log2に収束する数列
天下り的だが以下のような問題を考えてみよう!
問題
問題の級数を具体的に書き出してみると
$${\sum\limits_{n=1}^\infty \dfrac{(-1)^{n-1}}{n}=\dfrac{1}{1}-\dfrac{1}{2}+\dfrac{1}{3}-…}$$と続く。
さてこの級数か収束することはすぐにわかる。
以下の定理を使ってみる。
Leibniz test
今回は$${a_n=\dfrac{1}{n}}$$とすればこれは明らかに上記の条件を満たしている。
よって収束することはわかった。
では具体的に値を求めるためにはどうしたら良いだろう。
ここでは2つの方法で解いてみる。
なお語句や定理の説明は省略することがある。
雰囲気だけでもわかってもらえたら幸いです。
解法1
ここでは収束半径とアーベルの連続性定理を使ってみる。
収束半径を簡単に説明すると、その値までは収束するけど、その値を超えたら発散してしまう。そんな点をイメージするといい。
例えば高校で出てくる例として
$${\sum\limits_{n=1}^\infty r^n}$$の収束半径は1というのがある。たしかにこれは$${x=1}$$を境に収束と発散が変わるはずだ。
さて、べき級数$${\sum\limits_{n=1}^\infty (-x)^{n-1}}$$を考え、$${x}$$を実数とすると、
この級数$${\sum\limits_{n=1}^\infty (-x)^{n-1}}$$は初項1公比$${-x}$$の等比級数なので$${|x|>1}$$のとき発散し、$${|x|<1}$$のとき収束する。
ゆえにべき級数$${\sum\limits_{n=1}^\infty (-x)^{n-1}}$$は収束半径が1で
$${x\in(-1,1)}$$のとき$${\sum\limits_{n=1}^\infty (-x)^{n-1}=\dfrac{1}{1+x}}$$
さらに$${x\in(-1,1)}$$のとき$${\sum\limits_{n=1}^\infty (-x)^{n-1}}$$は項別積分可能であるから
$${\displaystyle\int_{0}^{x}\dfrac{1}{1+t}dt=\sum\limits_{n=1}^\infty\displaystyle\int_{0}^{x}(-t)^{n-1}dt}$$より
$${log(1+x)=\sum\limits_{n=1}^\infty\dfrac{(-1)^{n-1}}{n}x^n}$$となり、
$${\dfrac{(-1)^{n-1}}{n}}$$は先ほど収束することを確かめたので
アーベルの連続性定理が使うと両辺に$${x=1}$$を代入することができ、
$${log2=\sum\limits_{n=1}^\infty\dfrac{(-1)^{n-1}}{n}}$$となる。
よって問題の答えは$${log2}$$である。
解法2
こちらはほとんど同じだが誘導がないと難しい。
関数列$${f_N(x)=\dfrac{1}{1+x}-\sum\limits_{n=1}^N(-x)^{n-1}}$$を考える。
まず$${x\in[0,1]}$$のもとで
$${|f_N(x)|\leq \dfrac{x^N}{1+x}\leq x^N}$$である。
よって
$${\left\lvert \displaystyle\int_{0}^{1} f_N(x)dx \right\rvert\leq \displaystyle\int_{0}^{1}x^Ndx=\dfrac{1}{N+1}}$$
ここで$${\lim\limits_{N\to \infty}\dfrac{1}{N+1}=0}$$より
$${\lim\limits_{N\to \infty}\left\lvert \displaystyle\int_{0}^{1} f_N(x)dx \right\rvert=0}$$がわかる。(比較判定法を使う)
$${\displaystyle\int_{0}^{1} f_N(x)dx =log2-\sum_{n=1}^N\dfrac{(-1)^{n-1}}{n}}$$となり(絶対収束するなら特に収束することに注意)、両辺に$${N\to \infty}$$をとると
$${log2=\sum\limits_{n=1}^\infty\dfrac{(-1)^{n-1}}{n}}$$となる。
あとがき的な
詳しい説明は一切していないので解析学に触れたことがないと知らない定理だらけだったと思うが、雰囲気をわかってくれたら幸いだ。
そしてこれのおもしろいところは
有理数の和で無理数を表せていることはもちろん、比較的簡単な級数で書けているというところだろう。
一見非自明のように見えるこの等式も証明してみたら正しかった!
というのは数学の醍醐味ではないだろうか。
ほかにもおもしろい等式はたくさんあるのでぼちぼち紹介していきたい。
追記
これを書いている時に「こんな記事意味あるんかな?」と思いながら書いていた。
まあ誰も読まなくても良いや!と思い書き始めたが、全然上手く書けない。
私の(latexなどの)知識不足が明らかになった。
読んでもらう人に対しての良い記事ではないことは残念だけど事実だと思う。
(定理などを全て省略しているのだから)
一方で書いた私に取っては知識の整理もできたし、とても良い記事になったなと思った。