美味しいうどん?
気兼ねない友人4人で久しぶりに旅に出かけた。
一人を除いては仕事を持っているので、当然ながら土曜日曜の休日になる。
人は多い。
ある都市に行った。
今回の目的の一つである評判のいい名物うどん店を探す。
午後6時前に到着するが、既に何十人もの先客が並んで待っていた。
ネットではいいね👍が4.2だ。
帰る列車の時刻とも相談して並ぶことにする。うどんだから回転は早いだろうと、見込み通り30分足らずで入店できた。
メニューには多くの種類があったが、周りを見て定番のうどんを注文する。たかがうどんだが、一杯1500円と結構強気のお値段。
さぞや旨いんだろう。喉が鳴る。
隣のやはり旅行客だろうか、スーツケースを足元に女性二人が舌鼓を打ちながら食べている。
向かいの老夫婦も、ここのうどんはいつも美味しいと、ご飯と一緒に食べている。
俄然期待が高まる。
4杯のうどんが机の上に置かれる。
4人が箸を持ち、一斉に口に運ぶ。
ところが、一瞬のうちに箸が止まり4人が顔を見合わせる。
「?」
今までに食べたことがない食感と味である。
まず、つるつると喉越しのいい食感では無い。
何というか、うどんと言うよりも、まだうどんを打つ前の固めた粉を食べてる感じだ。汁も辛い。
あまりにいつも食べるうどんと違うので、友人の一人が
「すまないが、このうどんをもう一度、湯がいてくれないか」
と店員に小声で尋ねる。
すると店員は、こういった類いの質問を度々聞かれるのか、驚く様子もなくこれがこの店のうどんだと胸を張って答える。
決して、客が多くて、湯がく時間が足らなかったうどんでは無いらしい。
またもや4人が顔を見合わせる。
いや、これ、うどんちゃうやろう!
これで1500円やと。
店を出るなり一斉に4人が大声で喋り出す。(そこは一応常識はある)
「隣の爺さんは、うどん食べた後の丼に飯を入れて食っていたで」
「婆さんは美味しい美味しいと箸でうどん切ってたがな」
「まさか、客もネットの👍もサクラじゃなかろうか!」
今回一番の期待外れだった。
が、ある意味、一番の忘れられない旅の思い出とはなったけど、、
美味しくないうどん
しかし。
こちらにとっては、あんなうどんは初めてだが常連客にとっては、とても美味いうどんなんだろう。
なんとも、場所が違えば、美味しさや味覚がこんなにも違うものか。
TVのケンミ◯ショーとやらは、誰が食べても美味しいと言っているが、まあ全国放送で不味いとは言えんよなあ。
『名物に美味いモン無し』とよく言われるが、よそから来た輩にとってはマコトそうかもしれない。
帰宅して、残っていたオカズと茶漬けを食べる。
それを見ながら奥様が
「旅行で美味しいモンぎょうさん食べてきたのに、またそんなモン食べるん?」
「やっぱ、家で食うモンが一番美味いわ」
「そう?ウチは外で食べれるモンやったら何でも美味しいけどね」
「あのな、お前が作ったんが一番美味いっちゅうとんや」
「残念でした。その手には乗らんで、明日はアンタが食事当番やからな。
あっ、それから、
うどんはやめてな!」