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人に好かれた服

服は着倒す、靴は履きつぶす、
そうして少数のもののみを手元に、
が、本当は私の理想です。

しかし、人は色々な側面を持っており、多様な服が必要なのも確か。

仕事も色んな面を任され、地域や子供関係への参加、親戚や彼氏、趣味仲間や買い物先や旅行先、出産や通院

特に日本人女性は時々や相手に合わせて、それなりのコスチュームがあると言うか。

そうやって増えた服は、
その時期が過ぎたら着回すにも限界が来て、
下手すると卒業後も制服を着ている人みたいになる。

だから、
適切に処分しないといけないとは分かっています。

でも、どうしても捨て難いのが、
「人に好きと言ってもらえた服」

です。

小さかった子供が喜んでくれた服、
めったになく主人が好んでくれた服、

そして、
遠い土地の人や、
仕事を教えてくれた人、
今は無いバーのマスター なんていう

もう会うことのない、
暖かかった人たちが褒めてくれた服。

嬉しかった記憶は、この服を手放すと
間違いなく忘れてしまう。

写真にはない、手触りや匂いがあって、
抱きしめられるもの。

今はまだ次がある、未来があるから良いけれど、
歳を重ねたあと「ああ、あれも手放してしまったんだな」
と悲しい気持ちになるだろうという、
確信があります。


とはいえ、引っ越しの度に結構捨ててますが、
なにぶん、
下世話な話ですが、
一番厄介なのは勝負下着で、

それなりに高いのを買っているし、
見えるものでないので着倒すぞー、
と、使い倒しやすいものの、

捨てる段になると、
急に強烈にひよります。

身につける体がどうしても衰える分、こんなのも似合ってたよなー、という未練もあるし、
これを捨てて今楽なのを選んだら、多分体型も緩む。

小さいので数を置いといてもそんなに邪魔にならない。

なにより曲がりなりにも愛された思い出と密接なので、
どうしても忘れきらないんですよね、
もうホントやだ。

いずれ別れる彼女の下着を褒めたり、
早死しそうな生活してるのに気まぐれで買ってくれるのは、
凶悪な行為として禁止してほしい。

そんなで、
まだ行ける、まだ行けると、
古いランジェリーを残す理由を与えながら、

子供に貧乏くさいと言われても
「だってー」以上の理由は口ごもってしまう、

非常に厄介な 捨てられない服 なのです。







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