはっきりとしたサブシステムへの慈悲の想いが生まれたこともまた、大いなるシステムの進化の1ページであるような気もするのです。