連載~時間に負けた男~ 5話
「もしもし!」
「ありがとうございます!」
「ありがとうございます!」
「ほんとうにありがとうございます!」
男は握りしめた携帯に向かって必死にお礼を言った。
電話の向こうの男は何だか面食らったように
「はっ」
とだけぼそっと言った。
いかんつい取り乱してしまった。
「いや、まさか電話に出てくれるとは思いませんでして」
電話の向こうの男が聞いているのかどうかすらわからないが矢継ぎ早に男は話した。
自分の生い立ち
学校での思い出
勉強に打ち込めなかった学生時代
成績の話
よ