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中国本土から陸路で香港に渡り重慶大廈に泊まった話
広州から陸路で香港を目指す旅行記、その3。前回は広州から高鉄で深圳へ向かい、中心部を街歩きしながら深圳湾口岸にて香港へ入国したところまでを書いた。今回はその続きから。
さっそくバスに乗車して香港へと出発。
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前回も少し述べたが、深圳~香港を陸路移動する場合は鉄道を利用するのが一般的なため、バスの乗車率は低めだった。元々の予定では地下鉄の硬い椅子に長時間座るつもりだったが、それよりはバスの方が満足度は高そうだ。
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深圳湾口岸の貨物ターミナル的な場所の横を通り過ぎ……
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香港へと向かう長い橋に入る。
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遠景には深圳の高層ビル群。
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ちなみにこの道路はすでに香港扱いとなっているため、左側通行だ。
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ところで香港と言えば小さな島国……という印象を持っている人もいるかもしれないが、実は大部分は中国本土と陸続きだったりする。中心部は半島南部の九龍と香港島の北側あたりで、今渡っている橋は西側の屯門地区と湾の対岸を結んでいるあたり……といった位置関係だ。
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というわけで、橋を渡ったあたりは中心部からだいぶ離れている辺境の地というわけだが、それでも高い建物がいくつも建っており驚いた。
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そして中心部に近づくにつれ建物の数・交通量ともに増えてくる。それにしても対向車線を走る車をぼんやり眺めていると、目に入るのは2階建てバスを除き全てどこかで見た覚えのある一般的な車ばかり。中国本土では EV 化が急速に推し進められたこともあって見覚えのない車ばかりだったため、「グローバルな世界に戻ってきたなあ」という印象を受けた。
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やはり、中国本土は異質で閉鎖的で息苦しい側面があったため(それが悪いわけではないが)、無事に香港へ入国できたという安心感もあって実家に帰ってきたような気持ちになっていた。
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その後バスは下道へと下り、主要スポットにちょこちょこ止まりながらさらに中心部へと向かう。道中、ふと車窓を見るといかにも香港らしい景色が顔を覗かせていた。これはテンション上がってきたぞ。
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で、終点の尖沙咀に到着。中心部の九龍地区の中でも特に栄えているエリアで、目抜き通りのネイザンロードには商業施設が立ち並び多くの人で賑わっていた。
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今回宿を取ったのは、そんな中心部ど真ん中に位置する重慶大厦のゲストハウス。重慶大厦は 17 階建ての巨大複合ビルで、低層部分はショッピングモール、それより上は宿泊施設となっている。
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観光に最適の立地ながら無数の安宿がぎゅうぎゅう詰めになっていることから、バックパッカーの聖地とも呼ばれている。私もバックパッカーの端くれとしてぜひ宿泊せねばという思いがあって宿を取ったわけだ。……まあ普通に宿代をケチりたかったからという動機の方が大きいが。
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中へ入ると両替商や雑貨店、小さなレストランなどが所狭しと並ぶ。重慶大厦は南アジア・中東・アフリカ系のコミュニティができているらしく、目に見える景色だけでなく聞こえてくる会話や漂う料理の香りからもエスニックな雰囲気を感じていた。
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で、宿に向かうためまずはエレベーターへ。重慶大厦は A 棟から E 棟までの5つのビルで成り立っているが、上層階では各棟の行き来はできないので注意が必要だ。それにしても1つの棟だけでこんなにゲストハウスが入っているのすごいな……しかもこの表は奇数階しか載せてないので、実際にはこの倍の数ある。
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そんな大量のゲストハウスに対して、エレベーターのキャパは完全に不足している。各棟には小型のエレベーターが2基付いているだけで(片方が奇数階・もう片方が偶数階という運用)、階数が多いことやレストランなどに運ぶ貨物も乗ってくることから、待ち時間は大変長い。
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というわけで宿が(比較的)低層の階なら非常階段を使うのもありかもしれない。また、「偶数階に行くはずが奇数階のエレベーターに乗ってしまった!」という場合も階段で1階移動すれば良い。それにしても、画像ではなかなか伝わらないが非常階段はだいぶ年季が入っており、怪しげな雰囲気を醸し出していた。
