【学級経営】「場を清める」を大切にするクラスにするためには①~掃除編~
※実物資料あり!
1⃣「場を清める」を大切にしたい理由
日本の掃除文化というのは素晴らしいと思う。
ワールドカップの日本代表のロッカールーム、サポーターの掃除のニュース、大都市でも綺麗だと評される、などなど、この文化は日本の宝だと思う。
そして、そのような文化を可能にしているのが、まさに日本の教育の賜物だと思う。
だから、私はそのような意味でも、そして生徒たちが素敵な生活を過ごすためにも「場を清める」ということを大切にしている。
まず、質の高い掃除をするためには、以下の2つのポイントがある。
2⃣1つめのポイント~質の高い掃除システムを確立する~
一つ目は、「質の高い掃除のシステムを確立する」ということだ。
システムの紹介と、その確立については、担当教師が重要になってくる。
特に教室掃除などは、机運びや黒板掃除、雑巾、ほうき、手洗い場などなど、掃除作業が多岐にわたる。
だからこそ、教師がわかりやすく説明すると良い。
私は、過去にクラスとしての初めての掃除を取り組む前にパワーポイントで生徒に教室掃除の流れややり方、ポイントなどを伝えていた。
(以下の画像が実際のもの)
※掃除の方法は学校のシステムに沿って作ると良い。今回紹介しているのは、私立中学のものなので、あくまでも参考程度に。
効率的な流れと作業分担を明確にしながら、視覚的にもわかりやすいといいだろう。
このようにすると視覚的に流れやポイントがなんとなくわかる。(なんとなくぐらいでいい)
次に、掃除の時間に実際にやってみる時に、教師は改めてポイントを説明しながら、掃除のシステムを確立していく。
もちろん、教師が他のところも担当しているのであれば、合間を縫って他の掃除場所も見に行ってポイントなどを伝えておこう。
その際に、指摘だけではなく、よく出来ている生徒については、周りの生徒にも伝わるように褒めると、良い影響が広がっていく。
このように褒めながら、雰囲気の良い掃除にしていくことがおススメだ。
おそらく、一週間ぐらいかけて、質の高い掃除システムというものが確立されていくだろう。
できれば、掃除の所要時間を計測しておくと、自分たちの掃除がスムーズになっていくことを実感しやすいだろう。そのようなことを掃除後や帰りの会などで取り上げてクラス全体を褒めていくと、掃除に対してポジティブな雰囲気がでてくるだろう。
3⃣2つ目のポイント~教師も一緒に掃除をする~
2つ目のポイントは「教師も一緒に掃除をする」ということだ。
やはり、人間は行動で示す人を信頼する。教師が一生懸命掃除をしている姿を見て、生徒たちは教師の言葉を素直に受け入れるようになる。
教師が生徒たちの3倍以上動けば、さらに言葉に説得力が増す。
そのようにして、教師が率先垂範して掃除を一生懸命する模範となれば、心ある生徒たちは同じように一生懸命掃除し、それが広がっていくだろう。
また、もう一つのメリットは、さまざまな生徒の姿を同じ目線で観察でき、褒める場面が増えるということだ。
教師自身が一緒に掃除をしていると、生徒たちの動きがより見えてくる。
手伝ってくれる生徒、細かいところまで掃除している生徒、次の段取りを考えている生徒、などなど。
その様子を見た時に、さりげなく「お、〇〇さん、ありがとう」という感謝の気持ちを伝えていくことで、生徒の頑張りを評価することができる。
もちろん、教師の体力にもよるが、一緒に掃除することをおススメする。
補足①~当番システムはどうする?~
当番のシステムについては、学校や学年によってだいたいの場所や交代までの期間があるだろうから、それに従ってやるのがいいだろう。
私としては、担当場所の変更が早かったりすると、システムが確立されにくいので、最低でも2週間以上は空けてから変更すると良いだろう。
補足②~早めに終わった生徒はどうする?~
これは他の学級との兼ね合いもあるだろうが、私としては早く終わる分にいいことだと思っている。ただ、あまりにも早すぎると、周りの学級から疑問に思われたり、少し気を遣ってほしいという意見があるかもしれないので、本来の終了時間の5分前までは担当場所で頑張ろうと言っています。
