ジョリーグッドのエンジニア発のイベントに迫る第一弾。オープンでカジュアルに。プロダクト開発にも影響したLT会とは
今回はジョリーグッドの開発部発信で生まれたイベントを深掘りするインタビュー第一弾です。組織が細分化された開発部署で、いつのまにかコミュニケーション不全が起きていたという課題に対し、櫨元さんはLT会を用いて課題解決に臨みました。全社のカルチャーまでをもポジティブに変革したLT会の裏側をお話します。
ー簡単に自己紹介をお願いいたします。
心理系の大学出身で、卒業後しばらくは発達支援の分野で支援者として働いていました。
ある時、スマートグラスを用いた表情理解を促進するARアプリの存在を知り、自分もXR技術を使った療育に携わりたいという想いを抱きました。そして半年間ほどプログラミングスクールに通ったのち、エンジニアとしてのキャリアをスタートさせました。
XRを軸に転職活動を行い、1社目・2社目は主にARを扱うスタートアップ企業で受託・自社アプリのR&D・ディレクション業務を行い経験を積みました。
ジョリーグッドは当時、対人関係や集団行動のスキルをVRで学べる「emou」というサービスを提供していました。それが自分のやってきたことや、やりたいことに非常にマッチしていて、憧れの気持ちもあって2021年9月に入社しました。
組織が細分化され、効率的であったはずの環境が非効率に繋がっていた
ー櫨元さんはLT会を開催されています。なぜそのような取り組みをすることになったのか、その背景にある課題からまずは教えてもらえますか。
当時私が感じていた課題は大きく2つあります。
1つ目は、コミュニケーション不足とアウトプットすることへのハードルの高さです。ジョリーグッドのエンジニアにはそれぞれに担当領域があり、業務では自分の担当領域に集中すればいいという状態でした。そのためエンジニア同士のコミュニケーションが生まれづらく、気軽にアウトプットしたり質問できるような環境ではありませんでした。
2つ目は、開発部のプレゼンスの低さです。ジョリーグッドでは全社ミーティングなど、定期的に開発部の作業進捗やアプリのアップデート内容などを共有する機会があるのですが、そこで大きな反響を得ることがなく、開発部をアピールする場として上手く活用できていませんでした。
ーそれらの課題の背景・要因はなんだったのでしょう?
開発部内の環境として、担当ごとに分断されており、自分の担当の作業だけすればいいという閉じた状態でした。開発チームはUnityを使ってタブレットやモバイルなどデバイス向けのアプリ開発をしているチームと、Webアプリを開発しているサーバーサイドチームの2つに分かれています。その中でも役割が細分化されていくため、機能が属人化し、コミュニケーション不足、機能認知不足といった課題につながっていったと考えています。
「内容が決まってなくてもカジュアルに」発信するハードルを下げたLT会
ー課題解決の施策として、LT会を企画するに至った経緯を教えてください。
日頃開発業務に専念しているメンバーが、いきなりバックグラウンドの異なる他部署のメンバーに発信することはなかなか難しいものだと感じました。
そこで、発信のトレーニングをする場を設け、ハードルを下げる取り組みが必要だと感じ、フリーテーマで発表するLT(ライトニングトーク)会を企画するに至ったのです。LT会を通して他部署と関わりを持てるようにしたいとの意図もありました。
ーLT会の具体的な内容を教えてください。
登壇者が自分で選んだトピックを5〜10分で発表を行います。会社内だけの閉じた知識ではなく、業務内で誰でも使えるようなTipsを取り上げ、知識として社内に共有することが多いです。
発表内容は登壇者がそれぞれに考え、テーマをオープンにして話していただく会という位置付けです。始めた頃は開発部の人だけが発表していましたが、回数を重ねるうちに部外からも希望者が出てくるようになり、現在は他部署の人も含めて参加するかたちになっています。
例えば開発部の人であれば、Unityの中にあるCGを簡単に扱える機能を紹介したり、他部署の聴講者に向けて正規表現をかなり噛み砕いて伝えたりしています。他部署の人であれば、最近ではChatGPTのような最新技術について話していました。また、医療を扱うジョリーグッドならではの発表内容として、公認心理師の先生に認知行動療法について話していただいたこともあります。
