🎬オーロラの彼方へ 感想
太陽フレアの活動によりオーロラがニューヨークに現れた1969年、消防士のフランクは危険を顧みず人命救助に向かい殉職してしまう。
それから30年後の1999年、再びオーロラがニューヨークに現れたその時、フランクの息子ジョンは警官になっていたが恋人ともうまくいかず人生に行き詰まっていた。
何気なく物置から引っ張り出した父が使っていた古いアマチュア無線機。語りかけた無線機でつながった相手は1969年の亡くなる直前の父フランクだった。
時空を越えたアメイジング・ハートフルストーリーだと思い込んで観始めたら、完全に予想は覆された。
時空を越えてつながった父子がお互いのことを認識し過去を変えてしまったことで、予想もしなかったタイムパラドックスが発生してしまう。
そしてジョンとフランクは意図せず1969年当時の未解決連続殺人事件の犯人に肉薄していくことになる。父と息子をつなぐのは古いアマチュア無線機のみ。
二人が過去と未来で協力し知恵を絞り合って、正体不明の犯人に迫っていくストーリーはスリリングでおもしろい。
しかもそこには常にタイムパラドックスのリスクが存在していて、失敗すれば思いもよらない過去になり、そしてそれにつながる現在も変わってしまう。
いったんは父を助けたことで喜ぶジョンだったが、次第に過去を変えてしまったことへの恐れや後悔すら感じ始めてしまう。
連続殺人犯探しも、ジョンは現在にいるため警官でありながら決め手となる行動が何もできず苛立ちがつのっていく。
殺人事件はどうなるのか?また過去の自分たち家族がどうなってしまうのか?クライマックスまでグイグイと引き込むストーリー展開は見事。
そしてラストにしっかりと全てのストーリーを回収する展開はよかった。
タイムパラドックス映画としてところどころツッコミどころがないわけではないのだが、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のようなドキドキの時空を超えたストーリーに『フィールド・オブ・ドリームス』のようなじんわりと響くハートフルなエッセンスが加わり、地味だが独特の観賞後感がある佳作。
ネット会社の話は時空を越える上ではしてはいけない反則だが、そこは大目に見ていいか、とラストのベンツを見て笑ってしまった。