しかし、教室掃除が終わっていないのに、他の担当場所の人は早めに休憩し始めるのは、「早めに終わったらお手伝いをする気遣いの文化」が育たないので、「早めに終わった人は教室掃除の机運びとか配布物とか手伝ってね」と言っています。もちろん、お手伝いしている人たちについては、その場や帰りの会などで褒める場面もあります。
補足③~学級通信や交換日記を活用する~
一生懸命掃除する生徒たちはどんどん褒めていこう。
例えば、掃除の時間の様子を写真にとって、学級通信に褒める言葉と一緒に掲載すると、学級全体でも改めて掃除へのポジティブな雰囲気が生まれる。また、保護者の方々も見ることによって、家庭でも褒められることにもつながります。
また、学級通信で取り上げることができなくても、交換日記などで、
「〇〇さんはいつも掃除頑張っているね」「〇〇くんは昨日机運びを手伝ってくれたね、ありがとう」など、書くと生徒としても嬉しいし、先生は見てくれているだなという気持ちにもなる。
学級通信と交換日記は、生徒たちを良い方向に促進するとても有効的なツールです。ぜひ活用してみましょう。
補足④~掃除しない生徒についてはどうする?~
掃除しない生徒については、次の2つのパターンが考えられる。
①全く掃除しない(例えば、掃除場所にいない)生徒はどうする?
これについて言えば厳しく指導する必要がある。(ただし、何か体調や
精神的に配慮すべき生徒であれば、個別相談や保護者との相談によって区
別する場合もある)
もちろん、そのような事態が起きたらなるべく早く全体の前で指導して
もいい。(それでも、それが頻発するならば、個別指導に切り替えるが)
全体指導の場面でも、緊張感を持つが、ちゃんとやっている生徒たちを
褒めながら、サボった子を指導すると、クラス全体を味方として指導する
ことができる。
例えば、
「今日は多くの人がしっかり掃除してくれていました。今日、自分の掃除
場所でしっかり掃除した人は手を挙げてください。そうですね、手を挙
げた人はとても素晴らしいです。ぜひこれからも頑張りましょう。」
こうすることによって、みんな掃除をすることが当たり前だということ
の確認にもなる。
「ただ、それができていない人がいます。今日、掃除場所から離れた人
は立ってください。(サボった子が立たない場合は名指ししてもいい)
〇〇さんは今日掃除場所にいませんでした。なぜですか?」
A:正当な理由がある場合
「正当な理由がある場合は先生に事前に伝えてくださいね。次回から連
絡がなければ、厳しく指導する可能性がありますよ。わかったり座っ
てください。」
B:正当な理由がない場合
「〇〇さん以外のクラスの人たちはしっかり掃除をしています。あなた
も大切なクラスの一人です。しっかり掃除をしてください。そして、
みんなでやるべき掃除をしっかりしないことは、〇〇さんの人生にと
っても良くないことだと思います。」
このようにして、サボった子であっても大切な一人だよ、君にとって
良くないことだよということも伝えます。
そして
「では、今日掃除してなかった分、放課後に私と一緒に掃除をしまし
ょう」
と伝えて、放課後に一緒に掃除をする。
(放課後に時間がなければ、翌日の昼休みでもいい)
(場合によっては一番最初は今後の対処の予告としてもいいだろう)
こうすることによって、サボってもどこかで埋め合わせをするのだと
いうことがクラス全体の共通認識になる。
また、先生も一緒にすることによって、指導された生徒の情に多少な
りとも働きかけ、反発心を減らすことができる。
以上A・Bパターンがあるが、どちらにせよ、正当な対応や理由なく掃除
場所から離れていたことに対しては、全体の前で緊張感をもって取り上
げることが良いだろう。
そうすることによって、掃除をしっかりすれば褒められ、掃除をサボっ
たりすると大変なことが起こるということが、クラス全体での共通認識
となる。
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