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猛暑日のワシントンDCで大学のバスに置き去りにされた話

集団行動できない人は置き去りにされる運命にある。今回は留学中に大学のアクティビティでワシントンDCへ遊びに行った際のお話。

留学中は普通の授業に加えて専門分野の特別講義や、美術館や博物館へ行くアクティビティが頻繁に開催されており、出席は取られないもののほぼ強制参加となっていた。
アクティビティに関してはかなり自由に行動できる上、入場料や交通費も大学が出してくれるため非常にお得。その中でもワシントンDCは一番のビッグイベントとなっており、ワクワクしながら当日を迎えた。

突然の猛暑

先にワシントンDCやフィラデルフィアの夏の気候について言及しておくと、湿度はかなり高いものの東京に比べると涼しく、屋外に出るだけで猛烈にストレスを感じることもない

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(https://tenki.jp/world/7/92/72408/ より引用)

しかしながらこの日だけは違った。なんと最高気温が37℃近くまで上昇するというこの年一番の猛暑日になってしまったのである。

大学側からは万が一に備えなるべくグループで行動するように勧告されていた……が、他人に気を使いながら観光したくない一心でソロプレイで挑むことにした。まあボトル3つくらい持っていけば大丈夫だろう。

大学のバスで移動

そんなわけで当日を迎える。フィラデルフィアとワシントンDCは200kmほど離れており、バスだと2時間半ほどかかってしまう。ちなみにフィラデルフィアとNYは150kmほど。

そのため集合時刻も朝7時というなかなかの早さ。集まり次第バスに乗っていくという感じだ。
バスの中でシートベルトは韓国語で安全ベルトと言うことを知る。この留学中、英語のボキャブラリーは全く増えないのに韓国語やら中国語はどんどん増えていくという……。

いざDCへ

朝10時くらいに到着。ナショナルモールのど真ん中に降ろされる。

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DCの主要観光スポットはほとんどナショナルモールに集まっているため観光地巡りは楽。ただしナショナルモール自体がかなり広いため注意。

移動の際はサーキュレーターと呼ばれる無料バスが運行しているため積極的に活用したい。

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遠くに見えるのは議事堂!とりあえずこの方向に歩いていくことにする。

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スミソニアン協会本部。現在はインフォメーションセンター的な施設となっている。

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ハーシュホーン博物館。現代アートメインの美術館。

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入り口に向かうと大惨事なオブジェクトが。

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無料で入れるため一通り作品は見たものの現代アートはあまり面白さがわからない。

外の景色。政治の街感がバリバリ出てるなあ。

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国立航空宇宙博物館。こちらも入場料は無料なのだがすでに人がかなり並んでいたため退散。同様に国立アメリカ・インディアン博物館も入らず。

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植物園。正直この時点でかなり暑く、なるべく室内や日陰でこまめに休憩を取るようにした。

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議事堂の前までくる。

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中に入るには予約が必要らしく、外から眺めるだけ。

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ちなみにDCはFallout3というゲームの聖地となっており、プレイ済みの人にはゾンビがうじゃうじゃしてる光景が思い浮かぶかもしれない。残念ながら私はプレイしたことがない。

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ワシントン・ナショナル・ギャラリー。こちらも入場料は無料……というかDCは入場料取られるところはほとんどない。

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これ以上歩くと暑さで体力がジワジワ削られるため、無料バスで一気に移動しジェファーソン記念堂へ。微妙に工事中。

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さらにリンカーン記念堂へ。ナショナルモールの西端にあたる。

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ナショナルモール側の眺めはこんな感じ。

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視線を下ろすとキング牧師の有名すぎる言葉が刻まれていた。

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ナショナルモールの中央まで移動しワシントン記念塔を見上げる。エレベーターで上に登れるらしいが、当時は故障中で中に入ることもできなかった。

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北に移動し、ホワイトハウスを眺める。

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表側にも回ってみる……が、柵が高く微妙な写真になった。

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ダウンタウンを散策。

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政治の街ということで経済面ではあまり賑わってないイメージがあったが、意外にも人と車がわちゃわちゃ行き交う大都市だった。

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ジョージタウン散策。DCに首都機能が移転する前から存在する街で、建築物もかなり長い歴史を持つことが見受けられる。

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川を越えバージニア州に入る。まずは合衆国海兵隊記念碑へ。個人的にDC観光で一番行きたいスポットだったが、アクセスが悪いこともあり観光客はほとんどいなかった。

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このあたりはかなり高台になっており眺めも良い。

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とほとほ歩いてアーリントン墓地へ。裏口から入る。

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楽しい観光地!というわけではないが、墓石がズラッと並んでいる光景は圧巻

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ただし中はめちゃくちゃ広いため注意。徒歩で全部見て回ってたら体が蒸発してしまうためサクッと見て終わり。

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正門から出る。

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ちなみに大学の帰りのバスは17時にDCを出発するそうだが、この時点で時刻は16:50……。置き去りにされることが確定した。
一応言っておくと、大学側が事前に帰りのバスに乗るかどうかを確認しており、泊まりで観光したい人や自分で足を用意できる人は勝手にどうぞというスタンスだった。
とはいえ自腹で移動するのは高いということもあり、行きのバスの中で置き去りにされたい人は私だけだった。というか全生徒の中で私だけかもしれない。

