Eularの公式についてなど

$${e^{iθ}=cosθ+isinθ}$$
という式はオイラーの公式としてよく知られている。

ではこの公式はなぜ成り立つのか?
一見すると正しいようには見えない気もする。

そこでこの式を導出してから高校数学などでの応用例1つを挙げる。

最後に補足?を加える。

導出?

そもそもeの肩に複素数が乗るときはどのように定義すれば良いのだろうか。
定義の仕方は複数あると思うが私が一番好きなものをまず挙げる。

zは複素数、x,yは実数とすると
z=x+iyとおける。
そしてe^zを以下で定める。

定義1

$${e^z=e^x(cosy+isiny)}$$

そしてこのように定めるとEularの公式はほぼ自明である。

では違う定義を採用するとどうなるのだろうか。

定義2

$${e^z=\displaystyle \sum_{n=0}^{\infty}\dfrac{1}{n!}z^n}$$

こうすれば少し難しくなる。

このようにマクローリン展開で定義し、sin,cosも同様に定義すれば
少し計算は面倒だが導出は可能である。

無限和であるから順序交換は注意する必要がある。
だが今回は任意の点で絶対収束しているので気にしなくてもよい。
そこで上手く順序を調節すると導出できる。

高校数学では

高校数学では例えばde Moivreの公式の導出に使える。

de Moivre

こちらは
$${(e^{iθ})^n=e^{inθ}}$$
より明らか。

補足?とあとがき的な

定義1のものはあまりにも天下りすぎる!と思うかもしれない。
が、きちんと定義2と同値であるから問題はないと私は思う。

さて、1のように定義した時、sinzやcoszはe^zを用いて表されることが分かる。

そこでsinz=2を解け。
のような問題を考えることもできる。

「sinやcosは-1から1しか動きません!」
と言っていたのは実数しか考えてないからで、複素数まで拡張すれば2も取り得る。


ふと見返して、この定義1,2が実数の時とあまりにもかけ離れている性質だったら困る...と思うかもしれない。

Eularの公式を示すために都合の良いようにしてきたようにも見えるが、実数の時に成立していた指数法則や、三角関数なら加法定理などといった基本的なもの、微分などはどうなるの?といった問題が出てくる。
これらが実数の自然な拡張なら何も問題はないが果たして...



と、いうともちろん全て成立する。
証明は少しめんどくさいが無事成立してくれる。
CRの関係式などを用いれば正則であることもすぐ分かる。

私は初めて習った時に感動したのを覚えている。

またz=x+iyの時にy=0なら
きちんとsinz=sinx,cosz=cosxになることも確認できる。

なるほど。
今まで勉強してきた関数は複素数に拡張しても同じように使えるのか!となるかもしれないが実はlogでそれらが崩壊する...

logは多価関数になってしまうのだがそれはまた別の機会にでも...

だが何も無しに終わるのはあれなのでもう少しだけ、、

定義1を見返してみてcosとsinで定義しているということは周期性があるのでは?と思ったかもしれない。
そう。実はe^zは2πiの周期性がある。
そしてlogはeを元に定義する。
だから多価になってしまう。

すると累乗関数z^aもlogで定義するので多価性が生じる。


最後に命題を2つ紹介する。
zを複素数とする。
1.e^zは任意のzで0とならない。
2.e^zは0以外の任意の複素数値を取る。




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