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四万十川の沈下橋と下灘駅の夕日を見に行った話

四国をレンタカーで1周する旅行記、その3。四万十川、下灘駅編!

前回は高知中心部でとさでん軌道線の乗り鉄や高知城・桂浜の観光を楽しんだ後、ひたすら西へ移動して四万十市に着いたところまでを扱った。今回はその続きから。

宿の周辺をぶらぶら

前回と全く同じ流れで、同行者が爆睡している中こっそりと宿を抜け出して朝の散歩。観光の玄関口となっているのが土佐くろしお鉄道中村駅。高知からやってくる特急あしずりはほとんどが当駅終着(1往復だけ宿毛すくもまで直通)となっており、駅舎も立派。

ただし本数は大変少なく、高知方面は1時間に1本で半分は特急、宿毛方面は2時間に1本ペースだ。跨線橋から駅ホームを見下ろしてみたが、人の気配は全くなく静まり返っていた。

駅の裏側には河川敷が広がっている。後川うしろがわという川で、ここから 1km 程度下流で四万十川に合流している。四万十市の中心部はこの後川と四万十川に挟まれた地域となっており、中村城という城が置かれていたらしい。毎度のことながら駅が設置されているのはやや町外れで、中心部までは少し歩かなければならない。

ゆっくりと昇る朝日を眺めながら河川敷を散歩。

で、その後は中心部の方へ……行かずに、四万十川の方へ。後川に比べるとかなり規模の大きな川となっているが、その分河川敷も広いため川そのものがほとんど見えないという悲しい事態に。

とはいえ、自然の広がる何もない景色というのも良いものだ。朝の澄んだ空気をひとりじめ。しめしめ。

沈下橋へ

その後は宿に戻り他のメンバーと合流。さっそく車に乗り込み、四万十川に沿って上流へ登っていく。まず最初に向かったのが、佐田沈下橋

沈下橋というのは洪水などの増水時に水面下へ沈む橋のことで、低コストで比較的楽に作れることから水害の多い山間部などで採用されていた建築方式だ。増水時の潜水を想定しているため橋の構造は大変シンプルで、流木や土砂が引っかからないよう欄干も設けられていない

車で渡るのはだいぶ勇気がいるなあ。

現代ではこんな危ない橋を野放しにはできず次々と近代的な橋に架け替えられていったわけだが、四万十川では生活文化遺産として保存されており、今では沈下橋を含む四万十川流域の景観が国の重要文化的景観として選定されている。

もちろん普通に生活道路として使われているため、軽トラに乗った地元民がゆっくりと渡っていく姿も見られる。

四万十川にはいくつもの沈下橋が残されているが、その中でもこの佐田沈下橋は最下流に位置し、橋の長さも最長。

四万十市中心部からのアクセスも良いため、観光客もそこそこいる。一応、中村駅からバスが出ているらしいが本数が少ないので注意。

橋の下に降りるとこんな感じ。等間隔で並ぶ細い橋脚が美しい。

橋脚の明るい青色が目立つため、花々や山とのコントラストが際立つ。

佐田沈下橋を楽しんだ後、車に戻り再び上流へ。しかしその途中で道路工事か何かに引っかかってしまい、30 分ほど足止めをくらうことに。ちなみにこの日の前半は運転手が一巡して私のターンだったのだが、なぜ足止めされたのか話を全然聞いてなかった。脳死ドライブ。

で、その時間を利用して川へ降りてのんびりしていた。だいぶ登ってきたけれどまだまだ川幅は広く、四万十川の広大さが実感できる。

続いて向かったのは長生沈下橋

全長・幅員ともに小さく、ローカルな雰囲気が漂っていて大変良い感じ。

とはいえ夏場は川遊びのメッカとなっているらしく、川へ飛び込む人もいるとか。景色的には「清々しい夏!」という感じだが、まだ春なので飛び込んだら凍死しそう。

のんびり写真を撮っているとまたしても地元民の軽トラが通過。40 分くらいの滞在中に何台か通ったため、こんな小さく心細い橋にも関わらず意外と生活道路として利用されているみたいだ。写真撮影の際は邪魔にならないよう注意しよう

ところで川沿いには予土線が走っており、鉄道でのアクセスもギリギリ可能だったりする。最寄り駅はあの有名な半家駅で徒歩 20 分くらいの距離だ。

長生沈下橋の観光を終えた後は運転手を交代し、四万十川から離れて広見川予土線に沿って宇和島へ。時間の関係で宇和島観光はスルーとなり、前回の高知から四万十市までお世話になっていた国道 56 号に再び合流し、予讃線に近づいたり離れたりしながらひたすら北上。

