わたしが、本屋さんを開くなら。
すてきな企画を発見!
メディアパルさんの「♯本屋さん開店します」。
えー!楽しい!!
なんてワクワクする企画!
厳密な「書店」として成立していなくてもいい、というのが懐が深くていい。
どうしても、「夢のまた夢」みたいな本屋さんになりそうだけど、企画者さんが「ぼんやりふんわりでもいい」と書いてくださっているので、気軽に参加できる雰囲気があったかい。
みんなは、どんな本屋さんを開店するんだろう。
そして、わたしなら。
どんな本屋さんを、やってみたいだろう。
◇◇◇
まず、お店の雰囲気を思い浮かべる。
緑色が好きなので、「グリーン」なイメージがいい。
どちらかというと新しい雰囲気の、だけど落ち着く木造の建物で。
木や緑の美しさを生かしたきれいな外観。
大きな窓があって、日の光がいっぱい入る店内にしよう。
お店は大きすぎず、でも小さすぎない。
本棚は、一人で見切れる量だけど、それなりに見応えのある蔵書数で。
本棚と本棚のあいだは、ゆったりとスペースをとっておく。
人とぶつからないし、ベビーカーでも移動しやすい。
棚の間には、ちょこちょこと「読むためのスペース」を設置しよう。
ベンチ、ソファー、立ち読み用の高いテーブルなんかもいいな。
もちろん、子ども用の小さなベンチや、いっしょに座れるカーペットフロアも用意する。
お店の奥に、小さなカフェがあると嬉しい。
スタバみたいに有名な店舗じゃなくて、本をついでに読んでいきたくなるような、こじんまりとしたカフェがいいかな。
軽食を食べたり、勉強や仕事をしたりするようなカフェではなくて、飲み物をお供に、買った本や買いたい本を読んでいく場所。
本を決めて、コーヒーをテイクアウトし、外に出ると、そこには芝生が広がっている。
いくつかの木と、小さな花壇があって、見晴らしのいい広場のあちこちに、ベンチがある。
おもわず腰掛けて、本の続きを読む。
さわさわと、風が気持ちいい。
風と、みどりの本屋さん。
ね、どう?いいでしょ。
想像するだけで、行きたくなる。
◇◇◇
店内の話に戻る。
本棚の「中身」の話だ。
本棚には限りがあるので、なんでもかんでも置くことはできない。
流行りの本や、人気の本は、大型書店にいくらでもある。
それよりも、「子ども」のための本を置こう。
流行りものもいいが、昔ながらの絵本も。
企画用のコーナーがあって、そこでは季節の本や、色やモチーフをテーマにした絵本が集められていて、見るのが楽しい。
「せなけいこ」、「かこさとし」、「中川ひろたか」みたいな作者のコーナーもどんどんやるし、絵本にまつわるイベントを開催するのも、おもしろそうだ。
赤ちゃんから、小、中、高校生まで。
それぞれの子どもたちが楽しめるような絵本や児童書が、うちで揃う。
申し訳ないけど、漫画は置かない。
漫画はどこでも買えるし、封がしてあると、立ち読みしてできない。
うちは「読んで行ける」本屋さんがいい。
本は、単行本をゆったりと置く。
あったかい気持ちになれる本や、落ち込んだときに、そばに置いておきたくなるような優しい本を集めて、ならべよう。
せっかくだから、わたしが好きな人たちの本を置きたいな。
島田潤一郎さんの夏葉社コーナーは、絶対に。
それから、日記ばっかり集めた、日記本の棚。
くどうれいんさんや、古賀及子さんを。
そうだ、短歌も、いっぱい置こう。
あと、絵や図の大きな画集も置きたい。
ほんとうは、そういうのはあんまり立ち読みしていいものじゃないのかもしれないけど。
でも、すこしだけでも中身が読めて、気に入った人が買ってくれるといい。
そういう、絵や写真をぼうっと眺めて、心が落ち着く瞬間ってあるとおもうから。
うちの本屋さんは、難しい本、流行りの本、仕事ができるようになりたい人ための有益な本は、あまりない。
スピードの速い人たちからは「あの本屋、仕入れ遅いから」とか「のほほんとした店だよ」とか呆れられて、そういうバリバリな人は、あまり立ち寄らない。
もっと、ひとりぼっちの人に来てほしい。
育児で疲れて、子どもを連れて外に出たけど、どこにも行くところがなくて、あてもなくぶらぶらと公園を散歩しているときに、ふと立ち寄って入れるような、本屋さん。
受験の雰囲気がしんどくて、逃げ出したくて、どこか心を落ち着ける場所を探すんだけど見当たらなくて、路頭に迷った中高生が、お金も持たずに入れる、本屋さん。
仕事がきつくて、いつのまにか趣味も見失って、何がしたいのか分からなくなって、それでも家に居辛いから、とりあえず外へ出てきただけの、毎日がんばってるおとなが、何時間でもいられる、本屋さん。
客はそんなに多くない。
誰にも会わずに、本だけ見つめて。
心に寄り添ってくれる本と、美味しいコーヒーと、風の気持ちよさだけを、ひっそり持って帰れるような。
そんな本屋さんになるといい。
__寂しいだろうか。
儲けも、ないだろうな。
でも、わたしはそんな本屋さんがもしあったら、誰にも言わずにそこへ行きたい。
雨の降る日。
その本屋さんから出ていけない理由を雨のせいにして、何時間でもその本屋さんで本を読み、ときどきコーヒーを飲んで、ずっとずっと、ずっとそこにいる。
雨が止むまで、ずっと。
◇◇◇
思いつくままに書いた。
めちゃくちゃ、筆が進んだ。
本屋さん、夢の本屋さん。
わたしはたいして本屋さんのことを知らないし、いろんな本屋さんを巡ったこともないし、本屋さんが立たされている苦境のこともわからないけど。
本屋さん、好きです。
わたしがおばあちゃんになっても、ひとりぼっちになっても、本屋さんが、あってほしい。
今夜は、わたしが心の中でつくった、緑あふれる本屋さんを想像しながら、眠る。
夢の中なら、その本屋に行けるかもしれない。