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『大どろぼうホッツェンプロッツ三たびあらわる』を読んで
完結編だってばよ
![](https://assets.st-note.com/img/1725195163290-L91B1MJF0E.jpg?width=1200)
前作のラストで無事ブタ箱にぶちこまれた
我らがホッツェンプロッツですが
またしてもひょっこりと
おばあさんちに現れます
![](https://assets.st-note.com/img/1725195242810-7EM3ZPJ0R0.jpg?width=1200)
まず最初、いらん事しにおばあさんちに来る それがホッツェンプロッツの仕事の流儀
![](https://assets.st-note.com/img/1725195258743-GAkdRIWFqx.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1725195271296-crIpIgjNB7.jpg)
このシリーズのおなじみの冒頭
もはや伝統芸能に近い導入部
今回は刑務所の釈放証明書を持って
おばあさんに今までの事を謝りに来たのだと
抜かしますが無論おばあさんは信じず
音速でホッツェンプロッツを軟禁します
![](https://assets.st-note.com/img/1725195293943-dpjJ6r0GE4.jpg?width=1200)
その後ホッツェンプロッツは釈放されますが
だれ一人、彼の更正を信じません
ゼッペルとカスパールも
露ほども信じずに
ホッツェンプロッツのすみかの近くに
ブービートラップを仕掛けるために
早朝から森に入ってゆく始末
![](https://assets.st-note.com/img/1725195316840-9hDuygupXE.jpg?width=1200)
これまでのホッツェンプロッツとの
長い戦いのおかげで
既にベトコン並みの自立した戦闘力な二人
ちなみにこの二人は
ディンペルモーザー警部の捜査に
満足できず独自に行動しているので
『官憲も一切信用していない』
っちゅー事っすな
やってる事は
チャールズ・ブロンソンと同じです
それに対して
『悪魔と悪魔のおばあさんにかけて、くりかえしていうが、おれは、きのうから平和な市民になったのだ!』と語るホッツェンプロッツ
![](https://assets.st-note.com/img/1725195355950-BLoJ7EzVJw.jpg?width=1200)
まぁ実際、現在の日本でも過去に反社会的勢力に所属していた人間は脱退後も五年間は銀行口座を開設したり賃貸契約を結んだりする事が出来ない
道を踏み外してしまった人間にとって
更正の道ってマジ険しく困難ですね
![](https://assets.st-note.com/img/1725195597247-gmYiA1Z8DN.jpg?width=1200)
しかし我らがホッツェンプロッツは
それをやり遂げるのだ
カッコいいぜ ホッツェンプロッツ!
![](https://assets.st-note.com/img/1725195387801-zjAVZUHHJ5.jpg?width=1200)
ホッツェンプロッツの家で宅飲みするほど
急速に仲良くなるゼッペルとカスパール
![](https://assets.st-note.com/img/1725195436370-hpNtupdBsw.jpg?width=1200)
将来の進路を雑に決めるホッツェンプロッツ
もうちょっとよく考えろよ
今作も
『なんか知らんけどうまそうなメニュー』が
目白押しでワクワクするぜ
『どろぼう料理』とか
うまそうな気配しかない
ハタンキョウでつくったブランデー
ウイキョウ入りのソーセージ
ニッキと砂糖入りアッペル・シュトルーデル
シュトロイゼルクーヘン
ニンニク入りキノコ肉汁
ウイキョウってのはフェンネルで
ハーブのようですね
ハタンキョウは『すもも』です
一作目に出てきた
『生クリームを添えたプラムケーキ』と
材料は同じ(プラムもすももなので)
アッペルなんちゃらと
シュトロイかんちゃらはスイーツです
良かったら検索してみて下さい
うまそうですぜ
このシリーズに出てくるスイーツって全部
おばあさんが作ってるからさ
日本に置き換えると
『手作りのぼた餅』みたいな事で
そら絶対うまいでしょと思う
余談ですが
シリーズを通してカスパールとゼッペルの
父母というのは出てこず
彼らにはおばあさんしか保護者がいない
そしてカスパールとゼッペルは『友達』で
おばあさんは『カスパールのおばあさん』だ
しかし彼らは仲良く全員
家族のように暮らしているようだ
![](https://assets.st-note.com/img/1725196268734-WtzzGc2abt.jpg?width=1200)
小学校の教師だった作者のプロイスラーが
どこまで意図して設定したのか分からないが
僕は想像してしまうのです
この本を取った小さな子どもがもし
親のいない子どもだったとしたら
自分と同じ境遇にある
溌剌とした主人公の
カスパールとゼッペルの姿は
どんなに心強く彼らの胸を撃つだろうかと
その意味でこのシリーズの主人公はやはり
ホッツェンプロッツではなく
カスパールとゼッペルなのだと思う
しかしなんとも
未来への希望を感じさせてくれる
晴れやかで良いラストなんですよねぇ
![](https://assets.st-note.com/img/1725196057839-nxqFsfB8Mm.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1725196089989-dJq6WAOqfX.jpg?width=1200)
このシリーズを
何年もかけて読み継いできた読者なら
落涙必至の激エモラストです
正直、児童文学のレベルを遥かに超えてます
![](https://assets.st-note.com/img/1725195555784-5U6r5kTfYz.jpg)
大どろぼうホッツェンプロッツ三部作
時代を越えて
国を越えて
世代を越えて
人々の心を掴む物語です