『グリム、イソップ、日本昔話-人生に効く寓話』を読みました。
佐藤優さんと池上彰さんの対談本はこれまでにも色々な切り口で出ていますが、どれも視点が独特で面白いものばかりです。
今回は昔話に焦点を当てた対談とはなっていますが、話ひとつとってもこういった視点で考えることができるのか、といった点は非常に興味深いです。
昔の価値観に則って記述された物語に対し、思考停止せずあえて現在の価値観から光を当てて解釈していくという作業は、ものを考えるうえでの良い訓練になるのではないかと思います。
また、読んでいて「ああ、確かになぁ」と思えるものも多く、濃い読書体験となりました。自分にとって納得感が高かかったのは以下の内容ですが、自分の経験に当てはめて読んでみると面白いでしょう。
本気でステップアップを図ろうという時に、あえてネガティブな現実を見るようなことをしても、あまりいい結果に結びつかないことが多い。
謝っても、許してもらえないこともある。
人に何か伝えようと思ったら、書きすぎないことが大事。
資本主義的な競争社会においては、とりあえず目の前のものがビジネスにならないかを考えるのが正義。
「これがやりたい」「自分に向いている」と思ったら、臆することなくチャンスを掴みに行くべき。
日常だと疑わない会社中心の生活が、実は一緒に踊ってくれる人がたくさんいる異界である。
たとえ女王であっても、別の秩序の支配するところでは、勝ち目がない。
助けを待っているだけでは、現実を変えることは難しい。
世の中には「言ってはいけないこと」がある。余計な種明かしをすべきではない。
どんなに立派に思える人のいうことであっても、そのまま信じるのは危険だ。
何ごとかを成そうと考えたときには、それに疑問を抱く人間に対しても誠実に対応する。
「悪い奴らを成敗しました」という話には、必ずと言っていいほど、そういう侵略性が潜んでいることに注意しなくてはなりません。
自分がそう考える根拠をはっきりさせることがポイントになる。