「すごい」がほしい

私はすごいと言われたがっている。あなたは特別だ、価値がある、といわれているようで「すごい」という言葉は私の自信になるのだ。他人からの評価に依存している。私は、「すごくなりたい」という欲を持って、怖がらず大きなことに挑戦する。私の口からは「すごい」と言われるような事しか出てこない。私は「すごい」と評価される為のことしかしていない。建前では正論に頷き、本音ではこう言えばどう思われるか計算している。

いつしか、私は「常にすごい」存在であることを自分に求めている。「すごい」を求めて突き進む結果として、自分が何に向かっているのかわからなくなる。実際、あやふやな「すごい」を目指しているだけで、何にも向かっていないのだが。格好良く言えば、自己実現が永遠のテーマ、すなわち欲望に溺れている。満たされることはない、限りがないから当然だけれども。

当然だけれども、当然だけれども、本当に好かれる人のように、素直な感情、意見、態度を表に出すことができない。結局は、好かれない。

自分でも自分に疑問と反感を抱き、惨めに思っている。自分でも「素直」な自分自身がわからない。そして、私は新たな欲望を手にして、「素直」に見られるには、を考え出す。本当に無様だ。


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