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『PERFECTDAYS』と思い出のTシャツ

学生時代、お気に入りの1枚のTシャツがありました。
初めての都会での1人暮らし。その頃は1人で洋服を買うのがもの凄く苦手でしたが、おしゃれになりたくて自転車を漕いで買いに行きました。
 緊張しながら店内を見回すと、ひと際存在感を放つ1枚のTシャツが目に飛び込んできました。ユニークでアーティスティックなそのデザインにひとめぼれした私は、何だかおしゃれになれる気がして購入しました。

翌日、そのTシャツを着用し、入ったばかりのサークルの部室へ出向きました。すると、いつもおしゃれな同級生に

「あ!アンディーウォーホル!」と言われました。

おしゃれな友人に注目されて嬉しかったのですが、当時「アンディウォーホル」が何を意味するのかさっぱり分からなかった私は「え?」と聞き返すと、その友人は「それ、アンディーウォーホルの絵でしょ??」と言うので、Tシャツを見ると、

イラストの下には確かに「Andy Warhol」
と小さく書かれていました。

それが何を、誰を意味するのか分かっていない様子の私を見て、友人は気遣ってくれ「有名な画家さんなんだよ!」と優しく教えてくれました。
無知な自分への恥ずかしさと、ポップアートの巨匠アンディーウォーホルを知った喜び。2つの思い出が詰まったTシャツは、クタクタになるまで大切に着用しました。


『PERFECTDAYS』


地元の映画館では2か月遅れの公開でようやく観ることができました(*^^*)
note含め、沢山の方のレビューが素晴らしすぎて、自分の言葉でこの映画の素晴らしさを表現できる気がしないのですが、
なぜこの映画が自分の心に響いたのか、その理由を探す事が今の自分に必要だと思えました。

どの俳優さんも、登場するだけで説得力を感じる方ばかりでしたが、個人的には安藤玉恵さんの登場シーンが抜群に良かったです。
それから「大人の影踏み」には涙しました。
自分もあんな風に誰かに寄り添える人間になりたいと思いました。

使われている楽曲がどれもこれも素晴らしくて、恥ずかしながら私には知らない曲ばかりでしたので、鑑賞後、すぐに検索。

車の中で聴きながら夕陽に向かって帰りました。
カセットテープではないけれど、主人公と同じように聴く『朝日のあたる家』は最高でした。

作品名と同じ『PerfectDay』を歌うのはルー・リードというアーティストで、彼はヴェルヴェット・アンダーグラウンドというバンドのVoである事も初めて知りました。このヴェルヴェット・アンダーグラウンドの楽曲『Pale blue Eye』も使われていました。

本当にいい曲ばかりで、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの他の曲も聴いてみようと検索していたところ、1枚のジャケットが目に飛び込んできて、私は思わず声を上げてしまいました。

ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの1STアルバム『The Velvet Underground&Nico』のジャケット。
ヴェルヴェット・アンダーグラウンドを聴くのは初めてでしたが、
そのユニークでアーティスティックなデザインには確かに見覚えがありました。

中央に大きなバナナが描かれた非常にインパクトのある絵。
店内でものすごい存在感を放っていて、ひとめぼれしたあの青春の日。

バナナの下にはもちろん。
「Andy Warhol」

学生時代、おしゃれになりたくて誰の絵なのかも分からずに購入し、クタクタになるまで着たあのバナナTシャツは、青春の日に知った偉大な画家アンディウォーホルが手掛けた、偉大なバンドのとんでもなく有名なCDジャケットである事を、30年の時を経て知りました。

何も知らずに浮かれて着ていた自分が途端に恥ずかしくなり、しばらくうなだれました。うなだれた状態で聴く映画の楽曲がまた心に沁みました。

いい映画と音楽との出会い、そしてバナナとの再会。
主人公平山の日常もドラマで溢れていましたが、私にとってもその日は、とてもドラマチックな1日となりました。
「今日は完璧な1日だった」そう思いながら空を見上げてみると、
バナナの恥ずかしさもどこかへ吹っ飛びました。

そんなとある雪の日の夕方。



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