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思いのままにただ綴るドラマ・アンメット愛22~新しい朝だから、医者になる

2024年春ドラマ、カンテレ制作「アンメット ある脳外科医の日記」第1話の感想を綴っています。ちょびちょび続けておりまして。22本目です。
21では、私的ハイライト、屋上での三瓶先生との会話の後、取り残されて一人泣きじゃくるミヤビちゃん……まで書きました。あああ、、辛い。

たらたら綴って、、やっとこ後半戦ですね。
何やってんだよーって言われそうですが、本人は楽しんで続けています~!


音、音楽、セリフも最小限で続くシーン

一人慟哭するミヤビちゃんの次のシーンは、窓の外から、レナさんの病室を映しているところからです。
ミヤビちゃんの悲しみに寄り添う音楽が止むと、ここからしばらくBGMの全くないシーンが始まります。静かです。静けさが生むもの。

画面、左端には、ベッドの上で落ち込んだ様子で静かにぽつんと三角座りをしているレナさん。カーテンが引かれており、人と話したくないモードです。
右側、病室入口付近で、深々と頭を下げる夫さん。傍らでじっと立っている、おててポケットインの三瓶先生。
で、夫さんは部屋から出ます。見送る三瓶先生……。

病室は鏡台らしきものが見えており、いわゆる特別室?豪華な個室のようです。さすが女優。まあ、単にお金積んでいい部屋に入る、っていうよりは、プライベートを晒しにくいという問題がありますものね。好きで入ってるとは限らない。

このシーン、とても好きなんですよね、短いシーンですけど。セリフ一切なし。何だかとても、美しいんですよね、なんだろなあ。

三瓶先生のアップに切り替わって、今度はレナさんの方を見る、何とも切ない目をしている三瓶先生。
夫さんと何を話して、レナさんを見つめながら何を考えているのか。
それは次のシーンでわかります。


じっと静かに受け止める

「赤嶺レナさん。……手術しないって言ってるみたい」
ささやくように伝える声……
ミヤビちゃんの仲良し看護師さんです。
じっと聞いているミヤビちゃん。
辛そうに、看護師さんを見つめています。静かなシーンです。
仲良しだから、敢えてカンファレンスの場とかじゃなく、耳に挟んですぐに、わざわざ伝えに来たのでしょう。
でも、「ミヤビ!」なんてうるさく駆け込んできたりはしません。
ミヤビちゃんも「え!!レナさんが!?」とか言いません。
ただ話を受け止めているミヤビちゃんをじっと映すカメラ。

静かに受け止めるから、私にもミヤビちゃんの思いが迫ります。
セリフで大袈裟に伝えられても、きっと伝わらなかっただろう、心の奥の、奥。

この、何も言えないミヤビちゃんは、あの屋上の慟哭を引きずっている感じが漂っています。同じ日なのかなあ。説明はないのでここではまだわかりません。

こういう空気感が、アンメットの世界を作っているんだなあ、と実感するシーンなんです。
役者さんたちの一挙手一投足、小さな表情の変化に見入ってしまう。

場面は再びレナさんです。まだ、音楽のない静かなシーンが続いています。
例の、夫さんに投げつけた黄色い「ダイバーファイブ」の台本。
レナさんが手にしています。

使い込んだ台本。めくると、自分の名前。
さらにめくります。めくる音だけが聞こえてきます。
レナさんの表情も伺えません。でも、ふっと、「何かを見つけた」が、動作で感じられます。思いついた、のか?
台本を読んでいるのか、脳内で文字化けしているのか、画面からはわかりません。

何かを思い出しているような……
と、部屋の外にはいつからかミヤビちゃんがいて、その様子を、そっと、じっと、見つめているのでした。声を掛けられない……。

「手術はできない」と言った自分。レナさんを救うことを放棄したわけです。三瓶先生はそれを「仕方ないですね」と言った…。

「手術はしない」と言ったレナさん。自分の未来を諦めたということでしょうか。それを「仕方ない」で済ませていいのか…

手術すれば、改善するのに。なぜしないと言っているのか。
レナさんの心の奥にあるものが何なのか、考えているのでしょうか。
医者でいることを諦めた自分と、やっぱり、救いたい、医者としての自分。
声を掛けたい、レナさんを救いたい……その思いは、今は苦しいだけかもしれません…。

