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凛、オスだが母性に目覚める
私が嫁に行き、寂しくなった我が家では、猫の「凛」が、この家の息子として、自由奔放に生活していました。
外には出るのですが、トイレとご飯は家にちゃんと帰って来ていました。
あんなに嫌っていた父は、猫のトイレ掃除人になっていて、毎日家の家事は一切しない人なのに、猫の世話だけはしていました。
それに、あれだけ良いかまぼこをやってはいけないと念を押して「安物のかまぼこ食べなくなるよ」と言っていたのに、晩酌の時、自分のかまぼこをやって喜んでいました。
その後、私は里帰り出産の為、実家に戻ったのですが、
猫って動物の本能というか、私が子供産むのが解るらしく、なんと無くウロウロ、わさわさ、していました。
お産が終わって、息子を連れて帰って来ると
変に鳴き出して、騒ぎ始めました。
真夏のお産だったので、エアコンの効いている部屋から出る事もあまり無く過ごしていたのですが、
ある時、おかしなところを見つけてしまいました。
凛のオッパイがある周りの毛を舐め取って、禿げにしているのでした。
うちの猫は、オスです。
そんな事もあるのかしら、、、と思った事でした。
その後、実家から戻り、親に聞くとまたいつもの「凛」に戻ったようでした。
それから半年以上経った時、母から電話があり、「凛が、子猫を連れて帰ってきた」と
困っている様子でした。
結局、その子猫も飼う事になりました。
名前は「エリ」と母が付けたようでした。
三毛のメスでした。
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メスだったので直ぐに避妊手術をして、家猫にしたそうですが、獣医さんによると、自分の子を連れて帰る事があるそうなのです。
「凛」は甲斐甲斐しく「エリ」の世話をして、トイレも教えていました。
そして、またもやオッパイの毛を舐めて取ると、「エリ」にオッパイを含ませ始めたのです。
あくまでも、オスです。
お乳が出ているとは思われないのに、かなり「エリ」が大きくなるまで、オッパイを吸わせていました。
不思議なものですね。
そうして、「エリ」が大きくなって、家族にも馴染んだ頃、「凛」は、家を出て行ってしまいました。
探したのですが、ノラの生活を選んだと思います。
二度と姿を見せる事はありませんでした。
両親は、自分の代わりに「エリ」を連れて来たんだろうと言っていました。
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「リーん」と呼ぶと必ず返事をしていた「凛」
懐かしいです。