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🎬ストレンジャー・ザン・パラダイス 感想
初ジム・ジャームッシュ作品鑑賞。
男と女、男の友だちの3人がニューヨーク、クリーブランド、マイアミを点々とする、ある意味ロードムービー。
たわいもない会話が淡々と繰り返され、特に刺激的な出来事は起きない。
3人の俳優の演技(男性2人はミュージシャンらしい)もどこかたどたどしく、何でもない日常が静かに続いていく。
しかし、ワンシーン・ワンカットの短いカットが連続するモノクロ映像の世界は、構図が個性的で美しく、映画を見ていることがまるで1冊の写真集を見ているような感覚になっていく。
最低限付けられた音楽も心地よく、映像すべてがスタイリッシュ。
今まで観た映画と比べると映画的とは言えない構図だらけで既存の映画とは違う不思議な雰囲気なのだが、無意識に新しい体験をしているという感覚になっていた。
当初よそよそしかった男女が少しずつ近づいていくというストーリーはありきたりなはずなのだが、観終わってみると映画総体として新しい映画を観たという満足感があった。
1984年の作品なのだから、その後この映画を参考にした映画もあっただろうし、過ぎた年月を考えるとかなり古い手法になっていていいはずなのだが、今初めて観ても十分新鮮なのは、作品がモノクロゆえの美しさに満ちていて、いつまでも観ていたいと思わせる不思議な魅力にあふれているからかもしれない。
ラスト、これから男女がどうなっていくのか?
ある種の破滅を予感させるドラマチックさはあるのだが、映画はそこまで描くことはなく、ゆえに観る側にいろいろな想像をさせるだけで映画全体のリズムが変わることはない。
淡々としたストーリーと見えている展開だけを追えば退屈この上ない映画かもしれないが、映像を流しているだけで芳醇な鑑賞体験をした感覚を味合わせてくれる映画なのは間違いなく、その意味では不思議映画と言っていいと思う。
自分に合わないタイプの映画のはずなのに、意外にも好きになったのも不思議体験だった。