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で、予約サイトの表記を頼りに宿へ向かうと「チェックインする時は〇〇に来てね」とたらい回し。そういうのはサイトに書いておいてほしい……まあチェックイン自体は滞りなく終わったので良かったが。
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ところでふと窓の外を見てみると……
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おおおお!これはすごい景色だ。換気や採光のためか棟の内部に吹き抜けの部分が設けられているようだが、汚れ放題となっている。
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で、暗かったので翌日に撮った写真がこちら。先ほどの非常階段といい、こういうカオスな景色は九龍城砦を彷彿とさせるなあ。
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で、宿に入る。セキュリティなどもしっかりしており、清潔感もあるが……まあとにかく狭い!扉を開けると靴脱場とベッドとバスルームしか存在しないという。まあ必要十分ではあるが。
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荷物を置く場所もベッドの下の引き出しという大変心もとない感じ。バカでかいバックパックなどは入らないだろう。
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バスルームは……やや清潔感に欠ける部分はあったが気になるほどではなかったし、ちゃんとお湯は出るので満足。
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あと空調も完備なため、なんやかんやで不便することなく過ごすことができた。ドミトリーなどに比べれば快適度は段違いなため、興味があればぜひ宿泊してみることをおすすめする。
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というわけで次は街に繰り出す……前に、現金を全く両替していないため下に降りて両替商を物色。重慶大厦は香港で最もレートの良い両替商が集まっていることでも有名で、宿泊目的でなく両替のために訪れる旅行客も多いとか。で、入口から遠いほどレートが良い……という話を聞いていたのだが、そんなことはなくどこもほぼ変わらなかった。ただし、入口間近にある店だけはレートが悪いので注意。
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というわけで1階・2階の両替商を全部物色した上で、一番レートの良かった店で日本円を両替。私は外貨は基本的にクレカのキャッシングを使う派なのだが、レートの良い両替商を使えるならそちらの方がお得だ。
ちなみに広州・深圳で使う用の中国元も余っていたので、これもついでに両替。今後は中国本土で現金を使う機会はますます減るだろうし、2019 年に両替した外貨なので、昨今の円安を考慮すると手数料込みでも日本円を替えるよりお得だったりする。
九龍地区を街歩き
で、まずは地下鉄に乗車。クレカタッチでも入場できるが、今回は有人窓口でオクトパスカードを発行した。公共交通以外にも無人販売機などで「現金以外だとクレカは使えないけどオクトパスカードなら使える」ということもあるので、香港を旅行するなら発行しておくのが良いだろう。
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ちなみにエスカレーターは右に並ぶ。ロンドンも同じだったので、とことんイギリスに合わせている感じだ。
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エスカレータだけでなく、赤色の2階建てバスや歩行者用信号のチッチッチ……ジリリリリリリ!という音、そして自動車用の信号も赤から青になる前に黄色も点灯するという光景から、まるでロンドンに迷い込んだかのような感覚になっていた。
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その一方で中華文化を感じる光景もそこかしこに溢れている。香港の街並みは伝統的中華とイギリスを足して2で割ったような感じで、興味深い景色が多く街歩きは大変楽しい。
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中華なランタンがたくさん吊るされた通りもある。
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ところで「香港と言えば道路にせり出すネオン看板!」というイメージがあるが、残念ながら老朽化や安全面の関係ですでにほとんどが撤去されてしまっている。
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とはいえ繁華街に店が立ち並ぶごちゃごちゃ感は今も健在だ。
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ネオンの輝きでいうと裏通りのこの看板が一番ギラギラしていたが、あまり人の集まる通りではないこともあって逆に寂しい雰囲気を醸し出していた。
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香港では夜市も盛んで、狭い通りに露天が広げられている様子を見ることができる。
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夜市の中でも特に規模が大きいのが女人街で、なんと全長 1km にもわたって露天が立ち並んでいる。
