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20240302南公園へ
スコーンと晴れてる冬の終わり、。
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ちょろっと買い物に出ただけやけど。
寄り道でもしていこか、、。
梅がそろそろ散ってまうから。
今の内に観にいこかな。
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桜やったら岡崎城やけど。
梅を観るなら南公園っすな。
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おー。いいねえ。
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梅の枝のラインて。
すごい日本画的やんね。
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書道みたいでもある。
桜もいいけど。
梅も毎年一度は観ときたくなるんよな。
昔は花なんか何も興味なかったのにな、。
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南公園には小さい遊園地が付いてるんだぜ。
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1000円あったら豪遊出来るんだぜ。
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そーそー。
こーゆーのでえーねん、。
いちーち何万も払ってミッキーマウスやハリー・ポッターに会いに行かんでもさ、、。
こどもはみんな大喜びで遊んでるもんな。
昔、京都にあった八瀬遊園地を思い出した、。
オカンが俺と弟連れて日曜日に連れてってくれたな、。入場無料やったしな。こっちも気兼ねなく連れてってくれってねだれる訳よ。
おにぎりと卵焼きとシャウエッセンのお弁当作って持ってったっけ。
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帰り道。
ご贔屓の喫茶店でまったり。
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ここレトロやし好きやねん。
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七十歳ぐらいのここのマスターは何回行っても愛想がない。まるで人間嫌いの黒猫のように愛想がない。そこが気に入ってる俺。
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それでも一応、コーヒーには毎回ビスコフを付けてくれる。おおきに。えらいすんまへん。
ここのクリームソーダは、赤くて四角い。
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追記。
小さい遊園地を見ると、いっつも昔読んだこども向けの小説の事を思い出すんよな。
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長いから読みたい人だけどうぞ。
入学式(一九三一年)
フリードリヒとぼくは、隣あった席をもらった。先生がお話をひとつしてくださったあと、ぼくたちは声を揃えて、「小さなハンスちゃん、、」を歌い、それで小学校第一日は終わった。校門のところで、ぼくたちの両親が待っていた。ぼくの父はどっちみち失業中だったし、シュナイダーさんはこの日、休暇をとっていた。
フリードリヒとぼくは、それぞれ大きな先のとんがった入学袋をもらった。フリードリヒは赤、ぼくのは青で、ぼくの青のが、フリードリヒの赤のより、心もち小さかった。フリードリヒはすぐ、自分の袋を開けた。そして中のお菓子をぼくにもすすめ、板チョコを一枚折りわけて、みなにくばった。
ぼくが自分の袋のリボンをとこうとすると、母が首をふった。母はぼくを脇に呼んで、家に帰ってからになさいといった。ぼくはなぜだかわからなかったーーが、母のいうとおりにした。
まがり角までくると、シュナイダーさんが、くったくのない声でいった。
「さあ、これからどこへいこうかな?」
そして、にこにこしながらみなを見まわした。父がぎくりとしたようすで母の方をふり向いた。
答えはフリードリヒがだした。かれは歓声をあげて、いった。「お祭り広場!」
父が再び母の方を見た。
当惑しきった眼だった。
