飛行機の安全ビデオはちゃんと見て欲しいし、あわ良くば暗記して欲しい話

私は元CAでもないし旅大好き人間でもないし、そういった方々のXのポストの方が見てもらえているのを承知で書く。

私はヨーロッパと日本を、20年の間で年1とまではは言わないが、かなりの回数往復して来た。飛行機という乗り物と一緒に育ってきたと思っている。そして幼い頃から旅客機内で私の関心をつかんでいたのは【セーフティビデオ】と【安全のしおり】だ。
大人になってから気づいたのだが、私は精神障害のこともあり危機意識が非常に高いようで、最悪の事態を常に想像し行動する傾向にある。

こんな私が、2024/1/2の羽田空港日本航空機と海上保安庁機の衝突事故を受けて、皆様に安全に空の旅に出てもらうために意識すべきことを書く。
指摘があればコメントでぜひご指摘ください。そして、役に立ちそうと思ったらスキやシェアを是非お願いいたします。)


セーフティビデオについて

セーフティビデオとは離陸前に天井から下がっているモニターで放映される、安全に関する指示(instruction)の映像である。
英語ではSafety instructionと呼ばれ、instructionと言うだけあって、これは指示であり命令であるため、乗客となる皆さんにはぜひ搭乗時毎回しっかり確認してほしい。毎回確認してほしい理由は法改正はなどにより指示内容が変わることがあるからだ。また国際便を利用の際は国によって法律が異なるため、そちらもしっかり確認しておくことが重要だ。
指示/命令であるが、これは乗客全員の安全のためであることをご留意いただきたい。

内容は航空各社によって差があるが、この投稿ではなるべく網羅的に、どんなことに留意すべきかを書いていきたい。

荷物の収納場所

荷物は必ず頭上の手荷物入れか、前の座席の下に収めるのが基本だ。非常口はもっての外だが、手に持つのも飛散の恐れがあるためやめよう。
通路や足の後ろに置くことは乗客やクルーの通り道を塞ぐだけでなく、離着陸時などに飛散したり、緊急脱出時の邪魔になったり、火災時には足元の誘導灯を隠してしまうことに気をつけたい。
頭上の手荷物入れに関しては、無理に重ねたりすると開けた時に荷物が頭上に降ってくる恐れがあるため無理は禁物。背の低い方や荷物の多い方は遠慮なくクルーにお手伝いをお願いしよう。
最近の旅客機は手荷物入れが斜めになっていないタイプも登場しているので重ねても平気な場合もある。確認しよう。

ヒント:バッグは内容物の飛散防止のためチャックがついている物など、しっかり閉まるものがオススメ。場合によっては防犯にもなります。ノートパソコンはシートポケットには入れないようにしよう。

シートベルト

シートベルトは腰の低い位置でしっかりと固定すること。ベルトを使ってちゃんとしめること。
ちなみにセーフティビデオでは「レバーをあげると外れます」など外し方の案内があるが、この時、自分のシートベルトが故障しておらず、外すことができるかどうかもしっかり確認しておくと緊急時も安心。
シートベルトサインが消えても基本的に着用すること。突然の落雷など
による急降下などの可能性もあるので、席を立つ時以外は外さないように。
毛布を使用する際は毛布の上からしめる事。こちらはクルーがシートベルトを着用していることを確認できるようにするため。是非ご協力を。

禁煙

座席、通路、化粧室を含め、火災の原因になるため、機内は禁煙。電子タバコも禁止。
航空会社によっては火災報知器の人為的な停止、改造や破壊に言及するものもあり、喫煙は刑罰の対象になることがある。

電波を発する機器

スマートフォン、携帯電話だけでなくタブレット端末、パソコン、ゲーム機なども電波を発する機器の対象だ。これは離着陸時だけでなくタキシング中、つまり滑走路に出るまでの時間を含む。
パイロットと管制塔の通信を阻害したり、機器の誤作動を起こす可能性があるため、フライトモードにするか電源を切ろう。デジタルカメラや音楽プレーヤーは電波を発しないので、そちらを利用するのも良いかもしれない。

緊急時は乗務員の指示に従う

世の中には客室乗務員をただの「客のお世話がかりの人」と思っている方もいらっしゃるかもしれないが、キャビンアテンダントは保安員であり、機内の安全に関して責任がある。緊急時以外でも指示があった場合は従うようにしよう。

