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鹿児島市電を乗りつぶして市内の史跡を巡った話
九州の西側を巡る旅行記、その7。いよいよ最終回である。前回まで、飛行機を乗り継いで五島列島へ行き、そこからフェリーで長崎市へ、在来線で吉野ヶ里遺跡に寄り道しながら甘木鉄道と西鉄甘木線を乗りつぶし、西鉄久留米から JR 久留米まで歩いて九州新幹線で鹿児島中央駅に到着……といった旅程だった。今回は鹿児島市電の乗りつぶしと市内の観光について扱う。
鹿児島市電乗りつぶし
というわけでさっそく鹿児島中央駅からスタート。
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まずは鹿児島の街に繰り出す……かと思いきや、ちょうど在来線の日豊本線に接続するダイヤになっていたため、そのまま日豊本線の宮崎行きへ。鹿児島と宮崎ってだいぶ離れている印象だったので、この区間を走破する鈍行列車がいるというのは驚きだ。
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帰宅ラッシュ時間帯ということもあり車内は東京並みの混雑だったが、私は次の鹿児島駅で下車。ちなみに先ほど「日豊本線」の宮崎行きと述べたが、正確には鹿児島本線と日豊本線が切り替わるのはこの鹿児島駅だったりする。まあ運転系統は鹿児島中央駅で完全に分断されているので、実態としては鹿児島駅はただの途中駅。
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で、鹿児島駅には鹿児島市電がターミナルを置いている。ここから乗りつぶし開始だ。
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鹿児島市電の路線図を開いてみるとこんな感じ。ターミナルの鹿児島駅前から、南の郊外へ向かう1系統と鹿児島中央駅へ向かう2系統の2路線がある。最初に Google マップを見たときは真ん中を環状運転する運行かと思ったが、実際には環状運転する便はいないらしい。まあ繁華街が環状部分から外れた天文館通・いづろ通のあたりだから需要がないのだろう。
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そんなわけでかなりシンプルな運行形態となっており、頑張れば2回の乗車で全線完乗を達成できる……のだが、まずは一旦宿へ向かうためにいづろ通電停で下車。今回は繁華街ど真ん中に宿を取った。
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ところで前回・前々回とあまりにも歩きすぎており、足が悲鳴を上げていたためチェックイン後しばらく休んでいた。というわけで日もすっかり暮れたところで再び乗りつぶし再開。それにしてもいづろ通電停周辺の景色マジで良いな。
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で、まずは1系統に乗って南下。鹿児島中央を経由しないから需要も少ないのでは?と思っていたが予想外に大繁盛で、なんと終点の谷山電停まで立ち客が多数いる状態だった。鹿児島市南部からの通勤・通学需要はかなり大きいようだ。
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谷山電停の周辺は住宅街が広がっているほか、鹿児島ラ・サール中高の最寄り駅でもある。川を越えれば JR の谷山駅もあるが徒歩 10 分くらいかかるので、JR に乗り継ぐ場合はもっと手前の南鹿児島駅などを使うのが良さそう。
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外に出るとこんな感じ。日本最南端の電停。
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前前前回に訪れた日本最西端の電停、長崎市電の赤迫電停は道路の上にぽつんと設置された終着駅感のない風貌だったが、こちらは建物付きのターミナルになっており雰囲気も大変良い。
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で、その後はそのまま折り返す……のは私の信条的に許されないため、歩いて JR 谷山駅に向かい指宿枕崎線で戻る。この日は JR 九州の株主優待券を使用していたため、ここの移動はゼロコストだ。
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というわけで鹿児島中央駅に到着。先ほどは乗り換えだけだったため、駅の外は初見だ。
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駅ビルの上にはライトアップされた観覧車が。以前の四国旅行で訪れた松山市駅を思い出す光景だが、最高点の高さ・直径ともに鹿児島中央の方が上らしい。
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……といった感じでこの日は終了。
翌日
翌朝、さっそく市電乗りつぶし再開……といきたいところだが、まずは市内の観光からスタート。
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繁華街を抜けて歩いていくと……
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照国神社に到着。
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薩摩藩の名君として名高い島津斉彬公を祀っており、市内では最も大きい神社だ。
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神社に参拝後、さらに裏手へ進んでいくと階段が出現。
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標高 100m ほどの小高い山、城山である。この山の麓に鹿児島城が建てられていたため古くから市街の中心部だったわけだが、それを踏まえても繁華街の至近に緑で覆われた山があるというのは不思議な光景だ。
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で、上まで登るとこんな感じの景色。桜島がバッチリ見える展望スポットだが、残念ながらこの日は厚い雲に覆われていた。
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ところでこの城山は西南戦争最後の戦場である。西郷隆盛率いる薩摩藩士族が立てこもり圧倒的戦力差の政府軍と戦った地であり、展望台近くの公園には薩摩軍本営跡の石碑が残されていた。
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で、市街中心部とは逆の方向へ下りていくと……
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西郷隆盛洞窟に到着。
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西郷隆盛が最後に指揮を取っていた洞窟で、開放されている部分は自由に入ることができる。
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中には西南戦争に関する資料がズラリと並んでいた。洞窟内の独特の雰囲気も相まって、当時に思いを馳せるとなんとも言えない気持ちになる。
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ところで資料の保管環境としてはだいぶ悪そうだが、大丈夫なのだろうか。
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その後は山を下りて市街の方へ。シェアサイクルで走り回ろうと思っていたのだが、雨が降ってきてしまった。
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というわけでとほとほ歩いて、石橋記念公園へ。
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中心部を流れる甲突川にはかつて幕末に架けられた石橋が5つあったらしく、その内水害を逃れた3つがこの公園に移設保存されているとのこと。まずは4連アーチの西田橋。全長 50m というなかなかの規模だ。
