もしかして子供はASD(自閉症スペクトラム症)かもしれないと悩んだら〜ASDの診断と対応に至るまでの道のり

ASD(自閉症スペクトラム症)とは

ASDは他人が自分をどう考えているかよりも自分がどうしたいかを優先する

ASDとは「臨機応変な対人関係が苦手で、自分の関心、やり方、ペースの維持を最優先させたいという本能的思考が強いこと」とASD研究の第一人者である本田秀夫先生が述べている。他の人間とのコミュニケーションするよりも自分のやりたいこと好きなことにこだわる、というのがASDの特徴である。”普通”の人たちは場の空気を読んで他の人に同調し、他の人が自分をどう考えているかを測りながら、承認欲求を競い合う。一方で、ASDは他人が自分をどう考えているかよりも自分がどうしたいかを優先する。(普通という異常 健常発達という病 兼本浩祐)

ASDの特徴はコミュニケーションの困難さやこだわりの強さである

ASDの特徴としては、対人関係の苦手さ、コミュニケーションの困難さ、興味の範囲の狭さ、変化に対する不安、感覚の過敏さや鈍感さ、こだわりの強さや頑固さなどである。以下、具体的な例を上げていく。鬼ごっこでタッチされると泣き出す、ゲームで負けるとゲーム機を投げる、集団遊びに参加したがらずに塗り絵やブロックで遊ぶ、高いところに登りたがる、切り替えが苦手でなかなか園から帰りたがらない、偏食がある、水が好きでずっと流れる水を触っている、図鑑が好きで図鑑に載っていることをよく覚える、ドライヤーなどの大きい音が苦手、ブランコなどの揺れる乗り物が好き、色んなものが見えると気が散りやすい、寝付きが悪い、昼寝をしない、シャワーが嫌い、母子分離不安が強い、見知らぬ場所を過剰に警戒する、おもちゃに没頭する、スーパーで走り回る、、、

ASDはスペクトラムであり、困り事があれば環境調整や投薬が必要になる

ASDというはスペクトラム、すなわち”普通”と連続していて、ASDの濃淡は様々である。「自分の好きなようにやりたい」とか「ゲームに熱中する」というのもASD傾向っちゃASD傾向になる。ASD傾向の人たちはたくさんいるが、本人や周囲に困り事がある場合にASDと診断して環境調整や投薬を行う。ASDの有病率は、医療機関にかかっている割合が約5%であり、生活に支障のないASD傾向の人たちも含めると10%ぐらいと言われている。また、東大生の4人に1人はASDだとも言われている。

ASDと診断されないこと疑われないことのデメリットの方が大きい

とある男児は小学校3年生で不登校となった。保育園でも学校でも健診でも何も指摘はされなかったし、両親も若干の育てにくさや頑固な性格に気付いてはいたが、子供はそんなもんだろうと思っていたようだ。彼はASD傾向があった。幼児期から不安や頑固さが目立っていたが、両親は怒鳴りつけるなどの対応をしていて、結果不登校という二次障害を引き起こしてしまった。

大人のASDでは、うつ病を患ってしまう、人間関係や仕事でトラブルが続出するなど、生きづらさを抱えてしまうことが多い。本人は自身がASDであることにも気付かず、孤立感や疎外感、劣等感、社会への不信感を抱いてしまう。周囲の人たちもそんなASDとの関わりがしんどくなってしまうことが多い。

ASDの傾向があるということを自身が理解し、ASDについて学んで対応を変えるだけで、本人も周囲の人も生きやすくなると思う。二次障害が出ている人たちを見ると、早くに診断されて対応していたら、もっとより良い人生を送れたのかもしれないと思ってしまうのだ。自分はこういうところが苦手だから注意しようとかこういうことが得意だからこの職業に進もうとか自身の特性を知っておくことは大事だと思っている。

知的に遅れがない
授業中の離席がない
一斉指示で動ける
これが出来るADHD、ASDの息子の小学校生活は地獄。どこに相談しても「様子見」「男子はそんなもん」で片付けらる。
対人関係がとにかくしんどい。 理解されず、特性が濃くなって、学校生活が破綻した。IQだけで支援を決めないで。

https://x.com/too22344014/status/1794666018301948171

本当にそうなのだ。知的に遅れがないどころか高知能だと発達障害は見逃され、どこに相談しても誰も理解してくれないし支援してくれない。しかし本人と家族は苦しむし、不登校や引きこもりといった二次障害が出てしまう。

学校で相談しても、学校の先生は専門ではないし、何もアドバイスはできない。一般的な小児科で相談しても専門ではなければ気付かれないことがある。健診や発達相談で引っかかることもそんなに多くはない。

ていうか区の検診や発達相談で「大丈夫!お母さん考えすぎ!」と言われて、結果全く大丈夫じゃなかった子がやまほどいる現状よ。見極める力も知識ない専門職がゴロゴロいる中で何をインクルーシブすんだよ。 あのザル検診なんとかしろよ。

https://x.com/ryouikuhoikushi/status/1792743443107869089

これはマジ。で、誰が見ても分かるような言葉の遅れや多動など割りと重い子は療育に繋がるが、グレーゾーンの子や高知能の子たちは繋がらなくて二次障害が出てしまう。実は健診の医師は医局から若いペーペーの医者が派遣で行くこともあるし、発達障害に詳しくない医師がみていることが多い。

私の息子と娘もASDだが、保育園や健診で引っかかることはなかった。たくさんの子供を見ているはずの保育園の先生や小児科医でも、息子や娘のASD特性には気付かなったようだ。私は息子や娘の特性に早期に気付き、対応することができた。きっと保育園や学校、健診で指摘されるからこのままでいいんじゃないかと他人任せにするのではなく、ASD傾向がないかどうか親自身が判断して対応していくのがよいと思う。ASD傾向の有無の判断方法(チェックリストあり)、ASDを疑ったときに行うべきことなどを書いていく。

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