LT会を2回・3回と実施していくと、話す内容がなくなってきて手が挙がりにくくなっていると感じたことも事実です。それでも、一度出た人が発表することをとてもポジティブにとらえてくださり、部内の人を押し出すような雰囲気が出てきたことで、また活発に手が挙がるようになりました。今では、まず手を挙げて発表内容はあとで決めるという人が増えてきており、カジュアルにとりあえず発表しようという雰囲気が醸成できています。
発表後には毎回、部外の人を中心にアンケートをとっていて、その結果を登壇者にフィードバックしています。発表して終わりではなく、何が良くて何が良くなかったのかを知ることができるのは発表の報酬として機能しているかもしれません。
また、LT会を継続するにあたって一人ひとりが役割分担をしていくわけですが、開発部内の誰でも対応できるようにマニュアルを作り、役割をローテーションして特定の人に負担が偏らないような仕組みを作りました。そういった仕組みづくりを意識したことが、今なおLT会を継続できている要因だと思います。
新たな文化が根付き、組織全体がポジティブに変容
ーLT会によってどんな成果が得られましたか?
LT会によって他部署が開発部を知るための窓口となり、結果的に課題であったコミュニケーション不足などが改善されていきました。コミュニケーションが増えたことは、開発部のプレゼンスの向上にも繋がっていると思います。
また、LT会を通してアウトプットへのハードルが下がり、積極的に情報共有をする文化が根付いたと思います。それに伴って部内の勉強会などでのコミュニケーションが活発になり、これまで言語化・視覚化されていなかったアプリの仕様などにみんなが簡単にアクセスできるようになりました。これはプロダクトの開発効率にもポジティブな影響を与えています。
これらは一気に改善されたわけではなく、半年ぐらいかけてゆっくりと変わっていきました。開発部内に関して大きく変わったのは作業効率の面です。開発部はもともと雑談に寛容で、仲が良く明るい雰囲気でしたが、その中でみんなが大切にしていることが少し変わってきたと思います。
例えば、ある情報について率先してまとめて共有すると名乗り出てくれる人がいたり、自分だけが持っている情報をただちに共有して資料を作成し、誰でもアクセスできるようにしたりと、個人個人の考え方や行動にポジティブな変化を感じます。
今後もLT会を継続することで、自分が持っている情報や共有すべきことをすぐに伝える文化がより定着していくのではないかと思います。
ー施策を実施して個人的に得た学びがあれば教えてください。
個人的な感想として、自分自身もLT会で発表する機会が何度かあり、発表していく中で発表に対するハードルが下がっていくのを感じました。また、イベント運営はタイムキーパーや飲食物の発注といった普段の業務では行わないようなこともしなければならないので、慣れるまでは苦労したことが記憶に残っています。
また、当日の運営では、トラブル対応なども含めた幅広いディレクションが必要で、その場でどのようにリカバーするかなども考慮して当日の流れを計画しました。この経験により、普段の業務で身につけられないものも養われたのではないかと思います。今回得た力を今後ほかのイベントを企画する際にも活かしていきたいです。
コミュニケーションが人間力・組織力の基礎を築く
ーどんな価値観の人と一緒に働きたいと思いますか?
得意でなくてもいいので、コミュニケーションをとることが好きな人と一緒に働きたいです。ジョリーグッドはエンジニア同士が本当に仲が良く、部内や会社全体でもコミュニケーションの機会が多くあります。それを楽しめる人と一緒にお仕事ができたらうれしいです。
ジョリーグッドは一人ひとりを立たせることを大事にしていて、人前に立つ機会が非常に多い会社です。LT会に限らず、入社直後からどの部署でもプレゼンの機会があります。
今回LT会を通して、会社全体のプレゼン力や伝える力がさらに高まったのではないかと思います。ジョリーグッドには失敗を馬鹿にする人はいないので、アウトプットが苦手な人でもこういった力を身につけられる環境です。ぜひご興味ある方からのご応募お待ちしております。