日本海と恐竜を見に行ったら路面電車が田園を爆走していた話
タイトルだけでどこへ行ったのかわかる人いたらすごい。
2019年5月、世間は史上初の10連休に大騒ぎしていた時期だが、私の大学はそのような俗世界(天国)とは完全に隔離されていた。
というのも、嫌がらせのように連休をぶった切る形で通常通りの講義がねじ込まれ、結果としてただの3連休になるという有様。中間考査前ということもあり、休日も遊びに行くどころか大量の課題を消化するために消え去ってしまった。
そんなこんなで中間考査が一通り終了した月末の普通の土日に、福井へ行く用事ができた。これは鉄分を補給する絶好のチャンス!ということで意気揚々と福井に向かったのである。
ちなみに用事とは、0からラーメンをつくるプロジェクトにおいて、調理用の包丁を職人のもとにつくりに行くというものである。詳しくはこちらの記事を見てほしい。
いざ福井へ
旅程としては金曜日の夜、授業が終わった後にそのままレンタカーを借りて出発、下道を延々走り土曜日の朝に福井に到着。土曜日は一日作業に費やし、夜は車中泊。ホテルに泊まるといった選択肢はない。
一日で作業が終わらなかった場合日曜の午前中も使い、夜に東京へ帰るといった感じだ。
なんという弾丸スケジュール。
結局、5月なのに真夏並みの暑さだったり、私が警察に連行されるといったハプニングがあったものの、なんとか土曜日の内に包丁を完成させ、日曜の午前は観光に使えることになった。
……が、そんな体力はどこにも残っていなかった。
そもそも2日連続で車中泊の上、工房の中で一日遠赤外線と戯れていたため体力ゼロになるのも当然である。しかもここから東京に戻らなければならないのだ。
そんなわけで、結局寝るだけ寝て体力を回復させることになった。……が、私は旅行中は寝なくても生きていける人種のため、朝5時頃に1人で車を抜け出し鉄分補給にでかけた。
まずは撮り鉄
空がきれい。夕日ではなく朝日である。
市内を南北に流れる日野川へ。
北陸本線を撮影。そこそこの長編成が来ると予想して構えていたが、まさかの2両編成。
北陸本線と言えば食パンが走っていると聞いていたのだが、調べたところ食パン列車は随分前に引退していた。情報が古すぎる。
その後ダッシュで別の橋へ。福井鉄道の始発列車を撮影。
福井鉄道は福井市の中心部以外は専用軌道となっており、路面電車が郊外を走る珍しい光景が見られる。
福井鉄道に乗車
次の列車に乗るため駅まで歩く。
待合室の雰囲気がいい感じ。
ここで地元民と思われるお年寄りの方に声をかけられるのだが、何を言っているのか全くわからなかった。
北陸ってかなり訛り激しいのかもしれない。日本語のはずなのに理解できないというのは不思議な体験だった。
路面電車のため低床ホーム。乗降口のステップはわりと段差がきついため注意が必要だ。
ちなみに車内はこんな感じ。
車内で”福井鉄道・えちぜん鉄道 共通1日フリーきっぷ”を購入。土日限定だがかなりお得。
途中の三十八社駅で下車。
普通の無人駅でかなり簡素な作りだが整備は行き届いており、掃除も徹底されているようだった。
これはすごい景色!ただし駅の反対側は住宅地になっている。
対向列車を撮影。逆光になってしまったが仕方なし。
撮りたかった構図。もう少し遅い時期の方が水田の反射はきれいだったかもしれない。
雪国ということで分岐器を守るためのスノーシェルターがあちこちに設置されている。
次の列車に乗車し福井駅へ。
そして福井駅のモニュメントになっている恐竜。でかい!
このモニュメント、日中になると動くらしいのだがまだ朝だったため静まり返っていた。
えちぜん鉄道に乗車
JRを華麗にスルーし、えちぜん鉄道の福井駅へ。
隣は絶賛工事中。おそらく延伸する北陸新幹線用だろう。
こちらがえちぜん鉄道。
車内はこんな感じ。
終点の三国港に到着。
折返しの列車が発車するまで15分しかないためダッシュで海へ向かう。
……が、終着駅のなんともいえない寂れた雰囲気に思わず写真を撮ってしまった。線路の終わりってすごくいい。
そして日本海!
釣りスポットになっているらしい。
当時の私は海といえば太平洋しか見たことがなかったため、初めて見る日本海に少し感動していた。
しかしながら海であることに変わりはなく、正直あまり違いはわからなかった。たぶん言われないと日本海と認識できないと思う。
5分ほど眺めた後にダッシュで駅に戻り、折返しの列車に乗車。ぼんやり車窓を眺める。
一面に広がる水田。
動画も回す。本当に画になるなあ。画像にすると分かりづらいのだが、めちゃくちゃ千と千尋感でてる。
途中の鷲塚針原駅で下車。
こちらのかわいらしい列車に乗車。”ki-bo(キーボ)”と呼ばれているらしい。
なんでこんなところに低床路面電車が?と思うかもしれないが、実はえちぜん鉄道は福井鉄道と相互直通運転を実施しており、乗り入れ用にこの車両が使われているわけだ。
ちなみに福井鉄道側は”FUKURAM(フクラム)”と呼ばれる車両を直通に利用している。こちらもなかなか凝ったデザイン。
えちぜん鉄道は路面電車規格で作られていないため当然ながら普通のホームでは乗降できない。車内から見るとこんな感じで、座席よりもかなり高い位置に足場がある。
そんなわけで直通列車が停車する駅にはわざわざ低床ホームが設置されている。既存のホームの横に並列させたり、ホームの端に直列の形で増設するなど駅によって様々だ。
(この駅は左側から乗降できる)
さらに面白いのがこの列車の種別は急行となっており、かなりの駅をすっ飛ばすのだ。超低床車が駅を次々に通過する光景は他ではなかなか見られないと思う。
福井駅周辺の鉄道路線は少しごちゃごちゃしているのだが、直通列車は途中の田原町駅で福井鉄道に入る関係上えちぜん鉄道の福井駅には向かわない。
(OpenStreetMap より引用)
車内を観察しているとやはり福井駅に向かいたい人の割合が多いのか、乗り通す客はあまり多くなかった。
また、福井鉄道の福井駅には”ヒゲ線”と呼ばれる支線が伸びており、普通列車は上下線共に福井城址大名町駅に停車後、支線に入り福井駅に停車。その後もう一度福井城址大名町駅に停まるといった運行形態なのだが、直通列車は福井駅を完全にスルー。
途中めちゃくちゃレトロな車両とすれ違う。"レトラム"という車両らしい。
中心部を抜けてからは再び専用軌道に入り郊外を爆走。あっという間に終点の越前武生駅に到着し、他のメンバーと合流する。ちなみにこの時点でまだ11時前。
おわりに
そんなこんなで時間と体力が圧倒的に不足している中、なんとか福井鉄道の全線乗車に成功した。しかも日本海を見れたり(5分だけ)、恐竜を見れたりと、雀の涙程度ではあるものの観光もできたため大満足。
しかしながらえちぜん鉄道は2路線ある内の片方しか乗車できなかったため、福井市内の観光も含めまた機会があれば乗りに行きたい。
……といったところで今回はここまで。
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