特性関数について(統計検定準1級対策?)
今回は前回の予告通り特性関数について
前回の記事はこちら↓
統計関連はこちら↓
前回の内容を含むが確率変数など基本的な語句を知っていれば前回のを読む必要はないはず...
一応定義(再掲)
確率空間の可測関数を確率変数という
まあいわゆる確率変数と思って貰えば記事は読めます。
まず特性関数$${φ_X}$$を定義する。
Def
Xを実数値の確率変数とする。
Xの特性関数$${φ_X}$$をtを実数として
$${φ_X(t)=\int_{\mathbb{R}} e^{itx}P^X(dx)}$$
で定める。
そして期待値の変数変換の公式から次が従う。
$${φ_X(t)=E(e^{itx})}$$
統計検定の教科書ではこちらを定義としていたがまあどちらでも良いと思う...
片方が定義出来れば両方定義出来るので。
さて、ここからさまざまな定理が従うのだが統計検定で必要そうなものだけ取ってくる。
thm
a,b in ℝに対して$${φ_{aX+b}(t)=e^{itb}φ_X(at)}$$
また$${X,Y}$$が独立なら$${φ_{X+Y}(t)=φ_X(t)φ_Y(t)}$$
前者は明らかなので省略
後者は前回の記事の内容($${e^{itX},e^{itY}}$$の独立性)と
期待値の積法則から従う。
また次の定理も大切である。
thm
$${φ_X=φ_Y}$$ならば同分布
これの証明はめんどくさいので省略。
フーリエ変換とDynkin族定理を知っていれば証明できるはず。
そしてこれの逆は言うまでもなく明らかなので故に同値
正規分布について
ここからは正規分布について考えていく。
まずZ〜N(0,1)とする
この時$${φ_Z(t)=e^{-t^2/2}}$$となる。
証明は複素関数を用いるか実解析で攻めて一致の定理かで分かる。
複素関数を使うものは以下のサイトが分かりやすい。
個人的には標準正規分布で$${E(e^{tX})}$$のときを覚えておいて、それの指数に-が付くだけと覚えればいいと思う。
待って、でも統計検定では一般の正規分布のものが必要じゃない?という声があると思うのでそこも見たい。
Zは先ほどのものとする。
X=μ+σZと変換する。
ただしμは実数、σは正の実数
こうするとEX=μ,VX=σ^2が分かる。
また具体的に計算することでX〜N(μ,σ^2)も分かる。
この時特性関数は
$${φ_{μ+σZ}=exp(iμt-(σt)^2/2)}$$となり
よく知った式が出てくる。
これは先の定理を使えば分かる。
逆にX〜N(μ,σ^2)なら
Z=(X-μ)/σ〜N(0,1)も分かる。
これは特性関数が分かっているのでそれを使えばすぐ確認出来るので省略
結局何を言いたいのかというと
私は正規分布の特性関数を暗記していたのだが
覚えてなくても導出できた...ということ。
期待値や分散を求める
さてここでLebesgue積分の微分と積分の順序交換の条件を思い出した上で次に進む。
まず正規分布などの密度関数が存在するものだけをとりあえず仮定する。
すると1つ目の条件はクリアできる。
次に分散までを考えたいのでEX^2までが可積分
を仮定する。
これで二つ目の条件もクリア。
この時微分と積分を入れ替えることができるので次が分かる。
$${EX^n=(-i)^nφ_X^{(n)}(0)}$$
(n=1,2)
なおEX^nまでが可積分を仮定すればnまで計算出来る。
これを用いれば特性関数が与えられて(交換の条件を満たすなら)期待値や分散を計算出来ることが分かった。
まあこれもあまり使うことはないかもしれないが...
ということで母関数に比べると優先度は低いのかなと思う。
実際私が統計検定準1級に合格した時は正規分布のものくらいしか覚えてなかったと思うし。
あと(頑張れば)自分で導けるから...
あとがき的な
ということで特性関数について書いてみた。
おそらく昨年4月の私がこの記事を見たら
2秒で閉じるでしょう笑
ここまで読んでいただきありがとうございます!
統計検定ではやはり微積が必要です。
実際はコンピュータがしてくれると思うのですが試験ではある程度自分で計算出来たり、あるいは理論を知ったりする必要があります。
もちろん高校数学をすべて学び直す必要はないと思うが、最低限の知識は必要だと思います。
その上でリーマン積分は極限操作と相性が悪いのでLebesgue積分も知っておくと更に出来ることが広がる。
(Lebesgue積分の定理などは証明がとてつもなくめんどくさいが...)