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ラッキーに遭遇⭕️/古着物の再利用法

こんにちは
日本の着物仕立て処 ❋ 菊瓢 です

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「 和裁は我が国必須の英知の結晶。」
私は古より連綿と受け継がれてきた美しい着物を形にする技術【和裁】を慣用にする活動に力を入れています。
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🍀今回は2の古着物の再利用時に感動した話をご紹介したいと思います。


◯古着物一枚目

一枚目はこちらの着物。
まずはと仕立て替えるために解くのですが、表地をよーく見ると変わった部分があることに気が付きました。

表面

至近距離でジーっと見ないと分からないのですが、横段模様の間に黒線で花の様な下絵??がチラホラと見える。

——まさか染色途中のレア生地でしょうか?

謎は深まるばかりなので早速にと解くとすぐに原因が分かりました。

裏面

裏面を見ると別の姿が現れたのです。

表面は染め分けされた型染めのみだったのですが、裏面にはその上から花が描かれていたのです。(この黒い線も型染めかもしれません)

⚠️何故裏に絵が隠されているの?

これは当初予想した染色途中の状態ではなく、|敢《あ》えて裏表を逆にして仕立てられているものだったのです。

本来なら裏側となっていた「花絵面が表」として売られていたものを、お客様の希望によって裏表を替えたものだと考えられます。

汚れが目立つ表面

⚠️何故裏表を替えるのでしょうか??

これにはいくつか理由があります。
仕立て替え時に汚れを隠す目的で裏表を入れ替えたり、最初から敢えての選択でこの様な仕立てになることも少なくありません。

⚠️裏を表面にして大丈夫なの??

染色職人さんの技術が高いお陰で、表裏どちらを選んでも問題なく着用できる着物は多く存在します。中でも両面染めと呼ばれるものは、裏表で全く別の柄が染められていたり、配色を変化させるなど職人さんの高い染色技法には心から敬服するばかりです。

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これが着物の面白いところだと言わんばかりのまさかの裏面に驚いてしまいましたが、既に形となっている姿からは想像できない様子を確認出来るのは仕立て替え時のみと考えると非常にワクワクする瞬間でした(*^^*)

裏側を表面にし羽織へ仕立て替えました

着物の魅力は裏側にまで秘められている⭕️

実際のところ汚れの程度から伺うと、スタメン着物からは外れてしまう様な着物でも、この様な再利用方法で生まれ変わることも可能なのです。

着物を手放す前の判断材料の一つとして捉えていただくと幸いです^^


◯古着物 2枚目

こちらの古着物も使い道に困っていた内の一枚。写真では伝わり難いのですが、ツルっと艶のある質感で、汚れもない良品にも関わらず古びた印象の見た目なのです。

艶のある見た目

少なくとも令和の見た目ではないかな。と謙遜していたもの。(着物を着ている時点で既に。とツッコミが入りそうだが…)

こちらも仕立て直すために解いたわけです。

左/元表面                                右/元裏面

すると意外にも裏面の印象が悪くない事に気がつく。

表面ほどに艶のないマットな質感。
……断然使える!

❤️‍🩹「無し」だと考えていた着物を解いたとこで「有り!」に変わったのです。

なんて場当たり的な考えでしょうか(ーー;)
こんな自分に落胆することもありますが、今回の場合は行き場を見失った着物に困っていましたので、むしろ幸運だと捉えています♩

裏表を替えて羽織に仕立て直したもの🪡

羽織に仕立て替えた様子から裏面との違いをよくご確認いただけるでしょう。

着用していただきました♡

ものぐさ個人的にはこの仕立て替えは良判断だっとと思っています。

この羽織は↑こちらのnoteでも紹介しています

古着物を解いて初めて分かる新たな印象と出会えて後悔はありません(*^_^*)


◯最後に

今回は2枚の古着物の再利用法をご覧いただきましたが、如何だったでしょうか?

どちらも【裏表を入れ替える】といった着物ではよくある選択でしたが、このことは意外にも仕立てをよく知っていないと気付けない選択かもしれないと思い至り、noteに書いておくことに決めました。


手持ちの全着物の裏面まで知ることは、解いて縫う等の手間を考えるとなかなかできることでは有りませんが、知っておくと着物の将来を見据えやすくなるかもしれないですね。
多くは仕立て替えに関わることなので、意思疎通の取れた担当和裁士さんとの付き合いの中で育まれる着物もあるかと思います。裏面までしっかりと把握している仕立て屋も悪くないかと。

以上、簡単にまとめましたが、古着物の魅力を再発見する一つのきっかけになればと思います。

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日本の着物仕立て処❋ 菊瓢では和服に関する様々なご相談を承っております。ご試着も可能ですのでお気軽にメッセージをお寄せくださいませ。
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