下灘駅へ

予讃線が海側と内陸側で分岐する伊予大洲あたりで我々も 56 号に別れを告げ、肱川に沿ってひたすら下っていくと……

眼前に広がるオーシャンビュー!ついに瀬戸内海沿岸まで到達した。

国道 378 号に合流し、予讃線と共に進路を東へ変える。瀬戸内海の島々を遠くに望みながらしばらく走ったところで、線路を超えて崖の上の駐車場へ。

そしてたどり着いたのがこちら、予讃線の下灘駅

無人駅ながらもホームに広がる絶景から知名度は高く、青春18きっぷのキャンペーンポスターとして何度も取り上げられているほか、映画やドラマ・アニメなどでも度々舞台となっている駅だ。

ホームに立つとこんな感じの景色。青く輝く海と空が美しい

この駅名標もエモくて良い感じ。

で、しばらくすると松山方面からの列車がやってきた。松山からは1時間かからないくらいで来れるものの、列車の発着は1日9往復で特に日中は間隔が開くため、到達難易度はやや高い

というわけで駅を訪れる観光客もほとんどが車での訪問。こんなに人気のスポットなのに JR 四国にお金が入らないのはもどかしいところだ。

というわけで、乗客の乗降は全くないまま列車は発車していく。いつか列車でも訪問してみたいものである。

列車が発車した後はホームも静寂に包まれる……ということはなく、普通に観光客で賑わっていた。微妙な構図の写真が多いのは人が写り込まないよう調整した結果である。

こちらの駅名標、元々は海側にしか駅名表示がなかったが、写真映えのために裏表ともに駅名が記載されたものに変えられたとか。やっぱり海を背景に撮影したいよなあ。

ちなみに予讃線は高松から松山を経て宇和島まで結ぶ幹線だが、前述したようにこの区間は海側と内陸側の2路線に分岐しており、所要時間の関係から特急宇和海は全て内陸線を走る。そのため下灘駅と特急列車の組み合わせは見ることができない。まあ普通列車しか来ないほうがローカル度が濃縮されて良いけど。

で、列車を見送った後は集落の方へ歩いていく。

道路を超えて……

海岸に出る。下灘漁港という港もある小さな集落で、下灘駅からは 1km ほど離れている。

造船所から海へ伸びる線路が映えスポットとなっているが、迷惑な観光客が多かったのか注意書きの看板が乱立しているほか、線路そのものにも文字が書かれてしまっている。人様に迷惑をかけないよう節度をもって観光しましょう。

観光地嫌いの私としてはワイワイ賑わう海岸にいるのが耐えられなかったため、観光客の全くいない堤防へ逃げた。地元の中学生だか高校生だかが釣りに励む中のんびりと海を眺める。漁港が作られるだけあって、このあたりは大変よく釣れるようだ

で、日が傾いてきたあたりで再び下灘駅に戻る。やはり夕日が一番映える光景なのか、観光客も先ほどと比べてかなり増えている様子。

そんな中、伊予大洲方面からの列車が顔を出す。海沿いゆえ、ぐねぐねと曲がりながらゆっくりと向かってくる。

周りの草木がやたら大きいので、ちょっとミニチュア感あるな。

瀬戸内海へ沈んでいく夕日を背に浴びながら到着。

夕日に照らされて輝く車体が美しい。

それにしても観光客多いなあ。

とはいえ車体そのものを撮りたい鉄オタは全くいないため、そそくさと前方へ歩いていき……

前面から撮影。逆光にはなってしまうものの、良い写真が撮れた。

ところで、先ほどから観光客の多さに不満をたれているが実際のところ治安は大変良く「ベンチに誰も座っていない構図」の撮影も気持ちよく行うことができた。撮影の順番待ちになるようなスポットでは無人の構図を諦めざるを得ないことも多いので、これは大変ありがたかった。

それにしても瀬戸内海の夕焼けはグラデーションが非常に綺麗。今まで太平洋や日本海に沈む夕日も見てきたが、ここまで淡いグラデーションを描く夕焼けは初めて見た。

そんなこんなしているところで、今度は松山方面からの普通列車が到着。

夕方のラッシュ時間帯だからか、今回は2両編成での運行となっていた。

で、列車を見送った後は瀬戸内海に沈んでいく夕日をのんびりと眺める。

というわけで完全に日没。ぞろぞろと帰路につく観光客とともに、我々も車に乗り込んだ。

なお駅周辺の道は離合も一苦労な狭さであるため、観光客が一気に移動するタイミングでは特に注意が必要だ。

で、その後は再び 378 号を東へ突っ走り、伊予市あたりで3度目の国道 56 号。そのまま松山に到着したところでこの日の移動は終了となった。

……といったところで今回はここまで。次回、松山編に続く!

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