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帰省中の電車で速読HARD THINGSした話
実家は武蔵野市の武蔵境という場所にありまして。最寄駅から少し遠回りして東京駅始発中央線にのって帰省。毎度恒例。別のルートもあるけど、子供と一緒だし座っていきたいからね。
東京駅から武蔵境までは32分。
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着席して、子供達にSwitchを渡し。いざ30分で一冊読むチャレンジスタート。
今回の食材は「HARD THINGS」
2015年に出た本で一時期、意識高い界隈をざわざわさせた本。
本編自体は381P。30分で読んだため、単純計算すると1分で12.7Pを読んだことになる。
もちろん、そんな速読はできるわけもない。今回は早くための方法と、30分でどこまで読み解けたかをレポートする。すでにHARD THINGを読まれ方は30分だとこの程度か、と嘲笑いただきたいし、未読の方はざっくりと概要を掴んでいただければ幸いである。
ちなみに私はこの類の速読は苦手だし、仕事で必要に迫られた時以外はやらない。速読そのものは否定しないが、あまり豊かな文化だとは思わないので。速読マスター的な技術は一切なので、そこはご理解いただきたい。
1、方法
①目次を読む。(3分)
②Amazonの概要を読む。(30秒)
③序章をざっと読む。(5分)
④興味のあるPをざっと読む(15分)
⑤オチを読む(5分)
まずは目次だ。目次で全体の流れといいたいことを把握する。特にこれ系のビジネス本は言いたいことが1つか2つに収斂されるので、言いたいことだけつかめればまずはOK。時間がなければ全部すっとばして①だけでもよい。
Amazonの概要も大切だ。簡単に書籍がまとめられているので、目次と合わせて読んでおこう。①と②の順番はどちらが先でも構わない。
シリコンバレーで最も注目されるベンチャーキャピタル(VC)、アンドリーセン・ホロウィッツ。
ブラウザを発明した天才、マーク・アンドリーセンとともに、このVCを共同創業したのが著者のベン・ホロウィッツだ。
ベン・ホロウィッツはネットスケープなどを経て、クラウド企業のラウドクラウド社やオプスウェアのCEOを務めた。
起業家時代のホロウィッツには、これでもかというほどの困難(ハード・シングス)が次々と襲う。
ドットコム不況が襲い、顧客が次々に倒産し、資金がショート。打開策を見つけてIPO(新規上場)を目指すも、
投資家へのロードショウ中に妻の呼吸が止まる。
上場してもパーティさえ開けないような状況で、株価は35セントまで急落。
最大顧客の倒産、売上9割を占める顧客が解約を言い出す、3度にわたって社員レイオフに踏み切らざるを得ない状況に。
しかし最終的には、困難を切り抜け続けて、1700億円超で会社を売却する大成功を収めた。
壮絶すぎる実体験を通して、ベン・ホロウィッツが得た教訓とは何なのか?
リーダーへ、そしてゼロから何かを生み出そうともがき苦しむ人へ、著者がシンプルで説得力のあるアドバイスを贈る。
ベンのアドバイスには、危機のすべてを実体験して切り抜けてきた者のみが持つ権威がある。
ディック・カストロ(ツイッターCEO)
ホロウィッツは、成功を保証する法則なんてないことを熟知している。
この本は、起業家が自己満足で自滅するのを防ぐ実効性のある初めてのガイドだ。
次に序章。序章は大切だ。筆者の問題意識を掴むことができる。
④〜⑤は特に説明しなくてもいいだろう。本は書かれている小ネタで自分にとって有益なものを拾う作業でもある。目次から自分が必要な章を拾って読めばよい。
③〜⑤も全文目を通すのではなく、章のはじめと終わり、箇条書きになっている部分、太字になっている部分とその周囲を読む。また接続詞も重要だ。「例えば」があれば、前分が抽象で、後ろが具体例になる。抽象がわからなければ後を読めばいいし、具体が分からなければ前に戻ればよい。
「しかし」「ただ」の逆説も重要だ。読み進めていくうちに?と思う分が出てきたら目を走らせて逆説を探そう。だいたいその後に筆者の主張が続く。
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重要なのは断ったということだ。チープトリックの誘いには乗らない。
2、HARDに速読してTHINKIGしてみた結果。
本書を読んだ結果をお伝えしよう。
とりあえず具体例がだらだらと長いが、主張自体は一貫しており、ビジネスマンであれば手元において読み返すべき本。
主張は一点だけ。
「逃げるな。考え続けろ。努力しろ。」
である。
作者は江田島平八なのかと思ったがベン・ホロウィッツさんという方らしい。
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昔、何かの本で読んだが仕事で困難な壁やトラブルにぶつかったらまず取る行動は「腹をくくる」だった。
素晴らしい。
私ももう20年ちかくサラリーマン人生を送っているが、トラブった時に逃げれば逃げるほどトラブルは大きくなる。目の前のことをまっすぐ見つめて手を動かせば案外、物事は好転していく。教科書はない。ただ個別の事象に対し向き合うだけだ。
ただ向き合うってのが存外難しい。エネルギーがいる。途方も無いほどの。
上述した通り、だからこそHARDTHINGSは手元に置いておくべきだ。向き合う時のエネルギーになるから。読めば「辛いのは俺だけじゃ無い」という気持ちになれる。
本って案外こういう使われ方しないんだよね。手元において迷った時に繰り返し読む。知識を手にいれるとかじゃなくて自分と伴走してくれる本。サプリメントみたいな。
誰にも責任を転嫁できない
CEOの基礎能力は「不自然さに耐えること」
苦闘を愛せ
携帯の待ち受けにでもするか。
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3、逃げるな戦え以外のパンチライン
本を読む時に本筋以外の知識やフレーズが妙に頭に残ることがある。本の楽しみって実は本筋以外なんじゃないかな。本筋はほぼ誰でも同じようなことを読み取れるが、脇道は人それぞれ。
100年の孤独を読んだ時は「部屋に恋があふれた」というフレーズが妙に頭に残ったのを覚えている。
福利厚生は企業文化じゃない
平時のCEOと戦時のCEO
など、ボディブローに聞く言葉がたくさん。昨今のスタートアップとかに爪の垢を煎じて飲ませてやりたい。なんで朝活とかヨガが企業文化になるんだよバカ。
CEO、日本で言えば社長的な人には平時、つまり凪の時に適したCEOと会社が倒産寸前、やっばい時のCEOでは求められるスキルが違うといった指摘も非常に面白かった。
感想 俺はもうCEOにはなれないからな。
速読がやりやすい本だった。CEOという文字が出ているがどちらかというと経営者側の本である。部下を首にする時、肩書きと昇進など、マネージメントしつつ手を動かす出世街道エリートにはかなり有益な本だろう。
恥ずかしながら、数年前の部署異動で出世コースは完全に外れた私。当時は色々と思うことはあったが今は開き直って求められる数字だけを追い求め、17時30分以降に自身の趣味やスキルアップに勤しむ私。
そんな平熱社員にはいささかオーバースペックだったのも事実。ただこの事実が幸いして目次で大部分を読み飛ばすことができた。首を切られることはあっても首切る側にはまわらんもん。私。
全ビジネスマンが手元に置いておくべき一冊であり、起業家や出世コースにのって部下を多く持つマネジャークラスには必読、といってもいいかもしれない。
気になったらぜひ手にとることをお勧めしたい。