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葛飾北斎の浮世絵

この日本酒企画が動き出した2021年初夏、私は日本の画家の中で、いや世界中の全ての画家の中で、葛飾北斎が一番好きだった。
(今は、飛騰燈火のパッケージの龍と鳳凰を描いてくださった、浮世絵師・旬(しゅん)さんが一番)

恐らく10年以上前、江戸東京博物館で開催された肉筆浮世絵展に行った時に初めて葛飾北斎の絵を見て、「絵が生きている」と思った。

それまで教科書や画集でしか目にしたことのなかった浮世絵のイメージは、西洋の絵画に比べてのっぺりしている、リアルじゃない、美人図とかどこが美人なの。。などと思っていて、特別興味はなかったのだけれど、初めて目にする肉筆浮世絵はモチーフが生き生きとして美しく、中でも北斎の絵は、晩年に描かれたものでも、少しも衰えることのないエネルギーが満ち溢れ、私の心を捉えた。

描かれてから200年以上の時を経てなお、観る人を魅了する圧倒的な力。
作品から伝わってくる生命の躍動感ー。

日本の浮世絵が海外で高く評価されコレクションされた理由がよくわかった。

まさに、これこそ本物の芸術だった。

他の作品を見るために、長野県小布施町にある北斎館や岩松院にも足を運んだ。

2021年7月9日、『HOKUSAI』の映画を観に行った。
https://youtu.be/TmHdznEfo60(『HOKUSAI』予告編)

「絵なら下っ端から這い上がれる」「勝負してえんだ世の中と」と、北斎が絵に全てを賭け自身の表現を追求するひたむきな姿、「絵はな、世の中変えられるんだぞ」という、阿部寛扮する版元・蔦屋重三郎の言葉、そして木版で浮世絵が刷られていくシーンが印象に残った。

この日本酒の瓶に貼るラベル…当時はまだラベルを前提とした発想の中ではあったけれど、2種の酒をそれぞれ象徴するオリジナルの家紋のようなものをデザインして彫師に木版に彫ってもらい、摺師に刷ってもらう、伝統的な浮世絵の技法を用いるのはどうか、と考えた。
とにかく徹底的にこだわった、ほかにないものを創りたいと思った。

この時に浮かんだ、"浮世絵"という一つのキーワードが、その後の出会い、インスピレーションに繋がっていくこととなる。



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