有理数解について
今回は整数係数の方程式の有理数解について考えてみる。
例えば$${x^3-3x^2-4x+12}$$を因数分解することを考える。
この時因数定理を使うが何を代入すればよいか。
もちろん有理数解があればそれは12の約数なのだがそれを証明したりしてみる。
実際の問題では(1)で誘導があり、さらに背理法を使え!とまで言ってくれている。
でもそれらはなかったとして考えてみる。
まずは少しネタ的な解答を。
$${f(x)=x^3+2x^2+2}$$は2-Eisenstein多項式で、モニックなのでGaussの補題より$${\mathbb{Q}}$$上既約。
よって示された。
さて、これはこのくらいにして。
$${f_n(x)=\sum_{k=0} ^n a_kx^k}$$を考える。
ただし各係数は整数係数であり、最高次と定数項は0ではないとする。
nは1だと面白くないので2以上の整数と思う。
このとき$${f_n(x)=0}$$が有理数解を持つならそれは
$${\dfrac{a_0の約数}{a_nの約数}}$$
の形で書ける。
よって特にモニックのとき有理数解は特に整数解である。
これを証明してみる。
以下ではΣの範囲は省略する。
まず有理数解を$${\dfrac{p}{q}}$$とおく。
ただしpは整数、qは自然数で互いに素とする。
このとき$${f_n(x)=f(\dfrac{p}{q})=\sum a_k(\frac{p}{q})^k=0}$$
ここで両辺に$${q^n}$$をかけて整理すると
$${a_np^n=ql}$$と書ける。(ただしlは整数)
仮定よりqは$${a_n}$$の約数。
また$${pm=q^na_0}$$とも書け(ただしmは整数)
仮定よりpは$${a_0}$$の約数。
よって示された。
これを使えば先ほどの問題は簡単に解ける。
有理数解を持つならモニックのなので整数解を持ち。
それは±1,±2に限られる。
これを代入してもすべて不適。
よって有理数解を持たない。
あとがき的な
なんやかんや受験で大切になってくるテクニックでこれからバイトで同じ説明を何回も書くのは面倒だからまとめてみた。
また、前期にGalois理論をしていてそこで「既約」についてを扱い、それってこの問題でも同じでは?と思ったので書いてみた。
そこでは最小多項式が大切になってくるので既約であることのチェックは必ずしないといけない。
最後に補足を
既約とは(考えている体上で)それ以上に分解できないもの。
例えばX^2-2は$${\mathbb{Q}}$$上既約であるが$${\mathbb{R}}$$上既約ではない。この時可約という。
実際にX^2-2=(X+√2)(X-√2)と出来る。
そしてGaussの補題の主張を述べて終わる。
$${P\in\mathbb{Z}[X]}$$を原始多項式とする。
$${P}$$は$${\mathbb{Q}[X]}$$上で可約ならば、$${\mathbb{Z}[X]}$$上可約。
これの対偶を考えると最初の答案で使った形になる。
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