新暦と旧暦 暦のこと(記事95)
今月29日は春節、旧暦の正月朔日です。
中国は、日常生活では新暦を使っていますが、伝統的な行事や祭日(春節、端午、七夕、中秋など)は旧暦を使っています。
ということで、今回は簡単に暦のことを書きます。
ご存知の通り、新暦は太陽の運行を基準にしており、旧暦は月の満ち欠けを基準にしています。
月の満ち欠けは約29.5日が一つの周期になっているので、旧暦の一カ月は29日か30日になります。29日の月を「小月」、30日の月を「大月」といいます。
「小月」と「大月」が何月に当たるかは年によって違います。
例えば今日(2025年1月9日)は旧暦十二月初十日で、今月は「小月」なので29日しかありません。よって今年の旧暦での大晦日は十二月二十九日になります。
このように旧暦では一カ月が29日か30日しかないので、一年は約355日になります。
新暦は一年が365日(閏年は366日)なので、新暦と旧暦では毎年十日間ほどの差が生まれることになります。
一年だけなら大きな問題にはなりませんが、三年経てば一カ月のズレとなり、そのうち夏と冬が入れ替わる、ということにもなってしまいます。
そこで旧暦では二十四節気が導入されました。二十四節気は太陽の運行を元に一年を24の期間に区切ったもので、代表的な節気には立春、春分、立夏、夏至、立秋、秋分、立冬、冬至や、小暑、大暑、小寒、大寒などがあります。
余談ですが、二十四節気は農作業の日程(田植えや収穫の時期など)を決める基準にもなっているため、四川の農民戸籍をもつ義理の両親(妻の両親)は二十四節気をすらすらと諳んじることができます。
太陽の運行から生まれた二十四節気は新暦に符合しており、新暦では毎月二回の節気が存在します。しかし旧暦は新暦より短いので、二十四節気が余ることになります。どういうことかというと、(少しややこしいのですが)旧暦では、節気が一つしかない月(正確には、二十四節気の中で十二中気と呼ばれる「雨水」「春分」「谷雨」「小満」「夏至」「大暑」「処暑」「秋分」「霜降」「小雪」「冬至」「大寒」が存在しない月)が生まれてきます。この節気が一つしかない月が「閏月」となり、暦のひずみを調整します。
例えば2025年の旧暦六月は新暦の6月25日に始まり、7月24日に終わります。
その間の暦はこうなっています(漢数字が旧暦です)。
6月25日 旧暦六月開始(六月初一日)
7月7日 小暑(六月十三日)
7月22日 大暑(六月二十八日)
7月24日 旧暦六月末日(六月三十日)
旧暦六月の次の月は新暦7月25日から始まり、小月(29日)なので8月22日に終わります。その間に迎える二十四節気は「立秋」しかありません。よって、六月の次の月が「閏」となり、「閏六月」が置かれます。先の暦の続きを書きます。
7月26日 旧暦閏六月開始(閏六月初一日)
8月7日 立秋(閏六月十四日)
8月22日 旧暦閏六月末日(閏六月二十九日)
8月23日 処暑(七月初一日)
旧暦では閏月が置かれる年を閏年といい、一年が十三カ月になります。
また、閏年は19年の間に7回置かれるようになっています(十九年七閏)。
小難しい内容になってしまいましたが、要するに、月の満ち欠けだけを使った暦は新暦よりも十日ほど短くなってしまうので、旧暦は太陽の運行も考慮して二十四節気を取り入れ、閏月を置くことで季節のズレを調整している、ということです。そのため、年によって春節が1月末になったり2月中旬になったりと、けっこう大きな振れ幅が生まれます。
ちなみに、旧暦は「太陰暦」、新暦は「太陽暦」と思われがちですが、旧暦は太陰暦を基礎にしながら二十四節気も取り入れているので、正確には「太陰太陽暦」といいます。
中国に関係していると旧暦に接する機会が増えます。折に触れて今回の記事を思い出していただけると嬉しいです。