ヒント:2024/1/2の事故時の客室内で撮られた映像の中に子供が「早く出してください!開ければいいじゃないですか!」と叫んでいる映像があった。もし近くでそういった場面に遭遇したら、まずはなだめて静かにするよう促そう。指示が聞こえなくなってしまい、被害が大きくなる恐れがある。その時、クルーが安全確認をしていることを伝えて、「大丈夫だよ、一緒に外に出ようね」と優しく声をかけてあげよう。大人でもパニックに陥る人もいるので同様の対処をして落ち着けてあげよう。
火災の場合、間違ったドアを開けてしまうと炎が一気に機内に回り客室が炎上する恐れがあるため、ドアを無理やり開けさせたり、自分が非常ドアを勝手に触るなどは絶対にしないようにしよう。パイロットが管制塔で、どこが燃えていて、どこに異常があるか、どの出口から避難すべきかやりとりをしている。電子機器は機内モードのまま、通信を阻害しないように注意しよう。そしてパイロットからキャビンアテンダントに指示が行き、彼ら/彼女らから乗客へ指示があるまで、落ち着いて待っていよう。1月2日の事故のように機内のインターホンが使用不可になり客室乗務員が機長と連絡が取れない場合は訓練を重ねてきたクルーが最も安全と見られるドアを開けてくれるので安心しよう。

酸素マスク

酸素マスクは、気圧の降下を感知して自動で天井から出てくる。【ただ鼻と口に当てる】のか【強く引いて鼻と口に当てる】のかは機体の仕様により異なるため、セーフティビデオでしっかり確認しておこう。
マスクはまず黄色い部分を鼻と口に当て、その後ゴムバンドを頭の後ろにかけ、長さを調節すること。長さ調節が必要ないタイプもあるので合わせてビデオで確認しよう。子供や既に気絶してしまっている人が隣にいたら、自分のマスクをつけてからその人につけてあげよう。自分が気絶する前に、自分の安全を確保してから周りの人を助けてあげよう。
マスクはクルーから外すよう指示があるまで付けておこう。

安全姿勢

衝撃に備える姿勢は座席ごとに異なるので映像で必ず確認しよう。
基本的に、前方の座席がある場合は、腕をクロスさせ、それを前座席に乗せ、その上から頭をしっかり付けよう。前方の座席に届かない、もしくはそもそもない場合は、前傾姿勢になり手で頭を覆うか、両足首をしっかりと掴もう。
しかしこれについてはシートのクラスや航空会社によって案内に違いがあるのでビデオまたは安全のしおりで毎回確認しよう。
ちなみに安全姿勢の合図は機長からの"Brace for impact(ブレイス・フォー・インパクト)"もしくは"Brace, Brace, Brace(ブレイス・ブレイス・ブレイス)"。するとキャビンアテンダントから指示があるはずだ。
ちなみにメガネをかけている人は、少し不安だろうが、飛散による事故防止のため、メガネをシートポケットに入れよう。アクセサリーなども外した方が無難だ。着陸、または着水後はメガネをかけてOK。
完全に機体が止まるまで、安全姿勢を保ち続けよう。

ヒント:もし肌寒い季節に飛行機に乗る場合はパーカーを着ていこう。いざという時、頭を衝撃から少しでも守ってくれるかもしれない。また、余計なアクセサリーは着用しないようにしよう。緊急時に飛散したり、どこかに引っかかったりすると非常に危ないので、外しておくのが無難だ。

豆知識:"Brace, Brace, Brace"と3回繰り返すのはこれが言い間違いではなく、本当の緊急時であることを知らせるため。2回しか言わなかったら言い間違い…かもしれない。

救命胴衣

いざという時のために救命胴衣の場所はちゃんと確認しよう。補充忘れもないとは言えないので、自分の目で自分の分の救命胴衣があることをチェックすること。
一般的にはポーチの中に入っているので使用時はその中から出す。頭から被ったらしっかり止めよう。機内では絶対に膨らませないで。機体が水没したとき脱出不可能になる危険性がある。必ず非常口で膨らませるようにしよう。空気が抜けてきたら赤いチューブから息を吹き込もう。
ホイッスルがついていたり、水中で肩のライトが光るタイプを搭載していることもあるのでビデオで操作方法と合わせて確認しよう。
必要に応じて子供用の用意がある場合もあるので、必要な際はクルーに聞いてみよう。

