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詩153/ ことばについて

言葉は
音であり
声であり
文字であるが

音だから
声だから
文字だから
言葉なのではない

言葉であるために
与えられる
何かがある

しかしそれは
質量のある何かでは無く

ましてや
電気でも
プラズマでも
おばけでも無く

きっと
実体のある幻が

蝉のように
約束された短い間だけ
地表に現れ出て

羽ばたいては
宙を舞う透明な魂を
捕まえて包み込み
輪郭を可視化することで

言葉を
言葉足らしめているのだ

という
言葉足らずの説明を
日記に残して

俺は今日も
直射日光の下で
畑に向かい

柔らかい黒土に
整然と植えられた運命たちに
言葉無く黙々と
水を遣って生きていく










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