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そんなわけで何も気にせず観光再開。橋を渡ってDCに戻る。

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夕方になっても気温は全く落ちる気配がない。博物館や美術館には冷水機が設置されているため乞食のごとく水を補給し、3つのボトルの内1つは必ず満タンになるようキープした。

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歩き疲れたためバスに乗る……と思ったのだがバス停で待っても一向にバスが来ない。10分間隔のため最大でも20分待てば来るはずなのだが。
30分ほど待っていたところ親切なおじさんが運休になっている旨を伝えてくれた。運休するならグーグルマップの情報も更新しておいてほしかった……が、無料のサービスだから仕方ないか。

結局自分の足で歩くことになってしまった。まあ水分摂取しまくれば死ぬことはないだろう。南側へ向かう。

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途中で貨物列車が走っているのを目撃。まさかの鉄分補給。

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国際スパイ博物館へ。

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ここで少し問題発生。他の博物館と同様に入場料は無料だと勘違いしていたのだが、実際には割と高額な料金が課せられてしまう。時間的にもゆっくり見て回るのは厳しかったためエントランスホールをうろつくだけで終了。

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その後駅に向かいメトロに乗車。

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NYやフィラデルフィアの地下鉄と比較するとかなり小綺麗な感じ。車両もほとんどが最新型で車内にはLCDディスプレイもついていた。

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ちなみに新型車両の製造元は川崎重工。NYの地下鉄も新型車両は川崎製で着々と勢力を伸ばしつつあるようだ。

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ユニオンステーションに到着。

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乗る便は8:30発のNY行き。MARCはメリーランド交通局が運行する通勤路線で、それ以外はアムトラックの路線。
ボストン~DCはアメリカ最大の大動脈路線となっているが、日本に比べると本数はあまり多くない。

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(StatusがDelayedになっているが気にしてはいけない)

というか7:25発にマイアミまで行く列車があるのに驚き。Silver Meteorと呼ばれるこの編成はNY~マイアミの2235kmを27時間かけて走破するそうだ。

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(Wikipediaより引用)

チケット購入後しばらく駅構内を探索。めちゃくちゃ広い。

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ユニオンステーションはターミナル駅のため行き止まり方式の頭端式ホームだが、実は二層構造になっており下層ホームは通過型となっている。
そのため先述のSilver Meteorなど、DCが途中駅の列車は下層ホームに発着し地下トンネルを経由して南北を直通する。ちなみに南のトンネルを抜けると先程の貨物列車が走っていた路線に合流する。

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(OpenStreetMapより引用)

発車時刻が近づいてきたため搭乗ゲートへ向かう。

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しかしながらガッツリ遅延しているようで搭乗は全く始まらず発車時刻を過ぎてしまった。仕方なく搭乗ゲート付近のベンチでのんびり待つことに。

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「遅れちゃってごめんちゃい。詳しい情報が分かり次第お伝えするね!」と繰り返しアナウンスされるのだが、追加情報が知らされることは一度もなかった

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結局40分ほど待たされてから搭乗開始のアナウンスがいきなり流れた。出発時刻で考えると50分ほどの遅延だ。
遅延するにしてもどれくらい遅れるのか伝えてくれれば駅構内や周辺を散策できたのだが、何も情報がないためゲート付近で待つほかなかった。
まあそのあたりの雑さはアメリカっぽいと言えばぽいかもしれない。

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ちなみに乗車したPalmettoと呼ばれる編成はSilver Meteorの短縮版で、NYからジョージア州のサバンナを結ぶ。ジョージア州からはるばるDCまで半日かけて走行している内に遅延が拡大していったのだろう。

プラットホームに降り立つ。南北を直通する列車のため当然下層ホームに発着するのだが、普通に空が見える。

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実は下層ホームは普通に地上にあるのだが、当時は地下にあるものだと勘違いしており、「もしかして上層ホームにわざわざスイッチバックして入線してきたの?!」と頭が混乱しながら前の方まで歩いた。

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というか実はこの記事を書いているときに以下の画像を発見し、一年越しにようやく謎が解けたわけである。私が乗車したのは25番ホームのためガッツリ通過型になっている。アメリカにもこういった鉄オタ向けの情報をまとめたサイトが存在することにも驚き。

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(アメリカの鉄オタサイトより引用)

そんなわけで前の方の客車に乗車する。基本的には自由席となっているため空いているところに座ればオーケー。

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座席はアメリカンサイズのためかなり広々としている。客車列車ということもあり日本の新幹線と比べてもかなり快適。

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2時間ほどでフィラデルフィアに到着。先頭の機関車をパシャリ。

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深夜ということで一応治安に気をつけながら帰宅。

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おわりに

そんなわけで大学のバスに置き去りにされたのは自分の意思だったものの、無料バスが運休したりアムトラックが遅延したりといろいろとトラブルに巻き込まれる楽しい日帰り旅行となった。

当時すでにトラブル体質である疑惑は湧いていたが、その2週間後にNYで確信に変わることになる。

……といったところで今回はここまで。



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