うつ病が運動でなぜ良くなるのか?生理学的メカニズム
若い頃、何度かメンタルダウンしたこともあり、体調管理には人一倍気を使っている。十数年の自分を使った実験からは、やはり睡眠、運動、食べ物が大事で、とりわけ運動がいちばん大事なような気がする。というのも運動をしっかりした日はしっかり眠ることが出来るからだ。
今回取り上げる論文は、うつ病で運動が効果があるのはなぜかという点について掘り下げた総説論文。
この論文ではうつ病に対する運動の効果について生理学的に検証した研究を紹介し、そのメカニズムについて論じている。
これによると、うつ病にかかわる生理学的指標としては
・BDNF
・HPA軸
・炎症
・セロトニン/ノルアドレナリン比
があり、抑うつ状態および運動による回復過程では以下の図のような変化が起こることが述べられている。
ちなみにBDNFは脳由来神経栄養因子で神経細胞の保護に働き、これが少なくなると海馬の萎縮が起こることが知られている。
また炎症症状は精神疾患と関連することが知られており、炎症性サイトカインがその具体的指標となる。
HPA軸についてはストレスコントロールシステムで、ストレスが加わると活動が亢進し、交感神経が優位になる。
運動を行うことでこれらのシステムのバランスが整うことがいくつかの研究で示されていると。
具体的な運動量については
・週に3~5回
・1回の運動につき45~60分間
・中等度以上の負荷
が推奨されると。
Q: 年をとると運動の効果も薄いような気がする。加齢で慢性的に炎症症状が高まるのだろうか。
明日目を通す論文:
Inflammageing: chronic inflammation in ageing, cardiovascular disease, and frailty
炎症:加齢、心血管疾患、およびフレイルにおける慢性炎症