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『H imagine』Vol.1 特集:スピる ついに刊行!

先週ついに『H imagine』創刊号が刊行されました!テーマはずばり「スピる」、つまりスピリチュアルになることです。
中森明菜に始まり、小林秀雄、なだいなだ、色川武大、小林昇、さらにはタテカン問題に至るまで、ユニークで様々な人物、場所、作品に絡めた「スピる」論をとくとご覧あれ!
他にも自由投稿枠では、ニーチェ主義者が考える宮崎駿監督作品「君たちはどう生きるか」の映画評や、詩も掲載しています。

表紙と裏表紙はこんな感じです!(どちらが表でどちらが裏でしょう?)

表紙?裏表紙?
表紙?裏表紙?


今回は、Vol.1掲載の「創刊の辞」と「巻頭言」(本誌には「巻頭言」が2つあるのです!!)から一部を引用してご紹介いたします!


・「創刊の辞」(ユウジン)
 「暇人」と聞いてまず思い浮かぶのは、ベッドの上で何もせずぐうたらしているその姿、あるいはあてどなく街をさまよい続けるその姿。ぶらぶらと生きる彼ら暇人たちは、世間から「無用者」として軽蔑される。道行く人が皆、「忙しい、忙しい、時間がない」と言って、足早に通りを往来するこのご時世にあっては、たしかに「怠け者」と見なされかねない彼ら「遊歩者」たちの姿は、どうしても否定的なものとして世間の眼に映るのだろう。しかし私たち同人は、「暇人」であることに大きな価値を見出したい。
 有名な語源話―― 英語school の語源は、古典ギリシャ語のscholē 、すなわち「暇」に由来する―― を持ち出すまでもなく、学問をするうえで「暇」が必要なことはおのずとわかる。「暇」なきところに学びは生まれない。(中略)
「暇人」とはすなわち、何にも縛られない「自由人」のことである。そうした「暇人」=「自由人」にしかできないことが、この世界には無数にある。学問と関連づけて言えば、それはまずもって、いわゆる「アカデミア」と適度な距離を保ち、好きなことを好きなように各々の流儀でもって自由に書き連ねてゆくことである。主題にも文体にも形式にも縛られない、いわば「論文」と「エッセイ」のあわいに位置するようなそうした文章は、そこに書き手の「好き」が詰まっているがゆえに、必ずや、人の心を動かすものとなるはずだ。

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・「スピる」巻頭言(ユウジン)
本号の特集はずばり「スピる」。「スピる」の「スピ」は「スピリチュアル」の「スピ」。だから「スピる」というのは「スピリチュアルな状態になる」「スピリチュアルな境地にいく」ということだろう。この言葉はネット上でも見かけるし、日常生活でもよく耳にする。たとえば「あいつ最近スピってるよな」「あの人もスピっちゃったか」という使われ方で。仲間内でひそひそと、後ろ指を指しながら、こうした言葉は交わされる。このとき「スピってる」という言葉は、からかいの言葉、さげすみの言葉として否定的に使われている。しかしここで一度、立ち止まって考えてみたい。人間にとって「スピる」は本当にそうした意味しか持っていないのか、と。

・「スピる」巻頭言(曲田尚生)
今回「スピる」というテーマを掲げているからといって、さあみんなでスピろう!とは気軽には言えない。言ってはならない。それを推奨しているわけでもない。時にそれは自他ともに死を招く危険な賭けなのだから。そんな発言はあまりにも無責任だ。だが、社会からの抑圧によって自ずと芽生えてくるものがあなたにはあろう。それこそ、何度も触れ、幾度も想い、繰り返し考えることで生じた回帰の渦より顕れた、日々あなたが愛し、信じている何かではないか。それを守るために戦いたいとは思わないか。公的なもの、私的なものの区切りでは閉じ込めきれない無意識に宿る何かのために。そのような振る舞いは他者から見れば確かに狂気だ。私か世界、どちらが間違っているのか誰か教えてくれと、天に発狂するが如きものだ。しかし狂気のなかにも一握の理性はあるはずなのである。私はそれを信じて来たる寄稿を待っていた。


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・目次

創刊の辞(ユウジン)
巻頭言「スピる」(ユウジン)

・特集枠
なにもしない自由(ナガイ)
鳥かごの中の自由――京都大学にみる「スピる」(近畿のくろ豆)
1989年の中森明菜問題――「蒼ざめた孤独」を選んだ旅路(マチュピチュ子)
色川武大――「スピること」の非ロマネスク的な実践(星野隆也)
私のふたつの「スピる」体験――いくつかの本を手がかりに(ユウジン)

・自由枠
「信じる」という神秘について(髙木佑透)
失われた瓦礫を越えていく――映画「君たちはどう生きるか」について(曲田尚生)

・執筆者近況報告

・詩
蒼穹を越える舟路(曲田尚生)

・自由枠
図書館を作るという考えに至るまで(平田夕葵)

・特集枠
「日本人」の創出・再生産に抗して――スピってみるという抵抗(矢口陽二)
万葉はほろびむかもとけふも詫ぶわが掌に置かむ万葉もなく――歌人小林昇と彼の経済学史によせて(一)(李依妮)
非在の木霊――小林秀雄「感想」をめぐるノート(山本勇人)
なだいなだの文学と政治(その一)――『影の部分』が投げかけ続ける問題(藤野良樹)
『切りとれ、あの祈る手を〈本〉と〈革命〉をめぐる五つの夜話』とともに夜を迎えて(曲田尚生)

巻頭言「スピる」(曲田尚生)
創刊の辞(ユウジン)


『H imagine』創刊号は随時、書店や京大生協などで販売予定です。また近くに書店や生協がないという方は、オンラインショップのBASEでご購入いただくことも可能です。詳しくは以下のサイトよりご確認ください。

ぜひ、お手にとっていただければと思います。よろしくお願いいたします!


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