二人の女性の、人生の岐路が交錯する場面です。

ミヤビちゃんが悩むから、私も考えます。一緒に。
私、存外、ドラマの正しい見方をしてる気がしちゃう。だは!
こんな恥ずかしいこと言っちゃう勇気をありがとうアンメット。


新たな朝だから、前を向ける

次のシーンは、ミヤビちゃんの新しい朝です。
ベッドにめざましくんが転がっていて、その向こうに机に向かっているミヤビちゃんの背中。
いつもの。ああ、カメラがベリーグッドですほんと、毎度うなるわ!
もう、私たちは、ミヤビちゃんの朝がどう始まったか、めざましくん転がっている絵ひとつで、脳内再生できるようになっています。

ここで、やっと音楽が流れます。
日記が映ります。
鏡映描写法を根拠に、三瓶先生が手術ができると院長に話してくれたこと、
怖いと伝えたら言われてしまった、あの三瓶先生の強烈パンチ……

傷害のある人は人生を諦めて、ただ生きていればいいと思ってるんですか

by三瓶先生~日記より

をしっかり書いてある。その下に、
「レナさんは手術をしたくないと三瓶先生に伝え」たらしい?
を書いてあります。

やはり、同じ日の出来事でした。

それを読むミヤビちゃんは、全部忘れているわけですね…
あの、とてつもない辛さに見舞われて慟哭した、屋上の自分を知らないミヤビちゃんなのです。
ぐっと、両手が首のあたりで苦し気に髪を掴んでいます。手の感情表現。

ミヤビちゃんの想像が始まります。日記のページがばばばーっと音を立てて飛び散らかって、背景は今度は真っ暗です。

暗闇に、ミヤビちゃんが思い描く白衣の三瓶先生。じっと、ミヤビちゃんを見据えています。
「傷害のある人は、人生を諦めてただ生きてればいいと思ってるんですか?」
うつろな目で聞く、インディゴブルーなパジャマ?がかわいいミヤビちゃん。
二人が向かい合っていますが、、、距離が遠い。

ああ、ミヤビちゃん。日記でもショックを受けているからでしょう「え!こんなこと言われたの!?」。
想像上の三瓶先生の顔もちょっと怖いです。

レナさん情報を記した日記が映ります。患者情報はひとつところにまとめているんでしょうか。
救急搬送は3月1日。そこから始まっています。そして、例のカワイイ夫婦の似顔絵。夫さん情報。
じっと見返すミヤビちゃん。真剣そのものの眼差し。医者の目だっ!

記憶を毎日全部失くすって、本当に怖いというか、想像もつかないんだけれど、失くしているから、ミヤビちゃんは恐れずにじっと日記を読み返して、新たに考えることができている。
これ、、あの衝撃を引きずっていたらね、考えたくないですよね。よく言う「忘れたい」ですよ。

ああ、忘れたい!
ミヤビちゃん見ていてそんなこと、軽々しく言わないでおこうと思う一方で、忘れるって、逆に強さでもあるんだな、と感じるシーンです。
「立ち直る」なんて言いますが、ミヤビちゃんは倒れた自分を覚えてないから、立ち直るんじゃなくて、一から考え直している。
目がほんと、力強いんですよね。
フラットに、今すべきこと、だけを考えられるのかもしれないなあ。

レナさんが前を向いて行くために、自分にできることを考えている……きっと、これは本来のミヤビちゃんだ。そんなシーンを、説明セリフゼロで伝えてくれます。

もしや……あの強硬三瓶先生は、そこまで考えてた……?

星前先生は、ミヤビちゃんが何でもかんでも日記に書いて、朝読み直すのだと言っていた。
日記に何を残すか。
(鏡映描写法のテストは覚えてなかったから、「書かないでください」って言ったんだろうな~)

きっと彼女は新しい朝にまた、その日記を読んで、落ち着いて考えるはずだから、それに賭けようって。
「あなたは医者ですよね。レナさんを、救いたいですよね。一緒に救いましょう」
「でも、それはあなたが自分自身で選んでください」

私の三瓶妄想病の耳には、そんな三瓶先生の心の声が聞こえてきます。

場面変わって、夫さんと面談する、ミヤビちゃんと三瓶先生です。
続きは23へ。



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