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【皮膚科医が解説】ヒスタミンを抑える?薬ごとの違い?!蕁麻疹の治療「抗ヒスタミン薬」編
皆さんお疲れ様です。
マッチョな皮膚科医 JOJIOです💪
先日、蕁麻疹が発生するメカニズムを
「24時間で消える」「真皮内」「ヒスタミン」「浮腫」を
キーワードにして解説させていただきました。
今回は蕁麻疹の治療(抗ヒスタミン薬)について
誰よりもわかりやすく、お話していければと思います。
しかし、焦ってはいけません。
治療を理解するためには発症のメカニズムを
しっかりと抑えておく必要があります。
なのでもう一度復習、、、
「蕁麻疹は真皮にヒスタミンが分泌されることで血管が広がり、浮腫が生じて、赤くて、盛り上がりのある、かゆい皮膚症状を発生させます。」
この機序から考えると
「ヒスタミン」をどうにか抑えることが
蕁麻疹の治療に繋がりそうですよね!
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実はその通りで!!
ヒスタミンを抑える治療が現在でも主流ですし、
一番最初に推奨される治療です。
1930年代くらいから
この「ヒスタミン」に対する研究はされていて
1940年には第一世代「抗ヒスタミン薬」が開発されます。
ポララミンとかって聞いたことありませんか?
(成分名としてはd-クロルフェニラミンマレイン酸塩、市販薬にもよくはいってます。)
このポララミンが
第一世代の「抗ヒスタミン薬」にあたります。
今でもたまに使われることがあります。
(私はめったに使いませんが、、、)
この「抗ヒスタミン薬」の機序としては、
ヒスタミンがくっついて悪さをする受容体をブロック
することでヒスタミンを無効化もしくは効果を弱らせる
というものです。
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革命的な「抗ヒスタミン薬」の開発ではありますが、
実は弱点があります。
この第一世代の「抗ヒスタミン薬」は
脳内にある多くのヒスタミン受容体までも
ブロックしてしまうことが知られています。
皮膚の真皮では血管拡張やかゆみを引き起こす
ヒスタミンは、脳内においては!
「覚醒」を維持することに使われています。
ということは脳にあるヒスタミン受容体を
第一世代「抗ヒスタミン薬」でブロックしてしまうと
「覚醒」の逆!つまり 眠くなってしまうわけです!
ちなみにポララミン1回分規定量を内服すると
ウイスキー3杯分の飲酒に相当する
作業効率の低下を引き起こすとされています。
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この弱点を解消したものが、脳への移行を少なくした
現在多く使われている第二世代「抗ヒスタミン薬」です。
あくまで少なくしたというのがポイントで
従来の第ー世代に比べたらかなり改善はされていて
眠気などの副作用は少ないですが、出ることもあります。
具体的なお薬の名前としては
アレグラ®︎(フェキソフェナジン)、ザイザル®︎(レボセチリジン)、アレジオン®︎(エピナスチン)、ビラノア®︎(ビラスチン)などです。
よく使われるお薬たちですので、
処方されたり、みかけたりしたことがあると思います。
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この表は第二世代「抗ヒスタミン薬」の
Tmax 何時間で薬の血中濃度が最高になるか
→どれくらいの速さで効くか
→短ければ早く効く
T1/2 何時間で薬の血中濃度が半分になるのか
→どれくらい効果が持続するか
→長ければ長く効果が持続
を表しています。
理論上は早く効いて、
効果が持続するのが良いですよね!
ですが!実際にはそう上手くはいかず
効くor 効かない、効果が持続するorしないは
かなりの個人差があります。
なので第二世代「抗ヒスタミン薬」を処方するときには
「全てをいいお薬ですが、人によって効き方に個人差があるため合う、合わないがあります。あなたにとって効果の良いお薬を見つけて続けましょう。いつでも感想を教えてくださいね」といって処方しています。
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あとは眠気、合併症、基礎疾患、年齢、薬剤の性状を
考えながら患者さんにお薬を探していきます。
全ての理論と考えを話すとキリがないので、
今回は眠気に関してだけ触れます。
実は飛行機のパイロットさんが飲んでもいい
第二世代「抗ヒスタミン薬」は4種類しかありません。
それ以外のものを内服して、
操縦することは許されていないということです。
その4つが
ビラノア®︎(ビラスチン)
デザレックス®︎(デスロラタジン)
クラリチン®︎(ロラタジン)
アレグラ®︎(フェキソフェナジン)
です。
臨床試験などで眠気が出づらかった
この4薬剤に関しては操縦に際しても内服可能と
判断されています。
なので基本的には
飛行機のパイロットでなくても車など運転をする人には
この4薬剤から選んで処方をする様にしています。
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今回の解説はここまでです。
最後まで読んでくださりありがとうございます。
今後も誰よりもわかりやすく、
皮膚科やその他のためになる皮膚科の知識を
発信していればと思っています!!
フォローしていただけると嬉しいです!!
マッチョな皮膚科医JOJIO
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