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【掌篇小説】明け方を待つ夜

深夜三時
春彦、キーボードをタッチする。
カタカタカタカタ×2
姫子「春ちゃん!」

人形がこの時、シャウトする。
休憩の時間だ。
春彦「……」(少し止まる)(少し休憩)
古くなった姫子のねじをまく。人形を少し撫でる。姫子が落ち着く。

(再び猛然と)
春彦、キーボードをタッチする。
カタカタカタカタ×2
姫子「春ちゃん!」(少し止まる)(どうやら休憩時間のようだ)(少し休憩)

姫子のねじをまく。人形を撫でる。
姫子が落ち着く。コーヒーを淹れる。
春彦「……」

「休憩してください。私少ししんどいやけん!」      
今度は別の女の声がパソコンからする。その女は和子である。
機械がいきなり博多弁で喋り出す。これは労働時間違反だと喋り出す。
その娘を少し撫でる。よしよしする。

カタカタカタカタ×2
ともに手を携え、夜明けまで…

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