くらべて子どもを理解する
授業で、子どもが「できた!」「わかった!」と思った瞬間の顔は、見ていてうれしくなりますね。
例えば、「8+3は? 暗算で!」
繰り上がりのある足し算を100玉そろばんで習ったばかりの子どもは、頭の中で一所懸命玉を動かす顔をしています。
「11」
「正解!」
そのときの子どもの顔は、「うれしい」と言うより、"満足"した表情が浮かんでいます。
褒められたから嬉しいのではなく、「できた!」「わかった!」ことが満足なのです。
そんな子どもの顔を見るためには、まず指導者の私たちが子どものことをわかる必要があります。
そのための方法は、次の3つです。
【過去と現在をくらべる】
【標準とくらべる】
【個人内でくらべる】
【過去と現在をくらべる】
これは、私たち指導者は当たり前のように行なっています。
新しい問題を出す時には、以前はどこまでできていたか? を基にしています。
例えば、前回は「8+3」の繰り上がりがわからなかったけれど、「8+2」はできた。
そこで、100玉そろばんで、自分で玉を動かして、目で見て繰り上がりを理解する課題に取り組んでみました。
目で見て、繰り上がりのイメージが持てたとこで、1位数+1位数で繰り上がりの加法ができるようになりました。
ペーパーで、問題を出して「できる」「できない」を判断し、できないから繰り返しやり方を教える…のではなく、何がどこまでできているのか、を丁寧に把握しましょう。
【標準とくらべる】
発達検査は、「標準化」という統計的な処理が行われています。
「この課題では、6歳であれば90%の子どもがクリアしている。」という検討を踏まえて、指標を示しています。
A君とBさんを比べる、のではありません。
標準的な発達段階と比べて、どのくらい離れているのか、を見ることで、難しい課題を繰り返しやらせたり、簡単すぎる課題を延々と続けたりすることがなくなります。
【個人内でくらべる】
私たち一人ひとりは、さまざまな力を使って生活しています。
手先の細かい作業が得意で走るのが速いけれど、読むのが苦手…など、一人の子どもでも得意・不得意、発達の凸凹があります。
一面だけを見るのではなく、もれなくダブりなく子どもの状態を見ることが大切です。
観点別に比べてみることで、得意なことを伸ばす、得意なことを活用して苦手なことにチャレンジする…など、手立てを組み立てることができます。
何をどのようにくらべれば子どもの状態がわかり、適切な課題と手立てを用意できるか。
くらべ方、つまり、観点と尺度を知っておくことが大切です。
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