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公園には資料館が併設されており、石橋の歴史や架橋技術について学ぶことができる。無料で見学できるうえに展示も充実しているためオススメだ。
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西田橋を渡っていくと……
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続いて見えてくるのが高麗橋。西田橋と規模は変わらないものの、苔むしててちょっと脇役感がある。
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で、最後が玉江橋。これも4連アーチ橋だが、前の2つに比べると小さめのサイズだ。
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そのまま歩いて海を望む。ちょうど桜島フェリーが見えたが、肝心の桜島は全く見えず。
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その後は城山の麓へ。まず向かったのが、西郷隆盛が設立した私学校の跡。現在はどでかい病院が建っており、残されているのは正門の石垣のみ。
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そして石垣には大量の銃痕が。西南戦争は私学校の生徒たちによって引き起こされた側面も強いため、城山の戦いでは政府軍によって猛攻撃が浴びせられたことだろう。
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で、石垣からさらに進むと鹿児島城跡が見えてくる。
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が、足が疲れてきたので一旦脇道にそれる。こちらの近代的な建物はかごしま県民交流センター。
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で、その敷地内にあるレトロな建物に突入。元々この地に建てられていた県庁本館の玄関部分を切り取ってきた建物で、中はレストランと歴史博物館になっている。博物館は無料で見学可能だ。
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外見はもちろんだが内装もなかなか趣深く、まさしく大正時代の西欧風建築といった雰囲気。
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近現代史を学びながら足を休め……
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ようやく鹿児島城跡へ。
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……と思ったのだが城内の建物はほとんど残されておらず、有料の歴史・美術館があるだけなのでスルーしてしまった。ここまで散々無料で歴史を学んできたので、そろそろお腹いっぱいの気持ち。なお、唯一ガッツリ復元されているこちらの御楼門は日本最大の城門である。ここだけ写真に収めれば鹿児島城跡は十分な感じ。
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続いて中心部のいづろ通電停付近へ戻り、山形屋へ向かう。このあたりでも特に存在感を放っているルネッサンス建築の建物が山形屋だ。
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良い感じの写真を撮りそこねてしまったため、ひとまず Wikipedia を引用しておく。山形屋の創業はなんと 1751 年と大変長い歴史を持っており、この地に百貨店を開いたのは第一次世界大戦中の 1916 年。その後は鹿児島空襲による戦災からの復興を経て、昭和中期の増改築で現代建築に生まれ変わるものの、平成に入ってから外装は現在のルネッサンス調デザインに復元された……という歴史を持つ。
というわけで中身は昭和の香りが残る古き良き百貨店、外装は大正時代の西欧風建築というなかなか興味深い建物なわけだ。
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ちなみに、路面電車の通らない裏手のアーケード商店街側の建物は昭和レトロそのままな雰囲気だ。これはこれで良い。
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で、用事があるのは最上階の7階。やたら豪華なラッピングが施されたエレベーターで登っていくと……
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大食堂に到着!ああ~まさしく昭和レトロ、これはエモい!現代ではテナント式のレストラン街が設置される方式が一般的になってしまったため、百貨店最上階の大食堂というのは絶滅危惧種ではないだろうか。私は初めての経験だ。
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で、ここでの名物が焼きそば。一般的な焼きそばではなくいわゆる皿うどんだ。百貨店の食堂だというのに値段は比較的リーズナブルで、量も味も満足できるものだった。
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あともう1つ、鹿児島名物であるしろくまも注文。ただ……なんかちょっと見た目が想像していたものと違うような。トッピングミスったか?
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公式HPの画像を引用すると↓こんな感じ。
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ちなみに真冬の雨の日ということもあり、後半はぷるぷる震えながら食べていた。温かい季節に注文することをおすすめする。
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で、食後は軽く店内を散策。中4階という謎の表記を発見したので行ってみることに。
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ぱっと見は違和感がなかったが、接合部では間に絶妙な高さの差があるという不思議な光景が。増改築によって生じたちぐはぐ感がなんとも面白い。
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……といった感じで山形屋を満喫したところで、ようやく乗り鉄活動再開。
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2系統に乗車。さすがにお昼後ということもあって車内は空いていた。
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雨粒の影響で全くピントの合っていない鹿児島中央駅。
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で、1系統に接続する郡元まで乗車して鹿児島市電の全線完乗を達成。時間に余裕があったので郡元からはぶらぶら街歩きしていたが、特に目ぼしいものはなかったため写真はなし。
東京へ
1時間くらいぶらぶらしながら中心部へ戻り、鹿児島空港行きのバスに乗車。鉄道と路線バスを組み合わせてアクセスすることも十分可能だが、中心部からならバスでさくっと移動するのが便利だ。
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で、飛行機で羽田に飛んで帰宅した。
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前回の九州旅行では羽田空港から自宅に帰るまでに人身事故に巻き込まれ、猛ダッシュでギリギリ終電に追いつくというトラブルに見舞われたが、今回は何事もなく無事に帰宅できた。
おわりに
というわけで、全7回にわたる九州西側旅行記もこれにて完結。正直なところ最初の福江島が最高すぎて残りは消化試合感もあったが、各都市の定番スポットを効率的に巡ることができ満足度は大変高かった。前回と今回の旅行で九州7県全てをコンプリートできたとはいえ、まだまだ訪れていない魅力的なスポットや鉄道路線が大量にあるため、また機会があれば九州へ上陸したいところだ。
……といったところで今回はここまで