🎬ドリーム・ホース 感想

ウェールズの田舎町。
スーパーとクラブの仕事と親の介護に明け暮れる何のときめきもない日常を送る女性ジャン。
クラブで耳にした「馬主」に興味を持ち、村人たち20人で共同馬主組合を作る。
全く素人のジャンだったが夫のブライアン、会計士のハワードの協力を得て母馬ルーベルを買う。
ルーベルは死んでしまうが産まれた仔馬を組合員みんなで"ドリームアライアンス"(通称ドリーム)と名付け調教師に預け自分たちの忘れていた人生の夢やときめきを賭けていく実話。
当初ジャンの表情はとても不機嫌そうにしか見えない。また夫のブライアンもジャンに興味もなくボンヤリした日々を諦めたように暮らしている。
クラブで馬主の話をしていたハワードも胡散臭く、しかも一度馬主になって破産しかけたいわくつきの男でどこまで信用していいかわからない。
村の他の人々もみんな無愛想。
しかし組合の初会合でハワードの「胸の高鳴りのための投資」という一言で疑いながらもドリームにそれぞれの夢を託していく。
初レースで農場生まれとあなどられながら出走したドリームは見事4位に。
競馬場からの帰り道、バスの中でまるで優勝したかのようにビールを飲みながら歌い歓喜する組合員たちの姿に推しの楽しさが伝わってくる。
勝ち進んでいくドリームの存在はジャン自身に自分を取り戻させ、ジャン夫婦の忘れていた過去の情熱を思い出させる。
またジャンと父との関係や、実は馬に特別な思いを持っていたハワードと妻の関係など関わる人々の人生を変えていく。
そして何よりジャンの母馬のルーベル、ルーベルが産んでくれたドリームへの愛情が温かく描かれる。それはもう馬主と馬の感情ではなく自分の家族としての愛に違いなかった。
危機におちいったドリームを競馬を諦めても生きていてほしいと望むようになるジャンの姿は動物好きには痛いほどよくわかる。
競馬シーンは臨場感あふれていて迫力満点。
ドリームの活躍に歓喜する酒好きカービーが笑いと温かい情熱を見せてくれるのが楽しい。
懸命に走るドリームの健気で勇壮な姿とそれにときめいて人としての誇りを思い出していく村の人々の姿は観ていて自然とたかぶり涙があふれる。
不機嫌な表情で登場した人たちが最後には輝きに満ちた笑顔になっている展開に心が洗われ、いつしか観ている自分もやさしさに包まれる珠玉の名作。
必見、おすすめします。


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