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『きょうの料理』が面白い

ちょっと前にNHKで
『きょうの料理』の昔のアーカイブをやってた

それがすごい面白かったのでご紹介

昔のテレビ番組の雑い映像と
ゆるいコンプライアンスが
なんかツボにはまりました

昭和のテレビ番組ってなんかええよね


こちらは料理評論家の土居勝センセイ
土井善晴センセイの親父さんですな
こうやって並べるとやはり親子やな~と思う


同じ顔してるもんね

土井善晴さんの親しみやすいキャラも良いけどお父さんの方はめちゃくちゃ上品で丁寧


中華の帝王 陳一族も
三代並べるとやはり血族やな~と思う

陳建民 陳建一 陳建太郎

おじいさんの建民さんは
日本に『麻婆豆腐』を伝えた人

日本中で食べられている『麻婆豆腐』『回鍋肉』『担々麺』『棒々鶏』を今の形にしたのはこの人だといわれている


だがこの人のカタコトの料理番組がマジで
『何言ってるか分からない』レベルでウケる


アシスタントの広瀬アナウンサーの通訳が
神がかってて、ほとんど夫婦漫才


『鍋、油、焦げしない、たいちこれ』
『鍋に油をあらかじめ敷いておくとお肉が焦げないのが大事なんですね』
『そそ。焦げしない』
『焦げない、ですね。しは要らないですね』
そこもキッチリ指摘するんや、、

『料理、愛情よ。アイシン』
『なるほど。アイシン?愛の心ですか?』
『そそそ』
それ一発で分かるんすごない

『肉、臭い!ね?酒、入れる。たいち。』
『お酒を入れてお肉の臭みを消すわけですね』

昔からよくある中国人のモノマネって、この人が起源なんじゃね?と真剣に思いました



続いてはフレンチの小野正吉先生

ホテルオークラの初代総料理長で
プロ中のプロの超一流なんですが

ゴリゴリの『昭和の叩き上げの料理人』で
おそらくは『見て覚えろ』な時代
たぶん、失敗した時は拳で殴られた時代の人

『ケッ、テレビの料理番組だと?フランス料理を舐めるな』と顔に太字で書いてます


冒頭、自分が紹介されているのに無視して芋を剥くという芸歴二年目の若手漫才師のような尖りっぷり

そんな小野さんを
『今日は待望の小野シェフに来ていただきました』と持ち上げる宮田かほりアナ

『ホントかねぇ、、、』
『うふふ、、』と苦笑するしかない宮田アナ

視聴者として観てるだけなのに
冒頭からハラハラ感がえぐい


そして初手からいきなり
『今日はあんた向けの料理だから』
『これなら簡単だし、あんたでも出来るよ』
発言

宮田さんが訴えたらたぶん勝てます

『今日は優しすぎてハリがないだろ?』
『まあ今日は見所があんまり無いから』
『盛り付けってほど大したもんじゃないけど』

等々、ピリッとする発言のオンパレードで
ふるえます

こちらは

『火は消さないようにね。火、付いてる?大丈夫?付いてないじゃん!』
『あ、すみません、、』
の時の画像

店員さんのようなシンプル謝罪、、

すごいな、、
全部放送するやん、、、

『ふてほど』とか観てる場合じゃないぜ!
ガチのやつがここにあるぜ!

陳さんのアシスタントの広瀬さんもそうですが
昭和の女性の懐は本当にすごいなと感じる

タフに笑って受け流すというか
相手にしない能力が秀逸で

はなから相手にしてないから隷属してるというよりは『ワガママ坊やのお守りをしてる』って感じがするんですな

女性は本当に偉大だよなぁ、、
そして男は何歳になっても
女性の掌の上の『ガキ』なんだよなぁ、、

今じゃ本当に考えられないけど
数十年前は日本中、こんな感じでした

ちなみに用意する材料は
舌びらめのアラ、粒コショウ、月桂樹の葉、ニューキャロット、アニス、生クリーム、白ワイン、セルフィユ等々

そしてメニューは
『しゃこえびと帆立て貝のマリニエール』

いやいや、、
一般家庭では難しいって、、、

だって弟子連れてきてるもんなぁ、、


宮田アナ『女性が好きそうなお料理ですね』
小野シェフ『いやあ、そうでもないよ。なんか女性向けみたいになっちゃったけど』

宮田アナ『えっと、これは、、お昼に食べるものですかね?それとも夕飯で?』
小野シェフ『どっちでもいいよ。まあ昼でも晩でもいいんじゃない?パン付けて、パン!』

昭和の家庭で帰ってきたお父さんにパン付きの晩ご飯出したら、ちゃぶ台ひっくり返されるってば


だがくれぐれもご注意願いたい

昭和の時代はおじさんだけじゃなく
おばさんだって
ナッシング・コンプライアンスだったんだぜ!


城戸崎愛センセイのお正月料理

ざっくりとしたお題ですが
この日の内容は牛肉の赤ワイン煮

『今日はあなたにでもできるようにネ!』
初手から重いジャブの先制パンチ

牛肉の塊をタコ糸でしばる二人
『どう?できるかしら?』

しかしもちろん先生のタコ糸スピードに付いてゆけるわけはなく、、、

『す、すいません、私、時間かかりそうですから先生お先に、、』

驚愕の
私の事はいいから先に行って発言

料理番組でそんなセリフ言うてるの
初めて聞いたんですけど、、、

それを受け
『じゃ、あなたがやってらっしゃる間にやっていきますよ。お肉を縛ったらコショウを振りまして、、』

ガンガン置いていく城戸崎センセイ

ほんで黙って見てたら

赤ぶどう酒て
昭和か
いやまぁ昭和のテレビなんですけど


『ドミグラスソースは本来は野菜を煮込んで作りますもんね』
『そう。ですからあなたが出来るようにやってるのよ、今日はね』

要所要所でパワーワードをほりこんできます


うかつに手が出せないがいつでも手伝う準備は怠ってないんです私!ポジションをキープ&アピールし続けるミーアキャットのような姿勢の池田アナ

嫁姑感が凄いぜ!
女性同士だから逃げ場がない感じがするぜ!

池田アナウンサーのイッパイイッパイがビンビン伝わってきて胸がキュッとなるぜ!



続きましてもおせち料理

数日間に渡るレシピを解説する
辰巳芳子センセイ

昭和のおせちは本気


おだしを育てながら使い回す事が肝要です
上手にお炊きになって下さいとの事

『これが31日にやる仕事ですね』
もう『仕事』て言うちゃってるもんなぁ、、

12月30日の夕方に椎茸を炊く所から
戦いは始まる

昔のお母さん達はこういうのを観て
テレビの前でメモを取りながら
おせちを作ってたわけですね

完成した料理のストイックさにしびれる



最近、『おとなのEテレタイムマシン』と題して昔のアーカイブをよく放送しているNHK

真面目な顔してるけど実はちょっとウケを狙ってるんちゃうかな~と深読みしながら邪な心で鑑賞してしまう、そんな俺なのでした



今回、はからずも俺んちのテレビ台がちくわの段ボール箱である事がバレてしまったが、きょうの料理の面白さを伝える事が出来たので悔いはない

そう思っている



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