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マックス・ブルックス『モンスター・パニック』

グリーンループというハイエンドかつハイテクなエココミュニティが火山の噴火により陸の孤島となってしまう、噴火の影響で山奥から降りてきた怪獣に皆殺しにされそうになる住人たちの戦い・・・というのが筋書きです。設定はよくあるのですが、そのぶん住民のキャラクターがいかにも現代であるなと言う感じにアップデートされています。

主人公のケイト・ホランドはノーマルな人間な感じがします、夫のダンは無職でひきこもりぎみな子供っぽい人間です。その他はグリーンループでグリーン革命を起こそうとしているトニーとイヴェットのデュラント夫妻。同棲カップルのカーメンとエフィーにはロギンヒャの養子パロミノがいます。ヴィンセントとボビーのブース夫妻はヴィーガン。アレックス・ラインハートはきなくさい過去をもつ哲学者。最後のモスターは謎の多い彫刻家です。怪物に囲まれた最初はモスター・ケイトとダンが戦うことを選択し、その他の住民は平和的な解決を望みます。この人数分けが物語が進むに連れ変化していくところがこの小説の面白いところです。

どころどころに入っている動物の凶暴性のエピソードが物語をさらに恐ろしくしていきます。チンパンジーが組織をくみ自分たちより弱い猿を食用に捕まえることやピューマがいかにして人を食べるようになったかなどです。そして住民が「やつらは私達を皆殺しにするつもり」「やつらは私達を恐れていない」ことに気づいたときが恐怖の頂点となります。


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