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🎬EO イーオー 感想

サーカスで平和に暮らしていたロバのEOは、動物愛護活動家らによってサーカスから引き離され孤独な旅を始める。

ロバの目線で描くロードムービーという異色の映画。
途中抽象的な表現と美しい自然がそれぞれ映し出され、ロバのEOから見た人の世界が描かれている。

EOはいつも孤独で、その眼差しはさびしそうでもあるし、人間を見る目はどこか冷めているようにも見える。

とにかく孤独なEOが無事に生きていってもらいたい気持ちで観続けていたのだが、動物から見た身勝手な人間たちには何度もヒヤヒヤしたりイライラさせられてしまう。
EOから見た人間たちの行動に一貫性や何かしらの共通したテーマは見当たらないのだが、唯一共通して言えるとするならば、自分も含めて人間はいわゆる「経済動物」と言われる動物の肉を食べて生きていることなのかもしれない。
これは大げさに言えば人間の原罪のようにも思え、それを否定するでもなく見つめるEOの視線にはどこか諦めのようなものを感じてしまった。

それにしてもEOを孤独にしたのは動物愛護活動家たちで、自分たちの主張する動物愛護のために動物たちの今の幸せや先の生き方のことなど考えず、一過的な正義感で勝手に善行をしたと思い込みやった気になっているのはこの手の主義者にはよくある話のように思えた。
動物愛護に関わらず、いろいろな自分の信念で他人の人生や生活に口を出し、結果最後には放りっぱなしという主義者たちが世の中にたくさんいることには辟易させられてしまう。
特にテレビ番組の世界のその手の無責任さは顕著で、例えば動物愛護バラエティなど見ていると一過性の正義感とお涙頂戴のための動物愛をうたっているだけのように見えてきて、その後の動物たちのケアはちゃんとできているのだろうかと不安になってしまうものもある。
動物たちを単なる視聴率稼ぎの道具にしているだけだとしたら、それはむしろ肉を食べないと生きられない普通の人間の原罪よりはるかに罪は重いように思うのだが。

描写が前衛的で描きたい主題がやはりわかりにくい映画という印象はあったが、動物好きとしてロバのEOが終始かわいそうで、EOの幸せだけを願ってしまった映画と割り切ってもいいような気がしている。

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