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夜市の定番スポットということもあってかなり人が多く、ゆっくりと物色するにはやや窮屈な印象を受けた。
腹を満たす
で、このあたりで腹が減ってきたので事前リサーチで調べていた評判の良い点心店へ。夕食時ではあったがギリギリ並ばずに入ることができた。
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前々回に広州のチェーン店で飲茶を体験した際は注文に四苦八苦したが、今回は写真付きのメニューがあったため楽々注文。マジでありがたい。
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右側の蝦餃という海老蒸し餃子は大変美味で、思わず「うひょひょ」と飛び跳ねたくなるほど。私はあまり食事に興味がないのだが、やはり美味しいものを食すとテンション上がるなあ。
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というわけで大満足でお会計。観光客の出入りも多い店だったが、まさかの Cash Only。キャッシュレスの普及率は日本と同じくらいな印象を受けた。
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ところで会計時に流れで「謝謝」と言ったのだが、ここで猛烈な違和感を覚える。香港は広東語圏なので正しくは多謝になるのだが、当時は全く予習していなかったためこれ以降 Thank you で押し通すことにした。というか同じ広東語圏の広州では謝謝と言っても特に違和感なかったのだが、なんでだろう……。
夜の香港島を望む
続いてやってきたのは、九龍地区の最南端に位置するアベニュー・オブ・スターズ。ビクトリア・ハーバーを挟んで対岸の香港島をバッチリ拝むことのできる夜景スポットだ。
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こちらも定番スポットということで大量の観光客で賑わっていた。
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中央のひときわ目立つ建物は国際金融中心・第二期。415m もの高さを誇る高層オフィスビルで、香港島のランドマーク的存在となっている。ちなみに第一期はどこかというと、すぐ右側の青く輝くドコモタワーみたいな建物との間にある。こちらは高さ 210m ということで香港島の他の高層ビル群と大差ない。
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それにしてもマジできれいな夜景。サイバーパンクを感じるなあ。
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ネオン看板が輝く景色は失われてしまったが、香港島の夜景が消滅することはそうそうないだろう。
翌日
で、翌日の早朝から再び街歩き開始。重慶大厦の裏手を通っていくと……
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公園を発見。園内にある小高い丘を上っていく。
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なにやらレトロな塔を発見。調べてみると 1907 年に建てられた塔で、毎日決まった時間に最上階から大きな球を落とすことで近くの船に時間を知らせる……という、大変アナログな時報装置だったとのことだ。
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船に知らせるわけだから、当然海を一望できる位置にある……が、現在は目の前でバカでかい高層ビルが建っておりやや視認性が悪い。
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建設された当時はここら一帯で一番高い建物だったのだろうと思うと、なんともエモい気持ちになる。
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続いて朝食を摂取しに近くの喫茶店へ行き、名物の香港式フレンチトーストをいただいた。見た目通りのカロリー爆弾となっており、毎日食べたら確実に健康へ悪影響を及ぼすだろう。
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といった感じでカロリーを過剰摂取したことにより、その後は元気に街歩きを再開。
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令和。これ以外にも日本語の看板はちょくちょく見かけた。
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やはり狭い路地が大好き。
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観光客が立ち寄らなそうな怪しげな路地にもガンガン突っ込んでいく。
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室外機が無数に並んでいるのが良き。台湾でも室外機だらけのビル群を拝むことができたが、ごちゃごちゃ感は香港の方が上かも。
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多種多様なビルが統一感なく自由気ままに乱立している雑多な雰囲気がなんとも良い感じ。というかこの写真、左の建物と右の建物どちらが手前なのか一瞬わからない目の錯覚画像みたいになっているな。
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……といったあたりでだいぶ分量が多くなってしまったため、今回は一旦ここまでとしたい。次回は香港島へ渡り2階建てトラムを乗りつぶした話を執筆する予定だ。