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オーストラリア農業の先進性から学ぶ! 第49回 オーストラリアで農産物のブランド盗用を防ぐには?

オーストラリアは多文化社会として知られ、その市場には多国籍の消費者が存在しています。日本産の農産物がこのような多国籍国家で成功することで、日本からの輸出が容易になり、海外市場でのビジネスチャンスが広がります。今回は、オーストラリア市場で日本産農産物を成功させるための具体的な戦略と、ブランド盗用を防ぐための方法について詳しく説明します。

オーストラリア市場の魅力と日本産農産物の強み

オーストラリア市場は、その多様な消費者ニーズに応えるために、日本産の高品質な農産物に対する需要が益々高まっています。特に、日本産の生鮮食品はその新鮮さと品質の高さから、オーストラリアの消費者に強い支持を得ています。

ブランド盗用のリスクとその対策

海外では、農産物の日本品種の盗用が問題となっており、オーストラリアに於いても留意すべき事項です。これまでの連載で解説してきた「いちご」も含めた日本の農産物(加工品を含む)をオーストラリアで展開する際の、ブランド名と品種自体の盗用のリスクヘッジについて注視する必要があります。
例えば、他社が似たような社名や商品名、ロゴを先にIP Australiaで商標登録してしまい、すでに現地で製造・販売していると、自社の社名や商品名はオーストラリア国内で使えなくなってしまいます。
オーストラリア市場に進出後に、知らずに他社の商標を使用すると商標権侵害の警告を受けることもあるため、注意が必要です。そのため商標登録はオーストラリア国内市場に公開前や展示会前に行うべきです。
ブランド名を守るための「商標:Trademark」や、品種自体を守る「特許:Plant Breeder's Rights(PBR、主に野菜・果物)」は、
いずれもIP Australiaで申請することができます。IP Australiaは、オーストラリアにおいて、商標、育成者権、特許、意匠を所管する行政機関です。まず、ブランド名を守るための「商標:Trademark」についてみていきましょう。

ブランド名を守るための「商標:Trademark」の意義

ブランド名を守るためには、商標(Trademark)の登録が不可欠です。商標登録を行うことで、他社によるブランド名やロゴの盗用を防ぐことができます。オーストラリアの知的財産権を所管するIP Australiaで商標登録を行うことが推奨されます。商標登録は、現地での販売や展示会の前に行うべきです。これにより、他社による先行登録や商標権侵害のリスクを回避できます。
また、オーストラリアの「Wagyu」ブランドの事例では、知的財産保護の重要性を浮き彫りにしました。オーストラリア産の和牛「Wagyu」は国際的に成功し、日本を凌駕しています。その一因としては、WTO(世界貿易機関)による1995年の自由貿易秩序の維持形成のための知的財産権の保護協定「TRIPS協定」以前は、知的財産の保護が不十分で、偽ブランド商品や特産品名の侵害が頻発したとも言われています。

オーストラリアで日本の農産物ブランドの商標を申請するには?

オーストラリアで商標を登録する際には、以下の手続きを踏むことが重要です。

①商標のカテゴリーを確認: 農産物のブランド名は、IP Australiaが提供するカテゴリーリストに基づき、Class 29またはClass 31に分類されることが一般的です。

②弁護士事務所への相談: 商標登録の手続きをスムーズに進めるためには、知的財産保護を専門とする弁護士事務所に相談することが推奨されます。専門家のサポートを受けることで、余分なプロセスを省き、効率的に手続きを進めることができます。

③事前調査の実施: 商標登録を行う前に、既存の商標と重複していないかを確認するための事前調査を行うことが重要です。この調査を行うことで、登録後のトラブルを未然に防ぐことができます。

まとめ(日本の農業者の皆様へ)

オーストラリア市場で成功を収めるためには、品質の高い農産物を提供するだけでなく、ブランド保護の対策を講じることが不可欠です。商標登録を行い、知的財産権を守ることで、安定した輸出ビジネスを展開することができます。日本の農業者は、オーストラリアの市場環境を理解し、適切な手続きを踏むことで、輸出ビジネスの成功を目指しましょう。


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