母がシュナイダーさんにいった。「残念ですわ、ほんとに残念なんですけれど、わたしたちは、ごいっしょできませんの。ええ、それがねえーーそのう、うちにいっぱい仕事を残してきたものですから。お昼ごはんの用意だって、まだなんにもしてませんの」
ぼくは母にせがんだ。
「母さん、だって、ぼく、お祭り広場にいきたいよう、ねえ、母さんってば!」
父がぼくの頭に手をおいていった。
「だめだよ、おまえ。母さんのこと、考えてあげなさい」
ところが、シュナイダーさんが母の腕を、シュナイダーのおばさんが父の腕をつかんでしまった。
「きょうは、いいわけはききませんよ!」
シュナイダーさんがいった。
「入学式なんだから、お祭り広場にいかなくちゃ!」
父と母は困りきったようすだった。
だが、それでもついてきた。
フリードリヒがぼくの口に、チョコレートを一度に三つもつめこんでくれた。ぼくたちも腕を組み、入学袋を抱いて、両親たちより先に駆けだした。
お祭り広場につくと、ぼくたちはそれぞれ、父に手をつないでもらった。父は、なにげないかっこうで母のそばに寄ってゆき、そっと耳うちした。
「五マルク、貸してくれ!」
「わたし、持ってないんですよ」
母がささやきかえした。
「お勝手のお金が二マルクあるだけ」
父はためいきをついた。そして、いった。
「いいから、それをくれ!おれの財布にまだ七十ペニヒあるんだ」
母は、ハンカチでも探すようなふりをして、ハンドバッグの中をかきまわし、そっと父の手に二マルクを押しこんだ。
父が、手の中のものを、つらそうに眺めた。ぼくは、お祭り広場にいきたいとせがんだことを後悔した。シュナイダー一家は、足どりも軽くずっと前を歩いていた。そのあとから、ぼくたちはとぼとぼとついていった。
木馬のメリーゴーラウンドのところでぼくたちは立ちどまり、ぐるぐるまわる木馬を眺めた。不意に、フリードリヒが、ぼくの手に券を一枚押しつけてきた。メリーゴーラウンドが止まった。ぼくたちは入学袋を母にわたして、それぞれ、馬によじのぼった。ぼくのには、ベラ、フリードリヒの鞍には、キツネとかいてあった。ぐるりぐるりと馬を駆ってまわるのは、すてきだった。ぼくたちは手をふったり、とびはねたり、さけんだり、メリーゴーラウンドが止まるまで、夢中になって自分の馬を駆った。
シュナイダーさんがまた新しい券を持ってきてくれ、ぼくたちはもう一度乗せてもらった。次に止まったとき、シュナイダーさんがおばさんをつれて、父が母といっしょに、あがってきた。そしてぼくたちの後ろの馬に乗り、今度は全員でまわった。
メリーゴーラウンドのあと、シュナイダーのおばさんが一人ひとりに、ものすごく大きな綿菓子を買ってくれた。ぼくたちが綿菓子を食べているあいだに、父は、小屋をひとつひとつまわって、自分のお金でなにかみなに買えるものはないかと、必死な顔つきで探していた。
「どうしよう?」父は、母に小声できいた。
母はどうしようもないという顔で、ただ肩をすくめてみせた。
シュナイダーさんが、みなに、芥子とパンを添えた長いソーセージを買ってくれた。父は困惑しきって、のどにも通らないようすだった。母はお祭の市のソーセージが特に好きなのをぼくは知っていたが、やはり、心痛で味もわからないようすだった。
と、突然、父がいなくなった。再び姿を現したとき、父は甘草入り棒あめを六本持っていた。シュナイダーのおばさんは、こんなすばらしいものをもらったことがないというふうに、その棒あめに大喜びした。みな、両親たちまでが、すぐに、棒あめをにぎってなめた。父は、ほっと息をついた。
ぼくたち子どもは、さらに消防自動車のメリーゴーラウンドに乗せてもらった。そのあと、ぼくたちは、シュナイダーさんがぼくの母と、ぼくの父がシュナイダーのおばさんと組になって、ゆりかごに乗っているのを眺めた。
フリードリヒがあくびをした。
ぼくも、つかれた。
「きょうはもう充分だな!」
シュナイダーさんがそういって、出口に向かって歩きだした。
そのときお祭り広場の出口近く、父がやっと、なによりの小屋を見つけた。
『記念写真。はがき大一枚一マルク。二枚一・五マルク』小屋にはそうかいてあった。
父は、まっすぐ小屋の主人に近寄っていった。「写真をとってもらいたいんだが」
父はおうように言った。
「はがき大を二枚たのむよ」
小屋の主人が腰をかがめた。
「どうぞ、どうぞ」
かれははっきりしない発音でいった。
「さあ、おはいりください!」
小屋の中は背景になる壁に山の景色が描いてあり、その前にまだらの木馬が一頭おいてあった。
ハンス・ペーター・リヒター 作
上田真而子 訳
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