その6 かかわる ①他人軸より自分軸 「あなた」との関係
人生は、いろんな物事に「かかわる」ことで進んでいくと思っている。
その「かかわる」は、三つの漢字で表され、それぞれ微妙に異なるニュアンスや意味合い、使い方があるとされている。↓
特に他者との「関わり」が、人間の成長を促し、社会性を育んで、「社会人」として生きていけるようにすることは、もちろん周知のこと。互いが既知、未知に関係なく知らないうちにも補い合って、人間社会を成り立たせている。
人間の関係が人間を生かしているのだけれど、わたくしたちの悩みのほとんどは他者とのかかわり、つまり、人間関係からくるのだ。確かに、これまでの人生で学ぶべき大事なテーマの一つは、他者とどのように「かかわっていくか」である。
この世に生まれて落ちると、世話をしてくれる保護者との関係が始まる。その組み合わせは、一応、お互いに選択権がないとされていて(子どもが親を選んで生まれてくるという説もあるらしいが)、保護される者としてその後しばらくは生きていく。
対等ではないその関係では、保護者からの愛情がそのアンバランスを補正する前提であるが、保護者も完成した人間ではなく、短所も長所も持ち合わせながらその人生と格闘しているのだから、何かしらの凸凹がその関わりに存在する。
結果、理想的な家庭関係にめぐまれることは稀れで、保護者自身の背負うトラウマや不足感などが子育てにも影響し、養育される側はそれを何らかの形で受け止めることになる。
成長に従い、保護されるだけだった存在は、その後きょうだいをはじめとする親族、友人や、教育者、先輩、後輩などの間柄とのかかわりを通じて、広い社会性を身に着けていく。さまざまな「あなた」たち、つまり他者の集合体である社会でのふるまい方を、試行錯誤と縁を通じて身に着けていく。
「わたし」は他者である「あなた」に関わることで、成長し、学び、傷つき、癒されて生きていくのだと、この絵本はシンプルに表現している。↓
たくさんの「あなた」のおかげでわたくしは、「わたし」になれたし、いろいろな気づきやたくさんの扶けを授かった。もちろん、わたくしも他者にとって出会って嬉しい「あなた」でありたいと、思う。
巡り合わせの良し悪しや競争のシステムのせいで、不本意な関わり合いになることもままあるが、できうるならば互いにお陰様と呼びかけ合える関係を築いていきたいものだ。
実際、わたくしたちの住む日本社会は、協調性を重視する特徴からくる治安の維持や、生活の安定しやすい仕組みが構築されている。そのせいか、集団意識、とりわけ強い同調バイアスが発動する傾向にある。その例として、コロナの自主規制の浸透ぶりも、他国では見られないほどだった。
このような環境は、「みんな」や「ふつう」に合わせることに高い価値が認められる。実際に、幼児期や学童期には「みんなとなかよく」というミッションが何度となく保護者、指導者から発令されている。
わたくしの生育環境を振り返ると、「自分が何者か」という自覚よりも周囲に受け入れられるキャラや「空気を読むスキル」が求められていた。他者からの評価に気を配ることが推奨されるのだ。(女性に対しては、特に)
しかし、周囲と「違う」自分を否定し、「同じ」なふうを装うのはストレスフルだ。わたくし自身も対人関係での過剰適応の傾向が強く、自律神経が乱れやすく、疲労感に悩まされことが多かった。
どんなに気を使っても、人間関係のイザコザはゼロにはできない。どうしてなのか?と取りとめもなく考えていると、ふと、「いじめ」や「差別」がなくならないのは、人間が生存本能の中に「比較、順位づけして対象物をセレクトする」という機能が備わっているからでは?と気が付いた。
穏やかで居心地の良い人間関係を求めるのは、無いものねだりだったのではないかと愕然とする瞬間だった。では、どうするか?
還暦近くまで生き延びられて、経験値もそれなりに積み上がった今なら、お付き合いからしがらみを取っ払うのもアリだろう。残り時間は「他人さまからの評価」より気楽さ大事のプチ世捨て人スタンスが良さそうだ。
ある友人も、「私は、母を60歳少し前で亡くしたから、その年齢を越えたら余生だと思っている」と話してくれた。還暦過ぎを余生とみなせば、華女としての人づきあいを再カスタマイズするチャンスだろう。
今どき流行りの、「自分軸」で生きるというのに近いのかも?と思ったので、改めて自分軸って何だろう?と検索してみた。
大まかには、人生真っ盛りの世代向けの成功スキルの一つのようだ。ただ、わたくしの求める「自分軸」とはどうもニュアンスが違うような気がするので、今度は「シニアの自分軸」で検索すると出会った、ナルホドと思える記事がコレ。↓
人と馴れ合わない、と今は思えても、さらなる人生の後期では、社会的にも身体的にも「弱者」に戻り、どうしてもひと様の力を借りなければならなくなる。自力だけでゴールまで走リ抜くのは、今の日本社会の制度の中ではほぼ無理っぽいとも言える。
そのようなシビアな現実を受け止めつつ、他者との関係性を必要に応じてシフトチェンジするほかないのだ。
だからこそこれまで以上に「かかわり」を、意識してご縁のある人とのつながりを心地よいものにするための、実践的な処世術は↓の書籍が参考になると思う。
もともとわたくしは「空気を読むのが下手」な人間だ。嫌われる勇気を持つ前に、嫌われることもままありそうだ。だから、人気者ではなく、なんとなく感じ良い人位を目指して、気楽にコミニュケーションしていこうと思う。
不必要に人に縋りつかず、水のような交わりと、温かな心持でいること。そんな誰かの「あなた」としてシンプル、さっぱり、素直の3Sをモットーに他人様と「かかわって」いこう、そして「みんなと同じ」に振り回されないことを大事にしたいと思うことだ。
最後までお読み下さり、ありがとうございます。感恩戴徳。