頭の中のネットワークを広げる<概念形成>
頭の中のネットワークを広げる<概念形成>
「概念形成」とは、ざっくり言うと、個別のものごとについて「これってこういうことだよね。」と、上位の言葉(知識)でまとめることです。
例えば、小学生に生き物の仲間分けをしてもらった研究(*)では、「ライオン、ヘビは、なかま。なぜならキライだから」や「イヌ、ライオンは、動物。走るから」「イルカ、ペンギン、カニ、カメ、メダカは、魚。水の中で泳ぐから」と、自分の経験や形態の特徴から分類しています。
しかし、中学生になると、学んだ知識から、多面的、総合的に分類することができるようになります。
教科は概念のまとまり
教科とは、この概念のまとまりのことです。
算数・数学は数量、図形などの概念、生活科は身近な自然や社会の概念、職業科は労働の概念を学びます。
つまり教科とは、概念形成のための手段であり、授業は、頭の中のネットワークを広げ、言葉、社会、文化とつなげる活動のことです。
特別支援教育での概念形成
障害のある子どもたちは、自分で物事をつなげていく力が弱いことが多いのです。
例えば、「棚の上の青いカゴの右に置いて」という指示を聞いて、おもちゃを片付けます。
この場合、「棚」という家具の概念、「上」「右」の空間位置の概念、「青」という色の概念を獲得していることが必要です。
そのため、授業で整理された状況で、注目しやすいように教材を用意し、ネットワークをつなげていくことが必要です。
頭の中のネットワークをつなげていくこと、つまり「概念形成」を促すことが学校教育の役割です。
*水野宏也(1999)https://core.ac.uk/download/pdf/70293173.pdf