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【Zatsu】音波歯医者
奥歯の詰め物がとれてしまったのは、今からちょうど1週間前のこと。
以前は半年に一度かならず歯の定期健診に行っていたんだけれど、ここ1年サボっていたんだよね。けれど、これも何かのきっかけだと思い、近所で歯医者を探すことにしました。
いまの部屋へ引っ越してきてまだ4カ月なので、近所の医療機関についてはほとんど把握できていなかった。歯医者を調べたところ5~6件みつかったので、クチコミがよくて星印⭐も多いところへ行くことにしました。
脳天突破の極上ヘルツ(Y先生)
あらかじめWebサイトで営業時間とか調べたら、クリニックのポリシーが掲載されていました。いわく、予防治療に力を入れており、男性の院長先生(優しそうなおじさん)は、虫歯予防をすることに悦びを感じ、かつ興奮するとのこと。
大丈夫? いや――信じるんだ。
やや緊張した面持ちのままドアをくぐる。初診ということで、受付で渡された問診票に記入していると、驚いたことに受付のお姉さんの肩越しに、治療台が丸見えなんだ。
ふつう治療室って待合室から見えないもんじゃないの?😅
ストレートに見渡せるんだよ。なんなら治療中の患者と目が合うレベル。
「joshさん、治療室へどうぞ~」
ドギマギしているあいだに先生に呼ばれて中へ入る。
フレンドリーに話しかけてくれる先生に詰め物がとれてしまったことを告げ、さっそく治療開始。診療台に横になると、顔に目隠しのタオルをかけて口の中をチェックしてくれる。あれこれやっていると何かが聞こえた。
「○×★?@@%$・¥-☆」
うん? なんだろ。
「○×★?@@%$・¥-☆」
どうやら先生がおれに話しかけているらしい。でも、驚異的な早口で聞き取れないんだ。よくよく耳を澄ますと、
「みてみてぼくのほうみつめてこっちこっちみてみてぼくみつめて……」
要するに、真上を向いている顔を少し横に傾けろ、ということらしい。
「みてみてぼくのほうみつめてみつめてこっちこっち……」
わかった、わかったから! 小首をかしげるように少し先生のほうへ向きなおると、とたんにだんまりを決め込んで治療に専念する。
しばらくのあいだ、静かな時間がながれる。
治療自体はとても上手なのでまったく痛くない。
治療して、うがいして、ふたたびタオルをかぶせられ、口内を見て。ボーッと考えごとしながら先生に身を任せていたら、次の瞬間。
コケェーーーーッ!
ものっすごい大音量の高音が治療室に響いたんだ。
え、なになに? 何が起きたの?
コケェーーーーッ!
耳をつんざく金属音。それは、先生の声でした。よく聞くと「オッケー!」と言っている(と思う)。でも、とてもそうは聞こえないんだ。
何ヘルツあるのよ、ってくらい甲高い声でシャウトしている。
その瞬間、おれは悟った。
おれの予防治療に……興奮していやがる!
治療を終えて目隠しのタオルを取り、診療台を降りると、そこには穏やかな表情をしたおじさん先生がいました。
👴「ハイ、お疲れさまでした。お大事になさってくださいね~」
あれ、気のせい……か?
なんだかすっきりしないものを感じながらも次回の予約を取りクリニックを後にする。
来週またいくんですけどね。冒頭で書いたとおり、ウチの近くって、歯医者がけっこうあるんですよ。しかも、そこそこ評判のいいクリニックが。
さて、どうするか。
ちょっといま、岐路に立っている気がするんですよね。ええ。