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「 ぼくは挑戦人 」ちゃんへん.【 本の紹介 】

発売日に買って、その日の夜、読み切るのが勿体ないなくて、半分までで寝かせ、翌朝、カフェで続きを読み始めたものの、何度も涙があふれ大変なことになったので、結局、自宅で読み終えました。

読み差しの伊坂幸太郎も村上春樹も、そっちのけで。


ちゃんへん.さんの、小学生時代と、自分の幼少期が重なり、辛い記憶がよみがえりもしました。日本幼稚園で、いじめを受けていたこと。( 絶対に親だけにはバレないようにしていたことも )

幸い、というか、小学校からはウリハッキョ( 朝鮮学校 )へ行くことになり、学生生活を満喫し、それから、自分自身が教員になるとは、思いもしなかったですし、学校で、ちゃんへん.さんの衝撃と驚きのジャグリングショーを学生たちと観ることが出来たのは、教員をしていたからこそのボーナストラック(ささやかなご褒美)だったのかも知れません。


さて、メモワール(個人史)ともノンフィクション小説とも人権啓発書ともジャグリング指南書とも呼べそうな、シンプルでかっこいいデザインの、この本。

ものすごく読みやすいです。にもかかわらず、内容がぎっしりと詰まっていて、行間からは作者のアツい想いが溢れんばかり。

おかんや、ハンメのエピソードに笑い、泣き、いじめやヘイトスピーチに怒り、しかし、それすらもプラスの力に変えていくしなやかさとパワーに、ものすごく励まされました。


アイデンティティを巡り、ニューヨークからアフリカのスラム街、ブラジルのギャングとの交流(?!)、ヨルダンや朝鮮半島の南と北で見て感じたこと、中国やロシアの朝鮮族との出会い、ちゃんへんさんの血肉となった体験から学ぶことは多いです。

同じウトロ地区なだけに、少年時代のエピソードが、映画「 焼肉ドラゴン 」の少年とも重ならりました。ちゃんへん.さんが前向きになれたのは、おかんやハンメ、ハルべ、そして、ときどきで親身になってくれた登場人物たちとの係わりがあったからでしょう。

今年は在日文学を意図的に探して読んでいるのですが、この本こそ、今読まれるべき在日の物語だと感じました。いや、在日に限定してはならりませんね。人間とは、何かを問いかける本でもあります。


私は( 私も )「 ちょうせん人 」です。

10年後に、この本を娘にプレゼントする日が、今から楽しみにしています。( 中学祝いにする予定 )

(完)


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