非常口の確認

これはできれば予約時、または搭乗時にある程度済ませておいた方が良い。自席の前と後ろを見て、非常口をしっかり目視で確認しておこう。
両方確認する理由は、まずはどちらが近いかを確認することと、その次に火災などで最寄りの出口が開けられなかった場合の抑えだ。シートポケットに入っている「安全のしおり」にも機体の出口が記載されているので合わせて確認しよう。
避難誘導灯も点灯することが一般的なので機内が暗かったり、煙で見辛い際は灯に沿って非常口へ向かおう。EXITサインも点灯しているのが一般的なのでそちらも目印にしよう。
火災の際はハンカチ、またはヘッドレストについているシートを剥がし鼻と口元を覆って低い姿勢を取ろう。クルーの指示に従い、床の避難誘導灯に沿って出口へ向かおう。

ヒント:座席を予約する時、留意しておきたいのが非常口前の席の人は避難誘導の手伝いを任されること。もし子供やお年寄り、障害者と一緒に搭乗する場合は不安なら避けたほうが良いかもしれない。もちろん手伝いはキャビンアテンダントから指示があるのでその通りにやればOK。極端に不安がる必要はない。
もし予約して搭乗後に避難誘導の手伝いができないと発覚した場合には遠慮なくクルーに申し出よう。席を変えてもらえることが多い。客室乗務員から事前に口頭で直接確認されることもあるので伝えるべきことは伝えよう。

緊急脱出スライド

スライドで緊急脱出する際は絶対に荷物を持たないこと。また、スロープを傷つけてしまう可能性のあるヒールや服の装飾品(チェーンなど)にも注意しよう。実は着水時はスライドが救命ボートがわりになる。絶対に穴を開けないようにしよう。
着陸後、脱出時の姿勢も体が「コ」の字になるよう保ち、スライドを降りたらそのまま遠くへ走って避難しよう。爆発の恐れもあるので、振り返らず、出来るだけ遠くへ逃げよう。セーフティビデオでは映像付きで解説があるので確認すると良い。あとはキャビンアテンダントの指示に従おう。
また重要なのは出口に向かう際は落ち着いて、走らないこと。急いで詰めかけると、結果として全員の脱出が遅れてしまうので、順番に外に出るように心がけよう。

ヒント:できればジップ付きポケットのついたパンツを着て搭乗しよう。パスポート、スマホ、財布。この三つをポケットに入れてジップを閉め、脱出すると荷物を持たずに貴重品を持ち出せるので安心だ。季節によってはポケット付きの上着でもいいかもしれない。
そしてスニーカーで行こう。ヒールを脱いで脱出もいいが、時間のロスになるのと滑走路をストッキングなどで走らなくてはならないのでオススメしない。また火災にも備えてストッキングやタイツは控えよう。いざ火がついてしまうとあっという間に燃え広がり、皮膚に張り付いてしまうため非常に危険だ。空の旅以外でも火災にあった際はストッキングやタイツはすぐに脱ごう。

座席とテーブルと窓

離陸間近になったら座席を起こし、テーブルをしまおう。フッドレストがある場合はそちらも。窓の日除けは全開にして非常時に外の状況が確認できるようにしておこう。ちなみに夜のフライトではゲートを離れる際に機内の電気が暗くなったり消えたりするが、それは緊急時に目を暗さに慣れさせるため。
緊急事態は離陸時と着陸時に起こりやすいため、全員がいざという時にすぐ脱出できる準備をしておこう。

ヒント:あまりこの項目には関係ないのだが、万が一スマホを座席の間に落としてしまった場合は自力でなんとかしようとせずにクルーに救出してもらおう。

「安全のしおり」

前述した通り、シートポケットに安全のしおりが必ず入っている。ビデオの内容を復習するのに使っても良し、非常事態が近づいていそうな時に心を落ち着けるために確認するも良し。目を通しておいて損はない。
搭乗する機体や航空会社によって内容も異なるため、要チェックだ。


以上、空の安全について書いてみました。

いざという時にパニックにならないためにも、こういった情報は前もって覚えておくことが重要です。

乗客も非常時の安全確保において重要な役割を担っています。
被害を最小限に抑えるため、皆様のご協力をお願いいたします。

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