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夢枕獏「 沙門空海唐の国にて鬼と宴す 」を読む【 本の紹介 】
夢枕獏の小説は、物凄い吸引力があります。その分量とストーリーテリングの魅力は、まさに和製スティーヴン・キング!?
「 沙門空海唐の国にて鬼と宴す 巻ノ一 」夢枕獏
四巻組の一巻目。
時は804年。所は唐の都・長安。
そこへ遣唐使として橘逸勢らとともに入唐した若き留学僧・空海。空海の天才ぶりに惚れ惚れするのは、逸勢だけではありません。
特に妖怪登場のくだりは圧巻です。
「 沙門空海唐の国にて鬼と宴す 巻ノ二 」
いよいよ面白くなってきました。
阿倍仲麻呂がかつて李白に宛てた手紙。熟し過ぎた奇跡の果実、唐の都を舞台に、時空を越えた壮絶な物語が展開します。
楊貴妃の死の真実を知った時、空海一行は新たなステージへと歩を進めるのでしょうか。
「 沙門空海唐の国にて鬼と宴す 巻ノ三 」
三巻目。どうもこの大作、著者が17年もの執筆期間を経て書いたのだとか。そりゃそうでしょうね。
遥かなる夢物語を、すらすらと雲に昇る龍のように書き付けられるとしたら、それこそ空海において他にいませんから。
さて、空海一行が知ることとなった50年前の話は、半世紀を経てまだ続いているのでした。告白が他の告白を呼び、もはや手をつけられないほどに、事態は大きく深く広がっていきます。
そして、いよいよ沙門空海、唐の国にて宴の準備をするのでした。
「 沙門空海唐の国にて鬼と宴す 巻ノ四 」
ああ、何というど傑作を読み終えてしまったのでしょう。
たまらぬ……。たまらぬ曼陀羅の春であります。(秋ですけどね笑)
(完)