音楽家「シューマン」の大恋愛
シューマンってどんな人?
ドイツの作曲家であり、音楽批評家。文学と音楽が好きだった。『新音楽時報』という音楽雑誌を創刊し記事を執筆。ピアニストを目指し師事していた先生の娘と大恋愛を果たす。
有名な楽曲:『トロイメライ』『ミルテの花』
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シューマンのエピソード
クララとの出会い
シューマンの運命の相手、クララ・ヴィークとは彼が18歳、クララが9歳の頃に出会った。
その頃のシューマンはピアニストに憧れており、ピアノ教師であったクララの父フリードリヒ・ヴィークにレッスンを申し込んだ。(以降はクララをクララ、彼女の父をヴィークと書き分けることにする)
出会ったばかりのころは兄妹のような関係で、二人の間に恋愛感情はなかったようだ。当時、18歳と9歳という年齢を考えれば当然のような気もする。
そんな二人が恋愛関係となったのは、それから8年後のことだった。
そして、そこから二人の大恋愛が始まったのだ。
父ヴィークが二人の恋愛に猛反対
シューマンとクララの関係が恋人となってまもなくのころ。
娘クララと弟子シューマンとの関係に父ヴィークは気がついた。
そこで、ヴィークはクララをライプツィヒからドレスデンへと移り住ませることで二人を引き離そうとした。
しかし、シューマンはクララに会いにドレスデンを訪れ、3日間を共に過ごしたことで失敗する。
ヴィークはこの密会を知り、二人をライプツィヒに連れ戻すと激しく叱責した。
その結果、シューマンはヴィーク家への出入りが禁止され、クララには手紙の監視が課せられた。さらに、その後もヴィークによる激しい妨害行為がたびたび行われた。
ヴィークの妨害に嫌気がさしたクララは一時期、シューマンとの関係を終わらせようと考えた。
しかし、やはりシューマンへの想いを捨てきることはできず、自身のピアノリサイタルでシューマンが贈ったピアノソナタ第1番を弾き、決意を固めた。
その間の二人の関係は、共通の知人の協力のもとで続いていた。二人はヴィークに隠れて文通を行っていたのだ。シューマンは手紙の中でクララにプロポーズを行った。
そして、1837年8月、シューマンへの手紙でクララは結婚を承諾した。
結婚裁判
プロポーズの返事を受けたシューマンは結婚を認めてもらうべく、ヴィークと話し合う約束を取り付けた。けれど、その話し合いで得られたものは何もなく、ヴィークは頑なに二人の婚姻を拒んだ。
そこでシューマンとクララの二人は結婚を認めてもらうための裁判を起こすことにした。シューマンとクララは母親の協力を得て、結婚を認めてもらうための裁判の準備を進めた。
これを知ったヴィークは激怒した。街中でばったりとシューマンと出会ったヴィークは彼を引っぱたいたという。しかし、肝心の裁判ではヴィークは有効な証言をすることもできず、裁判はシューマンたちに有利に働いた。
そして、シューマンとクララは裁判で結婚の権利を勝ち取り、1840年9月12日、シューネフェルトの教会で結婚式を挙げた。
ミルテの花
ミルテの花とは、ミルテの木に咲く白い花。
そのの花言葉は「愛のささやき」。
ヨーロッパでは、このミルテの花が結婚式のブーケによく使われる。
ある時、シューマンは『ミルテの花』という名前の歌曲集を作った。
この歌曲集はクララとの結婚を祝してシューマンが作曲したものだ。
そして、この『ミルテの花』という歌曲集は、結婚式前日に新郎シューマンから新婦クララにプレゼントされたものだった・・・という説がある。
残念なことに、この説を裏付ける証拠はないらしい。
だがもし本当であれば、この歌曲集そのものがシューマンからクララへ贈られた花嫁のブーケだった可能性が浮上する。
結婚後の二人
その後の結婚生活の話も少し。
シューマンとクララは理想的な夫婦だったそうだ。ただし、ケンカをすることも少なくなかったらしい。
そんな二人の素敵な関係性がうかがえるエピソードがある。
それがお互いの日記を共有しあうというお話だ。
結婚以前から、シューマンもクララも日記をつける習慣があったそうで、結婚後、二人は互いの日記を統合することにした。互いに日々の出来事を日記で報告しあい、毎週日曜日には一週間分の日記を朗読してコメントをつけあったそうだ。
ちなみに余談だが、シューマンとクララの間には8人の子供が産まれた。クララは子育てに仕事にと忙しい日々を送ったそうだ。
<感想的なサムシング>
見事な大恋愛劇を乗り越えた音楽家シューマン。その後も幸せな結婚生活を送ったのだが、実はその他で様々な苦悩を抱えていた。
青年期では自分の進路に悩み、ピアニストを目指したが指を負傷してしまう。結婚後も妻クララの演奏旅行につきあえば、知名度の差で自分だけぞんざいに扱われ不満が募った。晩年になると精神の病に苦しめられ、自殺未遂を引き起こし、精神病棟に隔離されてしまうのだ。しかし、それでもクララは彼との関係を断つことなく愛し続けた。シューマンもまた最後の瞬間までクララを愛した。
シューマンの人生は悩みも多く、忍耐を試されるようなものだったが、そんな中でも風化することのない愛情を抱けたことは物語的な美しさを感じる。
今回は、まもなくバレンタインということで予定を変更して投稿した。
次回は、元の流れ通り、古典派の音楽家についてざっくり触れる記事を投稿予定だ。それではまた。